第3話 コウモリさんへ追悼を
あれから魔術を打つ楽しさを覚えた私は、ほかの属性でも塊──ボール系の魔術を打ってみた。
その中で私は、それぞれの魔術を水属性の仮称【水球】、風属性の仮称【風球】、闇属性の仮称【闇球】と名付けた。
これらの魔術は、ただ撃ち出すだけでは何かに当たっても威力は小さく、ほっておくとすぐに霧散してしまうが、魔術を発動するときに体内で動くもの仮称【魔力】を操作することで形状変化や威力、範囲に幅を持たせることができることがわかった。
そんなこんなで魔術で遊ぶことまた約数日、私はいつかのコウモリたちにリベンジすべく広間へ戻ってきていた。
理不尽なのはわかっているが、私を怖がらせた奴らにやり返さず先に進むことを私の感情が許さなかった。
かくして、わたしはここへ舞い戻った。
事前に奴らのステータスは把握した。
個体名:ーー
種族:バット
魔術適性:ーー
位階:一般下級
これがほとんどのコウモリ
個体名:ーー
種族:ババット
魔術適性:風
位階:一般中級
そしてこれがちょっとだけいるコウモリの上位種っぽいやつ。
コウモリの中には異能や特性などをもった個体はいなかった。
道中のスケルトンのなかにも異能や特性を持った個体がいなかったことからこれらを持っている ものはあまりいないのだろうと思った。
私の知識を参照するにこれらを持ったものはおそらく特殊個体で他より強いのだと思う。
そう考えると異能やら特性やらを持った個体がいないことに安心感を覚える。
これなら私でも魔術を使えば奴らを倒せそうだ。
ということで早速やっていこうと思う。
イメージは奴らのいる一帯を全てズタズタに切り裂く情景。
使う属性は水、風、闇のなかで最も切断力の高い風属性。
魔術の形状は奴らを逃さずに倒しきる壁。
魔術を使う準備は出来た。
後は魔術を放つだけ。
放つときは頭の中で発動するように念じる。
【風の壁】
ドゴンっ…
「…」
魔術はイメージ通りに発動した。
しかし、思ったより威力が高すぎた。
コウモリたちの体は風で切り裂かれ吹き出す大量の血。
地面に落ちたコウモリたちの血が作り出す小さな血の池。
あたりは屍山血河といった有様だった。
「うわぁ…」
自分でやっておきながら少しコウモリたちが可哀想になったが、この世は弱肉強食そういう災害にあったと思って諦めていただこう。
そんな呑気なことを思い惨状から目を背け、自分がやったことを早く忘れるためにも私はまた出口に向けて歩きだすのだった。