第4章 第6話「沈黙の記録」
第4章『封印された遺跡』
第6話「沈黙の記録」
奥の通路を抜けた先には――静まり返った広間が広がっていた。
天井まで届くような石柱。
壁にはびっしりと古代語の碑文が彫られている。
だが、何より目を引いたのは、部屋の中央に鎮座する――
「……本、か?」
レイが小さくつぶやいた。
石の台座に浮かぶように置かれた一冊の黒い本。
近づいた俺がそっと手を伸ばすと、触れる前にふっとページがめくれた。
「……読める、な」
不思議なことに、その古代語は自然に頭へと意味が流れ込んでくる。
《記録 第774層》
ここに残るは、封印術にして、世界の基礎たる古代の“門”。
侵入者に資格なき時、護衛機構が目を覚ます。
「つまり……この先は、まだ封じられてるってことか?」
「うん。……もっと、強い何かがいる」
レイがそう言った直後、空間が揺れた。
「資格者、確認。」
「封印・解除」
バリバリバリッ……!
壁の一部が砕け、その奥から魔力の奔流があふれ出す。
暗闇の中から、異形の影――四本腕の魔像が出現した。
「……来たな。よし、いくぞ!」
俺は剣を抜いた。騎士を倒したことで得た、新たな力が身体の奥から湧き上がる。
《剣技:連閃》
――ズババッ!
新スキル《連閃》は、超高速の三連撃。
一撃目でバランスを崩し、二撃目で魔力障壁を砕き、三撃目で装甲を斬り裂く。
「おおおッ!!」
四本腕のうち、一本を切り落とす。
「……いい。次、わたし」
レイが《影剣・断》を続ける。敵がのけぞった瞬間、俺が再び踏み込んだ。
「食らえ! 《裂鋼突き》!」
新スキルその②。
一点集中で物理装甲を“貫く”渾身の一撃!
ズガァン!!
魔像の胸元に突き刺さり、魔核ごと貫通。
敵は悲鳴のような音を残して、石くれとなって崩れた。
沈黙の広間が、再び静けさを取り戻す。
「……終わった、か?」
「うん。次、進める」
俺とレイは互いに頷き合う。
「新スキル《絶対防御》を使う場面じゃねぇじゃん。
っていうかなんでタンクになってんだよ、俺」
カイがぼやく。
「カイには防御の才能もあったからな。これから先、絶対にカイの守りが必要になる」
俺は自信を持って答える。
「そうならないことをねがうよ」
カイがふてくされながら回答する。
封印は、確かに“試してきている”。
俺たちの力、そして覚悟を。
けど――
「負ける気は、しないな」
「……うん。並んで、進むだけ」
静かに、レイが言った。
その一言が、今の俺たちには何よりも心強かった。




