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第7話

先ほど襲ってきた人物が仲間に入るということに戸惑う二人。


「どうゆうこと?こいつが研究所に入るの?」


「そうさ。二人が来る前に素性を洗ったところ思いのほか有能だったんでね、ぱっと契約書を作って契約したのさ。」


「えー、私たちが来る前の数分の間にそんなことしていたんですか。仕事が早いですね。」


いつも通り判断が早い葵に戸惑わされるカフカたち。


「でも、こいつがまた襲ってきたらどうするの?」


「そういう時ように遠隔で電気を流せるチョーカーを付けているから大丈夫だよ。そんな事より自己紹介でもしときな。これから仲間になるんだし。できるね?」


首に着けたチョーカーのリモコンをちらつかる。


「はい。はい。しますーよ。自己紹介すればいいんでしょー?私の名前はー、白浜璃那利(りなり)ですー。他称も自称も天才ハッカー兼絶世の美少女ですー。」


適当に自己紹介をする璃那利。


「どこが美少女なの。」


「カフカちゃん失礼だよ。少し暗くて、病的な感じがするだけの人だよ。」


「それはー、褒めてないよねー。」


ノアの若干ずれたフォローに反発する。


「君が僕の作った防御システムを突破した子か。」


アサヒが質問する。


「あれね。目覚まし代わりにちょうどいい難易度だったよ。」


「くそ。こんな奴に。僕の完璧なシステムが。」


「でも私ー、お兄さんが作っ、たっていう、自称完璧防御システムを突破したー、天才なんだよ。お兄さんより若いのにねー。」


独特な間の抜けた喋り方に、的確に相手を煽る言葉を使いアサヒの防御力を削っていく。

それに比例してアサヒは自分を超える才能への恐怖を増していく。常に自分が一番でないと納得がいかないアサヒ。燃え盛る嫉妬の炎は、火力が強すぎると自分さえも焼いてしまう。


「あれー、お兄さんなんか震えてるじゃん。」


「アサヒ、何かカクテルを一杯作ってくれ。」


嫉妬が完全な恐怖に変わる前に葵が助け舟を出す。そのおかげで少しだけ冷静さを取り戻したアサヒは無言でカクテルを作り始める。


「あらら、お兄さん黙っちゃったー。」



「えー、まぁー、お兄さんに恨みはないので分かりましたー。」


「まぁそんなこと言って周りを煽らないことだよ。ネットでは天才的でも現実では職に困った無職だったからね。」


「う、そ、それはー」


璃那利は幸せな相手を僻み過ぎるがゆえに働いては、嫉妬により工場や店のAIにハッキングをし、システムを損傷させていた。痕跡を残すことはなく完璧な仕事をする璃那利だったが自分からそのことを話してしまい解雇され続けた。


相手が嘆く姿をみて自分の平静を保っていたのだ。


「ネットで見つけた情報から二人に嫉妬してあんな行動をしたぐらいじゃからな。社会に適合はしないだろうね。でもそんな素晴らしい才能をもっているんだから、ここで働かせようと考えたわけよ。」


現代では自分の能力を十分に生かせる人とそうではない人の格差が広がっている。AIに奪われる能力が秀でた者と、AIに奪われない能力を持った者との格差は賃金だけでなく、仕事への遣り甲斐など多岐に渡っている。ハッキングという一番AIが代替できる能力である璃那利もそんな現代の被害者と言える。


「私のハッキング技術を認めてもらってー、職までくれた葵さんにはー、感謝していますー。他の所では腕を見てもらう前に門前払いでしたのでー。葵さんの頼みならー、その二人もお兄さんも見逃しますー。」


葵に認められ、自尊心が回復した璃那利は幸せそうなカフカたちを見逃せる余裕ができたていた。加えて、自分のことを認めてくれた葵には大変感謝しているのだ。


「それにこの子は結構かわいい容姿をしとるじゃないか。さっきから罵詈雑言を浴びせているけれど。」


璃那利のフォローも忘れない葵。


「ええーと、うれしいかな。でもそんなこと言って私をさー、誑かそうとしているんでしょー。私はねー、私の愛を全部受け止めてくれる人以外に軽い言葉をかけられてもー、嬉しくないんだからー。」


自分のことをかわいいなどと言われたことのない璃那利は分かりやすく照れる。


「ふふっ、もちろん受け止めるに決まっているじゃないか。」


そう言って璃那利を抱き寄せて、頭を撫でる。幼子を愛でるように、花に触るように大切に扱う。


「今まで社会で色んな事があってひねくれてしまったかもしれんが、ここでは甘えても、弱い所を見せてもいいんだからな。」


「は、はひー。一生葵さまについていきますー。」


幼い見た目に反する、年の功からくる母性に璃那利は簡単にノックアウトされてしまう。


「頼りにしているよ」


璃那利の耳元で妖艶に囁く。幼児の体系であることなど感じさせず、その艶やかさはまさしく大人の女性。


「葵こわー。恋愛とかしたことない癖によくやるよ。」


葵にめろめろになっている璃那利には聞こえない。研究の虫として恋愛などしたことのない葵だったが璃那利が喜びそうなことを分析し、実行したのだ。愛に飢えている璃那利には効果は抜群だった。


「それでー、私は何をすればいいんですかー、お姉さま。」


「そ、そうだね、取り敢えずはアサヒが作った防御システムを強化することを手伝ってくれ。あと、これから個々の情報を抜き取ろうとしてきた相手にハッキングをして情報を抜き取ってくれ。AIが出来ない相手の情報を抜き取ってくれたらありがたいね。もちろんできるね?」


「は、はいー、できます」


再び璃那利の耳元で甘く囁く。璃那利のツボを完全に抑え、意思を掌握する。もう璃那利は葵にメロメロだ。


「流石だね葵。癪だけど璃那利のおかげで私たちの情報が洩れる心配はほとんどなくなったわけだ。」


「璃那利さん頼りにしてます。」


「大船に乗った気持ちでー、任せなさいー。」


みんなから褒められて有頂天になる璃那利。カフカたちも即座に璃那利の扱いを心得る。


一方でアサヒは璃那利への恐怖から完全に回復していた。完璧を求めるアサヒは例え自分を超えた才能であろうと少しでもダメなところが見えればもはや嫉妬しないのである。『一分野で負けたとて、総合的にみたら僕以上の存在はいないのだー。』と簡単に立ち直ってるアサヒであった。


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