第4章 第10話「記憶の番人」
第4章『封印された遺跡』
第10話「記憶の番人」
遺跡の最奥へと続く石階段を降りていくと、空気ががらりと変わった。
ひんやりとした魔力の残滓が肌を刺すように感じる。
広間の入り口には、古代文字でこう記されていた。
『記憶の番人、此処に眠る。過去を見届けし者に、未来への選択を問う』
「……この扉、押すと開きそうだな」
「行こう。ここまで来たんだ。引き返す理由はない」
俺が扉に手をかけ、ゆっくりと押し開く。
その先にいたのは――
人型の鎧だった。
だが、生きている気配はない。
目は赤く光り、空虚な声が空間に響いた。
「汝ら、記憶の侵入者。選択を――示せ」
「来るぞ!」
レイが短く叫ぶや否や、鎧が黒い魔力をまとって剣を構える。
記憶の番人
・属性:無
・スキル:「記憶断絶斬」「過去の幻影」
「来いよ……こっちには、新しい技がある!」
俺は踏み込むと同時に、体勢を低く落とし、地を裂くように剣を振り上げる。
「《裂剣・ブレイクスラッシュ》!!」
剣闘士になったことで得た新スキル。地面を斬り裂くような剛撃が、番人の胸を貫く!
「……効いたか!?」
だが、番人はよろめきながらも構えを崩さず、口を開いた。
「記憶――再生」
瞬間、空間に“幻影”が浮かび上がる。
そこに映っていたのは――
「……俺?」
少年の姿の俺が、炎に包まれた村で立ちすくんでいた。
あの日。俺の村が、魔物に襲われた日。
カイが叫ぶ。「ケン、落ち着け! これは幻だ!」
番人のスキル【過去の幻影】――それは、見る者の“記憶の最も弱い部分”を具現化し、精神に干渉する。
俺の心が揺らぎかけた、その時――
「……前、見て」
レイの声が静かに届く。
その一言で、心が現実に引き戻された。
「……ああ。ありがとな、レイ」
俺は目を見開き、改めて剣を構える。
「過去に縛られてる暇はねぇ。俺は――今を生きる!」
【剣闘士スキル解放】
▶《断罪の三連撃》
連続する三回の斬撃で、敵の防御を崩す新スキル。
「喰らえ! 《断罪の三連撃》!!」
番人の鎧に三連の斬撃が突き刺さり、魔力が砕ける。
最後の一撃をカイが叩き込んだ!
「《重打・スマッシュクラッシュ》!」
衝撃とともに、番人の鎧が崩れ落ちた。
番人の消えた広間に、静寂が戻る。
「……終わった、のか?」
遺跡の中心、光を放つ石台が出現した。
そこに記されていたのは――“古代の力の欠片”。
これは、さらなる強さの鍵か、それとも……?




