第4章 第4話「封じられた扉」
第4章『封印された遺跡』
第4話「封じられた扉」
魔造獣を倒した後、しばらくその場で休憩を取った俺たちは、再び遺跡の探索を再開していた。
空気は乾いてひんやりとしているのに、額には汗がにじむ。緊張と疲労、そして……どこか不気味な圧のせいだった。
「この先……何かあるわ」
リラが立ち止まり、杖を構える。
レイもまた、小さく頷く。
「……気配。大きい、何か」
「敵か?」
カイが前に出て、盾を構えながら聞く。
「わかんねぇけど……何か、ただ事じゃなさそうだな」
しばらく進むと、そこには――巨大な石扉があった。
幅はおそらく十メートル近く、高さも天井すれすれ。古代の魔紋が刻まれたその扉は、触れずとも只者でない雰囲気を放っていた。
「……封印だね、これ。しかも、かなり高位の」
リラが手をかざすと、扉の表面にぼうっと光が浮かび上がった。
「やっぱり。複数の属性で守られてる。火、土、闇……それにもう一つは――“秩序”の魔法ね」
「秩序……?」
「王族が使う、特殊な術式よ。通常の解除方法じゃ開かないわ。魔導士としての“資格”か、“試練”が必要になる」
「試練って、また戦う系か……?」
「それもありうるし、知性を問われることもある。でも――」
リラは真剣な目で俺を見る。
「……この封印、誰かが『内側から』も守ってるわ。つまり、この扉の奥には、まだ“意志”を持った何かが存在してる可能性がある」
「……生きてる、ってことか?」
「か、あるいは残された意思……精霊、人工生命、あるいは――亡霊」
一瞬、空気が重くなる。
レイが一歩前に出て、静かに言った。
「……進むの?」
「もちろん」
俺は剣の柄を握り直す。
「ここまで来たんだ。中にある真実、俺たちの目で確かめなきゃな」
「ふふ……やっぱり、あなたたち“向いてる”わ。こういうの」
リラは苦笑しつつ、封印の解析を始めた。
「しばらくかかるけど、解除の糸口は見えた。問題は、誰が試練に臨むかだけど――」
「俺が行く」
と、即答する。
「……無茶すんなよ」カイが目を細めて言う。
「無茶でも、俺はやるさ。お前らが見てくれてるなら、きっと何とかなる」
「……なら、私も行く」
レイの声は小さく、でもしっかりとした決意に満ちていた。
「レイ……!」
「ケン、だけじゃ、不安」
「ふ……そう言われると心強いな」
「やっぱ参加する。3人でパーティーなの、忘れんなよな」
カイも答える。
リラは小さく頷いた。
「じゃあ、三人が中に入る形で、試練を受ける。こっちは外でサポートするわ。封印は、こちら側からもある程度操作できるから」
「了解。じゃあ――開けてくれ、リラ」
「任せて」
リラの詠唱が終わると、巨大な扉が、ゆっくりと開き始めた。
ギィィィィィ……
石と石がこすれる重々しい音。
闇の向こうには、何が待っているのか――
俺らは、剣と沈黙を携えて、その闇の中へと足を踏み入れた。




