第3章 第20話「議会の間」
第3章『街と騎士団』
第20話「議会の間」
――セイントラ中心部、白石造りの城塞。その奥にある円形の石室。
そこが、街の運命を決める“議会の間”だった。
重厚な扉が開くと、数人の高官たちがすでに席に着いていた。
中央の玉座に座るのは、街の最高責任者――議長。
その隣には、あのレオナルド副団長が、いつもの厳しい表情で立っていた。
「……来たか。お前たちが、“バジリスク討伐”と“黒街の襲撃撃退”を成し遂げた冒険者たちか」
議長の声は冷静だが、視線は鋭く俺たちを測っていた。
「はい。俺たちが、村の代表です。街への避難民受け入れと、冒険者登録の正式承認を求めます」
俺が一歩前に出ると、議長は顎に手を添え、しばらく黙った。
「……確かに、前例のない功績ではある。しかし、門を開くというのは、街の防衛方針を揺るがす話だ」
「それでも、試験を課したのはあなたたちだ。なら、結果には責任を持ってもらいます」
カイの力強い声。議員たちの一人が目を細めてつぶやく。
「生意気な……」
「お黙りなさい。彼らは命を懸けて、成果を示したわ。騎士団ですら後手に回った襲撃に、真っ先に動いたのはこの三人なのよ」
リラが一歩前に出て、議会をにらむ。魔法少女としての威厳すら漂わせて。
その空気を打ち破ったのは、副団長・レオナルドの一声だった。
「……俺が保証する。彼らは、街の力になる。特に、こいつらのリーダー――ケン」
レオナルドが俺をまっすぐ指さした。
「こいつの剣、ただものじゃねぇ。自分の型を持ってる。俺だって勝てるか分からない」
「……俺は、元々、剣士じゃない。でも、ここまで剣で戦ってきた」
俺は腰の剣を抜き、目の前に突き出した。
「なら、俺も……もう一歩先に進む」
剣を掲げた瞬間、なぜか胸の奥が熱くなる。
【称号『剣闘士』にクラスチェンジしますか?】
――そう、頭の中に声が響いた気がした。
「……ああ、進むよ」
光が走った。
その瞬間、俺の全身から熱と共に“力”があふれ出す。
剣が、俺の手にしっくり馴染んだ気がした。
「な、なんだ……!? ケンの体が……っ!」
リラが驚きの声を上げ、レオナルドも目を見張る。
【ケン】
職業:剣闘士
スキル:渾身突き、見切り、新スキル《剣気》
称号:起動者
【カイ】
職業:強戦士
スキル:一撃、防御姿勢、新スキル《雄叫び》
称号:英雄の末裔
【レイ】
職業:影剣士
スキル:影縛り、新スキル《影歩き》
称号:影の瞳
議長が、静かに立ち上がる。
「……よかろう。ケン、カイ、レイ。君たちの実力と覚悟、確かに見せてもらった。議会として、避難民の受け入れを正式に認可する」
その言葉を聞いた瞬間、俺は拳を握りしめた。
カイが息をつき、レイは無言で、小さく頷いた。
「ありがとう……これで、ようやく“居場所”ができる」
――俺たちは、ようやく“街に入った”。
だけど、これが終わりじゃない。むしろ、始まりだ。
この街には、まだ見ぬ“地下遺跡”がある。
黒街の影も消えていない。リラの謎も残ってる。
だから俺たちは進む。
この街の、もっと深くへ。




