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試験当日

試験当日の朝、アクトを起こしながら試験の準備をする。

筆記用具などはすべて学園側が用意するため、持っていくのは受験票のみだ。

ほぼ手ぶらで、受験票も受付で回収されると言うのだから随分と手軽に受けられるように感じるが、そもそもこの学園自体に入ることが決まっているからこその手軽さなのだろう。

朝食を食べ、ハンスやフィラソピアと合流し4人で移動する。


受験は東校舎で行うらしく、東校舎の目の前でテントが張られ、受付をしに並ぶ人々が見える。

並んでいる人すべてが生徒なのか、というと少し違うらしく、燕尾服を着た執事や、メイドなども並んでいる。

こう言ったものは本人に受験させるための本人確認も含めているのでは?と思ったが替え玉は魔力測定でばれるらしい。

列に並びながら雑談をしていると何処ぞの貴族令嬢が声をかけてきた。

どうやらアクトが目当てのようで、やはり差別意識があるのか平民、しかも孤児などと一緒にいると悪影響だ、金目当てだ、貴族は貴族といるべきという、わかりやすい貴族からの言い方だった。

どこで俺たちが孤児であることを知ったのか、まだ大した交流もない俺たちの身元を知っていることに驚いたが、貴族ゆえの情報網でもあるのだろう。


あからさまな差別発言にハンスが食って掛かろうとしたが、フィラソピアと2人で止める。

試験前に問題を起こしたいとは思わないし、貴族に対して下手に手を出すべきではない。

そう言いくるめ、ハンスをなだめ煽ってきた令嬢に向かって受験の受付が終わってないことを理由にお引き取り願う。

アクトもそれに乗っかり、名前も知らない相手を貶すのはよろしくない、と釘を刺しながら俺たちと受付のテントに歩いていく。


これが学園生活での日常になる可能性があると考えると面倒だが、時間がたてば絡んでくることもなくなるだろう。

そもそも、向こうの言っていることも一理ある。

貴族と平民では暮らしてきた環境が違う。

環境が違えば常識も違うし、生活や言葉遣い、見える世界の広さも違う。

もちろん、貧乏貴族なんてものもあるが、貴族は貴族。

人の上に立って領地の経営や国のために働いている人たちだ。

平民とは、もっと言えば日をまたぐことで精一杯な孤児とは全く違うのだ。


とはいえ今はそんな正論でも関係ない。

ご立腹なハンスをなだめて試験に集中させるべきだろう。

受付で受験中の流れと行く場所の説明を聞く。

どうやら最初に魔力測定を、その後に筆記テストになるようで、魔力測定は本堂と東校舎の2か所でそれぞれ4つ設置されている計8個の測定器を使うそうだ。

俺だけ東校舎で、アクトたちは本校舎での魔力測定になるらしい。

また絡まれないように別れ、魔力測定の列に並ぶ。

様子を見る限り、東校舎のほうは魔力量が比較的少ない人が集められているようだ。

昔に教会で使った測定器の半分ほどの大きさの物が4つ、それぞれ別の部屋に置かれている。


その中の一つに入り、手を当てる。

昔のように魔力が吸われていく感覚を抑えながら、コントロールを慎重に続ける。

測定器の許容量を光の具合から測り壊さないよう注意しながら、一定の結果を出し続ける。

感覚的には蛇口の調整に似ている。違うのはその蛇口が自分の中にある事だけなので、集中すれば苦労することは無い。


測定を初めてから5分ほど経って、試験官がストップをかけた。

筆記試験までにはまだ1時間ほどあり、その時間までは何処にいてもいいが、10分前には試験会場にいるように。

そう告げられ追い出されるように外に出た。

何処にいてもいい、と言われたが特にやることもないうえに精々1時間程度なので早めに行って待つことにする。


筆記試験の会場では1つのテーブルに2人の生徒が座る形式のようでもうすでにペンが用意してあった。

席順は教室の前に張り出されており、自分の名前がある席に座る。

それから30分ほど、試験をもうすぐ始める、と告知された。

教えられた時間よりも早いが、予定より早まることはままあることだ。

問題自体はアクトと復習しておいた分も含め、簡単に解けるようなものが中心だった。

サクサクと解いて、確認をし、手を挙げて提出する。

テスト用紙を回収した試験官に見送られながら部屋を出る。

この後は特に何もなく、試験の結果やクラス分けは後日開示されるため、普段通りに生活していていいらしい。

他のみんなが終わっているのかはわからないが、とりあえずは寮の部屋に戻ってのんびりと過ごすことにした。

クラス分けがどうなるか、楽しみに思いながら帰路についた。


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