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蓮池の白い煙のはなし  作者: ぽすしち


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水に溶けだす



「 先生が湧き水をたどった場所には、うちすてられたときのカエさんが『みえ』、先生はそこですぐに石のあいだのカエさんの骨を集めたそうです。・・・お骨は無縁仏さんとしてお寺の墓にも入りましたが、・・・なにしろカエさんは自分におこったことがまだ得心いかず、悲しみだけでさまよっておりましたので、そんなことでは成仏できない。  ・・・長い間水につかり、その水にからだもおもいも溶け出しながら、なぜこうなったのか、どうしたらいいのか、・・・わからないままだったのでございましょう・・・」




 雨がふると、いっそう、なにもかも、わからなくなったのだろう。

 自分を絞め殺し、土砂降りのなか、山をのぼり捨ててゆく『先生』がおもいだされるのに、その『先生』がいとしくて、こいしくて、―― さがしまわるしかないのだ。




「 ―― 先生は、『ヤオビクニ』として長いことかけて溜めた知恵も、人とは異なる力もすこしは持っておられましたが、もともとは『人』でございます。 けっきょくは、わたくしと同じように多少は力になれますが、男に《仇を討つ》ということまではかないません。 そこで、できうる限りでこらしめてやろうということになりました。  ―― ですから、ヒコイチさんにも、ここに来ていただこうということになりまして・・・」

 年寄は、そこでヒコイチをみて、すまなそうにわらった。




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