表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/73

第2章『試される力』第1話「魔物の群れ」

第2章『試される力』


第1話「魔物の群れ」



 村の外は、想像以上に広かった。

 どこまでも続く草原、時おり風に揺れる木々のざわめき。

 RPGのフィールドっぽさにちょっとワクワクする……とか思ってたのも束の間。


「――ケン、アレ見ろ」


「……うそ、だろ」


 カイが指さした先、煙が上がっていた。

 村の方角からだ。


 それは、ただの狼煙じゃない。

 何かが燃えてる。確実に、村で何か起きてる。



「戻るぞ!」


 カイの声が響いた。

 俺は迷うことなく、走り出してた。


 ――森を抜け、草原を全力で駆け抜ける。


 初めての戦いを終えたばかりの身体に、無理をさせながら。

 それでも止まれなかった。



 村に戻った時、そこはもう地獄だった。


 建物がいくつか燃えてる。

 地面には壊れた荷車と、倒れた人。

 そして――村のあちこちを徘徊する、無数の魔物たち。


「ゴブリン……だけじゃねぇ、あれはオーガ!? なんでこんな数が……!」


 カイが歯を食いしばる。


「くそっ……村が、襲われてる!」



 フィアの薬屋はかろうじて無事だった。

 俺たちはすぐに駆け込む。


「ケン!? カイ!? 無事だったのね!」


「フィアっ、何があった!?」


「わからないの……気づいたら、村の北から魔物の群れが押し寄せてきて……」


「こんなこと、今までなかったのか?」


「ええ。せいぜいスライムが迷い込む程度だったのに……これは、完全に異常よ」



 村の中央では、村人たちが必死に防戦していた。

 鍬や斧を振るって応戦するけど、正直……レベル1とか2の村人じゃ、限界がある。


(俺も、レベル2だ。怖い。手が震える……)


 でも――


「……カイ。行こう」


「ケン?」


「逃げるなら今かもしれない。でも、逃げたら、たぶん後悔する」


 村を救えるかなんてわからない。

 でも、今ここで戦わなきゃ、何のために転生したんだよって気がする。


「なら、行こうぜ」


 カイが剣を構える。


「お前がビビってても、俺が隣にいれば安心だろ?」


「調子のんな!」



 2人並んで、炎の向こうへと駆け出す。

 村の危機、魔物の群れ、そして――最初の“試練”。


 ゲームじゃない。ここは、俺の“現実”だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ