第4章 第11話「古代の力」
第4章『封印された遺跡』
第11話「古代の力」
番人を撃破し、静寂が訪れた最奥の広間。
中心には、青白く輝く石台と、それを囲む円形の魔法陣が刻まれていた。
「……これは、“起動装置”?」
リラが石台を覗き込みながら、小さくつぶやく。
石台の中央には、掌ほどの黒い宝珠が浮かんでいた。中には渦巻くような魔力の塊。
何かが封じられている――そんな気配を、誰もが感じ取っていた。
「近づくと、魔力を吸われそうだな……」
カイが慎重に後ずさる。
だが、リラはそのまま手を伸ばした。
彼女の魔力が宝珠に共鳴するように、石台が光を放ち始める。
「リラ! 危ない!」
俺が駆け寄ろうとした、その瞬間――
――『選定せよ』
――『この力を継ぐ者を』
遺跡全体に響く、無機質な“声”。
それと同時に、石台の周囲に魔法陣が展開され、4本の光の柱が立ち上った。
「選定……?」
リラが振り返る。
「これ……たぶん、“継承の儀式”だと思う。古代魔法文明が使っていた、力の譲渡装置……」
そして、光の柱に一人ずつ吸い寄せられるように、俺たちは分かれて立たされる。
【システムメッセージ】
継承対象を選定中……
魔力適性確認中……
転職可能者:ケン(剣闘士)、リラ(魔法使い)
「……お前ら、光ってるぞ」
カイがぼそりと言う。俺とリラの体に、淡い紋章のような光が浮かんでいた。
「私のは……知識の魔道具。“古代文献術士”の継承が始まる……!」
リラの目が見開かれる。宝珠の光が彼女の胸へ吸い込まれた瞬間、空間に無数の魔法文字が舞い上がった。
「これが、古代の……!」
【リラが《古文術士》にクラスチェンジ!】
▶ 新スキル:《知識解放》《記憶の盾》
一方、俺の前にも、剣の形をした光の幻影が現れる。
「これは……」
その刹那、体に熱が走る。魔力と筋力、全身の力が再構成されていく感覚。
【ケンが《剣闘士》の真価を継承!】
▶ スキル強化:《断罪の三連撃》 → 《剣嵐・トリプルレイヴ》
▶ 新スキル:《気合の雄叫び》(味方全体の攻撃力上昇)
儀式が終わると同時に、光が静かに消えていく。
リラは膝をついたまま、深く息をついた。
「すごい……頭の中に、膨大な知識が流れ込んでくる……!」
「俺の剣技も、確実に進化してる。これが“古代の力”か……」
だが、そのとき――
「汝ら、遺跡の力を継ぎし者よ」
「試練は、終わりではない。次なる“封印”が、北方の地にて目覚めんとしている」
遺跡の中心に設置された転移装置が、紫色に脈動し始めた。
「次……?」
「北方って……たぶん、あの“禁呪の谷”の方向だな」
カイが険しい顔をする。
「こっから先が、本番ってことかよ……」
俺は拳を握りしめ、静かにうなずいた。
「行くぞ。まだ終わっちゃいない。避難民たちのためにも、街の未来のためにも、俺たちは……止まれない」




