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王都へ

というわけでやってきたるは王都。

ここまで、約三日かけて馬車で移動と休憩を繰り返し、今は街に入るための検問に並んでいる最中だ。

この検問も長い列ができていて、他の孤児たちが驚いているが、俺が驚いたのは王都の光景だ。

丘を越え、院長から王都が見えたぞ、と声をかけられて前方を除くとフィクションでもなかなか見ないレベルの大きな城壁が見えた。

100メートルはあるのでは、と思えるほどでかい城壁と30メートルほどの城門。

これが王都の入り口、通称を北大城門というらしい。

孤児院がある我らが街も城郭都市ではあるが、ここまで大きい壁ではない。

前世では城郭都市は多くないと思っていたため、あそこが特別だと思っていたが、そんなことはないかもしれない。

実際、ここに来る途中に泊まった宿場町なども簡易的な壁である程度囲まれていた。

これが前世との違い、魔物とやらの影響なのか。

ちなみに魔物の存在について、院長も副院長も危ないもの、としか教えてくれない。

街の近くにはいないが、 森や山の奥には居るから絶対に近づかないように、と強く言われた他には教えてもらえなかった。

孤児院の年長者に聞くと、大きくなったら詳しく教えてもらえる、とのこと。

それだけ危険視されている存在、ということなのだろうか。

もしくは単に、子供に教えると興味本位で近づくから教えないようにしているのかもしれない。

とはいえ先ずは魔力検査である。

今日、今から、ついに、魔法が使えるか否かがわかるのだ。

不安と期待を胸に、長かった城壁前の検問を超え、いざ王都へ入った。


王都に入ってまず目に着いたのはきれいに整備された大通り。

単純なレンガ造りの道でも歩道と車道に分かれていたり、その分かれ目にブロックが置かれていたり、おそらく街灯だと思われる何かがあったり、現代日本のちょっとしたテーマパークといわれても違和感がないほどに発達していた。

次に見たのは大通りを飾る店の数々。

入ってすぐにちょっとしたカフェや大衆食堂がならび、もう夕方にも関わらず結構な人が行き来しており、女性だけで歩く人や母親と子供だけで歩く人も多くある程度安全性もあることが確認できる。

と、馬車から乗り出し目を輝かせていたら院長に危ない、と怒られた。

こればっかりは院長が正しいのでちょっと反省。

少し落ち着くまでおとなしく座って居よう。


座るついでにこの旅のメンバーも紹介しよう。

今回、魔力検査を受けるのは俺含め五人、そしてその面倒役として院長と孤児院の年長者の男女一人ずつ、合計8人だ。

年長者の2人はそれぞれ18歳と21歳だ。

この世界の成人は17歳なのでどちらも成人になる。

本来、成人したら孤児院を出ることになっているが、今の孤児院は55人と孤児が多く院長と副院長だけでは面倒を見切れないため孤児院の職員として雇っているようだ。

この2人以外にも副院長と共に孤児院に残っている年長者が3人いる。

馬車内にいる子供は全員10歳を超えている。

11歳女が一人、12歳男が一人、13歳女が一人、14歳男が一人、プラス俺。

他にも魔力適正を受けていなかった12歳の男女が2人いるが、それぞれエルフとドワーフの血を引いているため魔力を持っている可能性が高かった。

そのため、10歳になったやつに交じって受けていたと王都への道中で聞いた。

聞いてない。

思わずそうつぶやいた時に女の年長者に言ったら絶対にうるさい、と断言された。

周りが全員うなずいていた。

不服である。


さて、そんな話をしていたら検査の場所についたようだ。

魔力を持っているか否かは神殿で測るらしく、院長に大聖堂に入ったら絶対におとなしくするようにと言われた。

本来であれば王族や貴族が使うような神殿で、孤児どころか平民ですら立ち入ることができない場所らしい。

なぜこんな大それた場所でやるのか、甚だ疑問である。


馬車から降りて周りを見渡す。

馬車が止まるための脇道とその先に少しひらけた場所があり、程よい大きさの神殿が見える。

その神殿を飛び越えて奥に見えるのは大聖堂だろうか。

その建物は白を基調とした厳かな雰囲気に包まれていた。

広間から大聖堂へ向かうであろう、入り口らしき門にはサーコートのような軽装の鎧を着た騎士が二人と、明らかに威圧感が違う初老の騎士が立っていた。

みんなを下して、馬車を預けた院長が威圧騎士をみて驚きながら団長、と呟いた。

どうやら院長の現役時代の上官らしい。

院長に会いに来たのかな?


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