惑星AIテスト
某都市、研究施設にて研究者や科学者達が集い、世界の……いや、地球の未来を左右する研究が行われている。内容がどんな物かは、あまりに壮大過ぎて内密とされている。電子機能が組み入れられた精密な装置のデータを動画に移行する様を、研究に携わる人全員確認中とのこと。動画はスペースドローンのカメラで撮影した地球だ。「何から何まで類似した物質を全て生み出すとなると、予想を越えた知識に資金が必要となる。なので実在する地球を凝縮させたミクロアースをテスト作成した。完成日時は昨夜だ」研究チームのリーダー、ボンドはチームで造り上げたミクロアースの発表をしてみせる。作成に取り掛かったのは今から三十年前の事。研究の失敗、挫折、時には意見の対立による派閥に迄及びながら、ついに成功したのだ。各国の研究員が見守る中、ボンドは機内に取り付けてあるカプセルのスイッチを押し、透明の蓋を自動で開いた。中から取り出した小さな粒子程の物質……ミクロアースを皆に見せた。「これがその、研究の結果……今はこのサイズだが、育成型となっている。」「これが、地球の類似物質……育成とは、人と同じ速度なんだろうか?」「水や植物等も育つのですか?」「本体その物と同じ速度で、全ての生命体が育つ仕組みになっている……今夜、このミクロアースを銀河に発射する予定だ」全人類の夢が、ミクロアースにかかっている。「次で最後の地球になるでしょうか?」「人類の増加は止まらない。今我々が暮らす地球は既に千体目を迎えたのだから……永遠に地球は造り続けられるだろう」