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蓮池の白い煙のはなし  作者: ぽすしち


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ヤオビクニ



「ヒコイチさんは、・・・『ヤオビクニ』というものを耳にしたことは、ございますかな?」


「あー、ガキのとき、じいさんが言ってたな。 人魚の肉を喰って、長寿になった尼さんでしょう?あちこち旅して、最後どこだかの洞穴についたとか・・・」


「まあ、そういうおはなしもありましょう。 ―― わたくしもむかし、それこそ祖父につれていかれた百物語のあつまりで耳にしておりました。その人は『ヤオビクニ』と話したことがあると言っておりました。 漁がさかんな村の浜の端に、女たちが数人寄り添うように暮らしていて、その女たちがみんな、人魚の肉を食った女たちだ、というおはなしをされました」


「へ?『ヤオビクニ』ってのは、そんなに大勢いるんですかい?」


「どうやら、・・・そういうものもあったようで、―― 『先生』も、そのおひとりだとおっしゃいました・・・」





 漁村で生まれ育ち、村の男と夫婦になったが、漁をする男たちが『気味がわるい』とうちすてた肉を、こっそりとかくしとって干しおき、漁で男がではらっているときに、あつまった女たちであぶって口にしたのでございます、と、 ―― 女は恥ずかしそうに、くやしそうにうつむいた。


 そこから妻たちは歳をとらず、男も子供たちもみな先にいなくなり、新しく流れてきた男たちが居ついてまた、その女たちと夫婦めおととなって、―― しばらくは、そんなことが続けられた。

 

 『噂』がひろがりはじめたころには女たちは、新しくできた『村』の人たちに守られるように、奥まったところでひっそりと暮らしていたが、最後はみな、その村から出ていなくなり、《長寿の女たち》が暮らした場所には、なにやら《海の神様》が、まつられることになったという。





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