表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮池の白い煙のはなし  作者: ぽすしち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/73

罪人として捕まった



 羊羹をきれいにたいらげ、皿をぼっちゃまに返すと、あたらしくお茶をいれてくれた男がすこし声をおとし、「じつはぼくは、あのお屋敷に、あやうく犯罪人をあげるところだったんですよ」と顔をくもらせながらお茶をわたしてきた。



 こちらが不意を突かれたように口をあけてしまったのを、ただの間抜け面と解釈したぼっちゃまが、すこし笑うようにつづける。


「 ほら、最後一人だけ、ダイキチさんの百物語会に行けそうだった人がいたのですがね。 それが、知り合いの知り合いっていうか、どうしてあの人を誘うことになったのか、ぼくはよくわからないんだけど・・・、―― ともかくその人が、捕まったみたいで」



「『捕まった』ってのは・・・」

 

 もう、カエには《捕まった》ではないか。





「なんでも、ほかの作家先生のなまえをかたって新聞社に作品を売り込んで、前金をせしめようとしたらしいですよ。 でも、その作品の内容が、自分を追って田舎から出てきた女の人を殺すっていう、あまりにひどいすじがきで、社も断ったみたいなんですけど・・・、記者の一人が、そういう女のひとをつれていた、いつも酔って口論をふっかけてくる《作家くずれ》がいた、って思いだして、―― 」


 自分を追って田舎から出てきたのだと、いっとき自慢するように連れまわしていた女は、だれも気付かないうちに、いなくなっていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ