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蓮池の白い煙のはなし  作者: ぽすしち


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32/73

ろうそくには『経』


 ヒコイチが品をとりに行ったときは、何も言っていなかった。

 前から《おぼっちゃま》に一度会わせろとせっつかれていたのだが、商売に利用されるのも業腹なので、引き合わせるつもりはなかったのだが・・・。



「・・・なにかおかしなこと言ってきやがったら、断ってくださいよ」


「ええ?腰も低いし、いい方でしたよ」


「もの言いがやわらかいってだけでしょ」


「とにかく、『百物語会』を、はじめてあの『お屋敷』でやれることになって、みんな楽しみにしてるんですよ」




「『百物語会』ってのは・・・、例の、《文士》さまの集まりですかい?」


「まあ、もちろん、これにはいってる人もいますけど、はなしを書いているからと言って、《こわい》はなしが好きとはかぎらないですから、これはちがう集まりです。・・・どちらかというと、ダイキチさんみたいな商家の旦那さんとか、その仕事仲間とか。作家先生のほうは学友とか、おなじように書き物をしてる方とか。 ―― 知り合いをさそってできた会なので、いろんな方が集まるんです」


 その集まりは、四日後にあるのだという。



「―― ですので、これをダイキチさんのお宅に運んでおかないと」


「なんでい、じゃあ、ここで出すことなかったじゃねえか」


「ちょっと品をたしかめたかったので」

 言って、積まれた山の一番上の箱をあけてみる。


「うん、注文通りだ」


 満足そうにうなずく男の横からのぞきこんだヒコイチが、「そりゃ、とうぜん、」いきおいよく返そうとした言葉が、続かななくなる。




 箱の中に収められた立派なろうそくには、黒ぐろと、『経』のような字が書かれていた。




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