第2章『試される力』第1話「魔物の群れ」
第2章『試される力』
第1話「魔物の群れ」
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村の外は、想像以上に広かった。
どこまでも続く草原、時おり風に揺れる木々のざわめき。
RPGのフィールドっぽさにちょっとワクワクする……とか思ってたのも束の間。
「――ケン、アレ見ろ」
「……うそ、だろ」
カイが指さした先、煙が上がっていた。
村の方角からだ。
それは、ただの狼煙じゃない。
何かが燃えてる。確実に、村で何か起きてる。
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「戻るぞ!」
カイの声が響いた。
俺は迷うことなく、走り出してた。
――森を抜け、草原を全力で駆け抜ける。
初めての戦いを終えたばかりの身体に、無理をさせながら。
それでも止まれなかった。
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村に戻った時、そこはもう地獄だった。
建物がいくつか燃えてる。
地面には壊れた荷車と、倒れた人。
そして――村のあちこちを徘徊する、無数の魔物たち。
「ゴブリン……だけじゃねぇ、あれはオーガ!? なんでこんな数が……!」
カイが歯を食いしばる。
「くそっ……村が、襲われてる!」
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フィアの薬屋はかろうじて無事だった。
俺たちはすぐに駆け込む。
「ケン!? カイ!? 無事だったのね!」
「フィアっ、何があった!?」
「わからないの……気づいたら、村の北から魔物の群れが押し寄せてきて……」
「こんなこと、今までなかったのか?」
「ええ。せいぜいスライムが迷い込む程度だったのに……これは、完全に異常よ」
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村の中央では、村人たちが必死に防戦していた。
鍬や斧を振るって応戦するけど、正直……レベル1とか2の村人じゃ、限界がある。
(俺も、レベル2だ。怖い。手が震える……)
でも――
「……カイ。行こう」
「ケン?」
「逃げるなら今かもしれない。でも、逃げたら、たぶん後悔する」
村を救えるかなんてわからない。
でも、今ここで戦わなきゃ、何のために転生したんだよって気がする。
「なら、行こうぜ」
カイが剣を構える。
「お前がビビってても、俺が隣にいれば安心だろ?」
「調子のんな!」
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2人並んで、炎の向こうへと駆け出す。
村の危機、魔物の群れ、そして――最初の“試練”。
ゲームじゃない。ここは、俺の“現実”だ。