第6話 対コンコルディア〜転換〜
尻尾の薙ぎ払い
─しゃがんで避ける。
前足での叩きつけ
─左右のどちらかに跳んで避ける。
そして─
ドドドンッ
─やつが攻撃を行った瞬間に訪れる一瞬の隙を見逃さずに魔術を打ち込む。
戦いが始まってからどれぐらいの時間たったのだろうか。
どれほどの魔術を撃ち込んだだろうか。
水属性、風属性、闇属性どれも試した。
どの属性も同じような結果、有効そうなものは見つからなかった。
だが、魔術を撃ち続けたおかけだろうか、少しづつではあるが、やつにもダメージが入ってきているのがわかる。
「グルァァアアア」
前足の振り降ろしがくる。
左に跳んで避けようとする。
その瞬間。
「ちがう、なぎはらいかっ!」
【水の壁】
バチンッ
とっさにはった防御魔術の展開がなんとか間に合って少ないダメージで済ますことが出来た。
「?」
少ないダメージ?
おかしい。
一度やつの尻尾での攻撃を食らったからわかる。
知識によれば生物は長時間の戦闘をすれば疲れがでてきて攻撃力が下がるのは不思議ではないようだ。
だが、やつはアンデット。
おそらく体力に限界など存在しない。
自身が消滅するそのときまで動き続けることができる。
最初の尻尾の薙ぎ払いを食らえばいくら防御魔術を展開していようと致命傷とはいかずど少ないダメージで耐えられるはずがない。
しかし、現実として私は戦闘に影響が出ない程度の少ないダメージしか受けていない。
「まさか、こうげきがよわくなっている?」
なぜだ?
なぜだ、考える、なぜ、なぜ、考え続ける。
なぜ始めと比べてやつが弱くなっている。
そこには確実に理由があるはずだ。
考え続ける。
「!」
個体名:コンコルディア
種族:アンデットドラゴン
性別:♂
異能:呪付与
特性:状態異常無効[封印中]
魔術適性:闇
位階:男爵級
称号:隱ソ蛛懆?
「ふういんちゅう」
やっぱりだ。
最初はやつのあまりにも大きい存在感と迫力にびっくりして見落としていた状態異常無効が封印されている。
おそらく効果を発揮していないという事実。
このことから考えられるやつが弱体化している理由は─
「やみまじゅつのふくじこうか」
つまり、私は最初から奴には状態異常が効かないから闇魔術による弱体効果は期待できないと思っていたが、その思考に反して弱体効果はきっちときいていたということ。
そして、私が魔術をいろいろ撃ち続けた結果、少しづつ闇魔術の影響で衰弱していき今があるということ。
アンデットが衰弱とはこれいかにといった感じだが闇魔術の弱体効果がきっちりと入るならいまからやることは簡単。
「こうげきよけて、やみまじゅつをうつ」
これだけだ。
確して対コンコルディア戦は終幕へと向かっていく。