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蓮池の白い煙のはなし  作者: ぽすしち


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18/73

ハスの実はなく


 しんみりとした声で、年よりは続ける。



「・・・ここのハスには、実がならないのです。 どれもこれもただの穴だけで実がはいらない。 わたしがここを買いましたときに、この池のハスの実ぜんぶ、知り合いの薬種屋に売りつけてやろうと考えておりましたのに、まったくあてがはずれて・・・」

 恥ずかしそうに額をたたいてわらう。

 

 寒気のひいたヒコイチが、それにつられるようにすこしわらうと、「 めが、そのかわりに、」と、年寄は懐からまた手ぬぐいをだして、汗がにじんだ額をおさえた。


「―― かわりに・・・、めがでましてな。ここを買い取ってもう三年すぎになりますが、・・・」


「はあ・・・」


 ハスがどのようにふえてゆくのか知らないが、その『』のおかげで減らずにいるという話だろうか?




 いやいや


 ここにきたのはそもそも、そのハスに、雨の日でも《白い煙》がただよう、ときいたからだ。



 だが、いまのところその煙はなさそうだった。

 夏の終わりだというのにまだ陽はあつく、庭の木々も池のハスも同じように容赦なく照らされている。




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