人の目をさけて
「『ヤオビクニ』となった女たちはみな、それぞれ旅にでることにしたようです。 ・・・みなが長い時間の中で身に着けた『知恵』や語り口が普通の人たちにはありがたいものだったようで。『女』たちがでてゆくまえ、『噂』をきいて浜にやってきた《新しい村人》たちは、はじめから女たちを敬って『知恵』を借りにきたといいます。《生き神様》のようなあつかいになったといいますから、女たちがいなくなったあとも、《神様》としてまつったのでございましょう。 ―― 先生は旅先で『尼』になり、お寺を渡り歩いたとおっしゃいました」
『 先生というより、お坊さんに近いかなと思ったら、
むかしはどこかのお寺で尼のまねごとをしてたっておっしゃってましたよ。
そのせいかな、こわいはなしばかりでなく、すごくものしりで、感心しますよ』
ぼっちゃまの言葉をおもいだす。
そして、ぼっちゃまの家にかようばあさんの言葉も
『 あの奥様を、まえに、おみかけしたことがあるんでな 』
「どこにでも、・・・おぼえのいいのがおりますからね。そりゃ、『人のめ』をさけるわけだ。 で?そのヤオビクニの先生が、ダイキチさんになにを?」
「それが、この庭の池のことでございました」




