第4章 第13話「禁呪研究所」
第4章『封印された遺跡』
第13話「禁呪研究所」
雪原を抜けて数時間――
俺たちは、崖の中腹にぽっかりと口を開けた洞窟にたどり着いた。
その奥は、まるで人工物のように真っ直ぐな通路が続いている。崩れた壁、剥き出しの魔導線。かつてここが高度な魔法文明の拠点だったことを物語っていた。
「ここが、“禁呪研究所”……」
リラがつぶやいた声が、薄暗い廊下に吸い込まれていく。
壁に刻まれた文字列を彼女が指でなぞる。
「ここでは、時間と空間の干渉に関する研究がされてたみたい。禁じられた理論で、魔法を“神の領域”にまで高めようとした……」
「神の領域ね……そりゃ“封印”もされるわけだ」
カイが苦笑しながら前を歩く。
俺たちは警戒しつつ、研究所内部へと進む。やがて、長い廊下の先に、半壊した実験室が現れた。
「……動いてる」
レイがぽつりと呟いた。
中央の魔導炉が、かすかに明滅している。魔力供給は微弱だが、まだ生きている。
そして――
「侵入者、発見。警戒モード、起動します」
機械音のような声とともに、実験室の奥から姿を現したのは、半機械のゴーレム兵だった。
「敵だッ!」
俺はすぐさま《剣嵐・トリプルレイヴ》で先制攻撃を仕掛ける!
三連の斬撃がゴーレムの装甲を削り、火花を散らす!
「硬い……っ!」
「ならば、こちらも!」
カイが《一撃》から《二連斬》へとつなげ、ゴーレムの腕を切り飛ばす!
「……動き、読みやすい」
レイが影から回り込み、無音の一撃を心臓部へ突き刺す。装置が火花を上げ、機能を停止した。
敵は、倒した。
だがその直後――
「……ケン。これを見て」
リラが壁の装置を指さす。
そこには、奇妙な記録が表示されていた。
【実験ログ No.118】
《起動者》の素体候補、成功率37%
副次効果:空間転移能力の暴走
被験体「K」――転送失敗。行方不明。
【ログ終了】
胸の奥が、妙な寒気に包まれる。
“起動者”という言葉。
被験体「K」――どこかで聞いたことがある。いや、“俺”じゃないのか?
「……この研究所、俺と関係あるかもしれないな」
「偶然とは、思えないわ」
リラが真剣な目で言う。
レイは何も言わず、ただ俺をじっと見ていた。
カイが少しだけ眉をひそめて言った。
「……この“起動者”って、まさかケン……?」
俺は答えられなかった。
この遺跡は、俺の“過去”を掘り起こす。
そんな予感が、胸をざわつかせた。




