天使族の大陸編
今回の冒険は修行がメインであり、悪役は出てきません。しかし難易度は非常に高く、タイトルにある新たな力を身につけても一筋縄ではいかない相手ばかり。どう切り抜けていくのかをお楽しみに。
とりあえずマタカに言われて絆の一族がいるミガク王国の辺境にやってきた6人。また一族の村長に会いに行くことに。
「お待ちしておりました。ご活躍を聞いていますし、あれほどの活躍をされたあなた方ならば試練を受けられるでしょう。」「絆の一族の試練ってどんな内容なんですか?」「ここではなんですから、ついてきて下さい。」そう言われて着いたのは村の奥にある洞窟。そこには「いいですね。若く初々しいカップルといった感じでしょうか。愛の女神として祝福しますわ。試練を受けにこられたのですね、はじめまして皆様、絆の一族の信仰する神の分身、性と美と愛の女神アフロディーテです。」アフロディーテがいた。男性陣が惚れるのはもちろんのこと、女性陣が嫉妬するような圧倒的な美貌。ギリシャ神話では惚れなかった男神はいなかったとさえ言われている。ちなみに彼女曰く、「どんな男性でも女性でも惚れさせることができて、人や神の心を操作して恋愛に発展させることができますが、今回は関係ない試練なので使いません。」とのこと。
「基本的なことを聞きますけど、どうして絆の一族の信仰している神様が愛の女神様なんですか?」「それは、絆というのが愛の一つの形だからです。友情にしても信頼があって好意を抱いた状態であることは恋愛と変わらないですからね。」村長がそう答える。「それで、試練とは何なのでしょうか?」「今から説明しますね。まず、カップルに分かれて奥にある5つのルートから一つを選択してください。内容はどのルートも変わりませんが、教え合うということはできません。基本的に二人で乗り越える試練をまずクリアしてもらうことで、ユナイトの素質を身につけてもらいます。その後ユナイトをしてもらい、その先にある共通の試練をこなしてもらいます。その試練をクリアした後に私があなた方の魔力容量をユナイト状態を生かして無理やり上げる、これが絆の一族に伝わる限界突破の試練の一連の内容になります。」アフロディーテがそう説明した。「ただ、魔族と竜族の二人は勇者さんから言われている通りこの試練では魔力容量は上げることができません。参加は一応してもらうよう言われていると思いますが形式的なものになります。人間用に開発された方法ですので、これ以上となると別の方法が必要ですね。」「わかりました。」
とりあえず試練の説明通りにペアに分かれる。ユナとピレンク、トーイとシエム、マキとノレド。内容は同じなので適当にルートを選択した3組は出発した。すると、「いきなり暗闇!?」「ちなみにこのダンジョンは私の力でほぼ魔力の放出を抑えるので光魔法を使うことはできません。この視界の悪さを絆で乗り越えてもらいます。あ、飛行魔法も使えないので基本魔法でズルはできません。」すると、暗闇の中に何か光が差す入り口を発見したが、「ここ狭いよ?」明らかに狭い入り口で一人しか入れない。しかも「閉じ込められた!?」連続で入れないようにしてあるらしいので二人ともは入れない。「その中にこの暗闇のルートを示す地図があります。中は光で照らしてあるので問題なく読めるようにしてあります。残った人に魔道具でルートを示してある地点に到着するようにしてください。そこにある転移魔道具のスイッチを押せばその空間から脱出できるようになります。」3組は女性を中に入らせて男性は待機することにした。中には魔道具があった。自分の魔力放出は禁止されているが魔道具越しならOKらしい。謎技術だ。ただ、この魔道具は全部の魔法が使えるわけではない。ペンダントと同じ連絡用の魔道具だ。もちろん既存のセーブストーンやワープストーン等は使えないのだが、これだけは特注というか例外的にOKにしてあるようだ。3組とも男性が女性陣の指示を受けて動き出す。マップの形状は迷路になっていて、罠があったりする。「そっちは行き止まりだよ」「そこ罠があるから通り抜けて」「そこの十字の交差点は右」とマップの情報に合わせて罠を避けてルートを示していく。だが、これは試練なのでそんな簡単ではない。ユナがとあることに気付く。「これ、ゴールにどこも繋がっていないよ!?」「本当か?」ピレンクが思わず返事をする。そう、今のマップではゴールに辿っていく前に行き止まりになってしまう。「ここが怪しいかな。」行き止まりに 一見見える地図だが、よく見ると行き止まりを表す壁に上が覆われていない。しかし、壁が消えている箇所からゴールにたどり着くためには暗闇の中を二人で協力しながらマップのない部分をマップで方角を補いながら突破するしかない。ちなみにゴール地点はスタートの北にあり、東側にあるマップの空白地帯から暗闇の状態で手探りでゴールに繋がる北側のルートに到達するしかないという二人の信頼が試される試練なのだ。他の二人も、「あれ、この地図おかしいよ」「ルートが繋がっていないね、これ。どうすればいいんだろう」とようやく気付いた。しかし、ユナのようにどうすればいいかまでは思い付いていないようだ。ただ、ここで何もわかっていないトーイが偶然いた魔物に奇襲されたところを剣で倒したことが大きなヒントになった。魔物が奇襲しようが耳が良く獣人族固有の圧倒的なスピードを持つトーイの前では暗闇という条件であっても奇襲を成功させるのは難しい。「ん、なんか赤いマークが点滅し出したよ?しかも地図の外側でも光っているみたいだ。」ユナが気付いた赤いマークは魔物を表すものだ。トーイが出会ったことで他のペアの地図にも表示されるようになったのだ。もちろん、他のペアには連絡できないからこのことを知らない。シエムはマークが消えたことで正体に気付いた。
「とりあえず、その赤いマークの場所に案内してくれ。読みはおそらくあれだろうが、地図外でそれが何かをちゃんと知らないとまずい。」とピレンクが言う。いわゆるさっき道なりではない外れルートに入ると魔物が潜んでいた。襲ってきたが音や気配はわかるので難なく倒す。確かにここは完全な闇だからピレンクの武器の影が一切使えない。だが同時に影にずっと潜んでいたことで何がその先にいるのかは暗視ですぐにわかる。だからシルバーランスで接近させずに倒せるのだ。まぁユナがマップで位置関係をしっかり教えてくれたからこそ、接近してくる敵がマップではわからないジャンプするかどうかだけ気にすればいいという状態になったのだが。倒したのはダークウルフだった。「やはり赤いマークは魔物だったか。位置を教えてくれたから簡単に倒せたよ、ありがとう。」「それほどでもないよ。先に進みながらやっていこう。おそらくだけど、赤いマークの魔物って行き止まりにいるはずだから、それを避けるようにしながらゴールの方角を目指せばいいと思うよ。」「俺も進んでいる限りそう感じるな。さすがに地図の外には罠がないことを信じよう。避けようがない。」「さすがに試練だからそこまで鬼畜な仕掛けにはしてませんよ。」と二人のやり取りを見ていたアフロディーテが呟く。地図外の部分には一切罠は存在しない。命を奪うためのものではないからだ。ちなみに罠は拘束系や麻痺罠など、こちらももし発動しても命を奪うタイプのものではない。「ここからが本番ですよ、皆さん。」一番乗りで地図の外に出たのはやはりユナペア。最初から仕掛けがわかっていた分、すぐに地図の外に出た。次にシエムペアで最後がマキペア。この二人は魔物の確認も遅れたし地図の確認も一番最後だったため、置いていかれてしまった。赤いマークを確認しながら、ピレンクの言葉と合わせてルートを推測していくユナ。「先に魔物がいるから、おそらく曲がり角がこの先にある」「この先に2体の魔物がいるから真っ直ぐ進む感じだね。」魔物のマークを頼りにして、ピレンクの位置情報とピレンクが言う「行き止まり」という言葉を頼りにゴールを目指していく。一方でトーイは魔物と言うことはわかったのだが、それがイコールで行き止まりを表すということがわからなかったので、魔物を倒しては行き止まりに突き当たるということを繰り返していた。みんなからだいぶ遅れたノレドはマイペースに探していた。マキは行き止まりと気付いた様子で赤いマークを避けながらゴールを見つけようと奮闘しているが、魔物の中にリザードマンがいたため、食べながら移動しているためだ。そもそもドラゴンで非常に防御力の高い彼には人間状態であってもボス以外の低レベルの魔物の攻撃では傷一つつかない。服が彼の鱗で構成されているためだ。「ねぇ、そんなにリザードマンって美味しいの?」だいぶマイペースな恋人に呆れているマキ。「うん、実際食べると病みつきだね。」「あっ、そう。」「興味なさそうだね。」
そんな全然違う探索を見せる三組だが、ここで試練に変化球が。「ここから先ほとんど魔物がいない!?」そう、魔物がいなくなってかなりヒントが少なくなる。行き止まりになっていても魔物がいないのでわからないのだ。ここでマイペース全開だったノレドが「次のを探そうかな」とダッシュでマークをマキに教えてもらいながら試行錯誤したことで全員がほぼ同じぐらいの進行になった。「皆さんの試練、見ていて大変面白いですね。これは色々と期待ができそうです。」と女神は微笑んだ。毎回アフロディーテと書くのも長いので、絆の試練の間は女神と書いた場合はアフロディーテのことを表すことにする。
さて、追い付いた三組は女性陣のアシストもあり、なんとかゴール寸前までたどり着いたが、「私が地図を見せてるのはこういう理由ですよ」と女神が何かを発動した。「なんだ!?」「どうしたの?」「地面が、揺れてる!」「えっ!?」地図に写し出されたのは巨大な赤いマークだった。「気をつけて!すごいでかい魔物が出現したみたい!」「最後のボスってことか。見えない中で戦えとはなかなか鬼畜だな。」暗闇の中で彼らの第一の関門の最後の壁が立ちはだかる。そこにいたのは巨大なワニの魔物、ランドアリゲーター。陸上のみでも生活できるように改良されたと言われている。しかも。「こっちは確実に狙ってくるぞ、こいつ!」そう、熱感知センサーを持っているので目が見えない状態でも敵がどこにいるのかわかるのだ。トーイとノレドはわりと簡単に倒してしまった。なんならノレドは食べて、トーイは捕獲までしてしまったが、問題はピレンクだ。シルバーランスだけでは敵の硬い鱗のせいで有効打にはなりにくく、自慢の影達は一切使えない。魔物も魔力の放出が封じられているので使えないと今までの強みがすべて消されているのだ。ここでユナが指示を出す。「私を転移できるように、とりあえずスイッチだけ押して!一緒に倒すしかないよ!」「わかった、とりあえずゴールまでの道のりをちゃんと教えてくれよ。」もちろんボスを倒さなければゴールできない仕組みなので、ここで二人が協力するしかない。ちなみに残りの2組はゴールしているが、「とりあえず次まで待機してて」と女神から言われて待機中である。「なんだろう、誰かが苦戦しているのかな?」「ピレンクのところですよ、影が封じられていたらあのボスの硬さだと突破は厳しいでしょうから」ボスの情報は順当に倒したトーイからシエムに伝わっていた。熱感知で暗闇の敵を正確に把握して硬い鱗で攻撃を弾く。ほぼなんでも斬れる斬剣がなければトーイだって大苦戦間違いなしの相手だ。
「これか!?」ピレンクは敵の攻撃を掻い潜りながら転移魔道具のスイッチを押す。「光ったわ、今すぐ行くね。」ユナは転移の魔法陣が出たのですぐそれを使ってピレンクのもとにたどり着く。「明るいところから急に暗くなった、、って攻撃が来てる!」自慢の身体能力で会話途中でも避けるユナ。「暗闇でも敵さんはしっかり狙ってくるぞ。どうするんだ?」「ピレンク、私にユナイトをして。」「どういう理由だ?」「簡単だよ、私は斬剣を持っているけど、今の状態だと敵を倒すことはできない。斬れないというより威力が足りないんだ。」二人は避けながらもしっかりと会話する。「はじめてだからうまくいくとは限らないぞ。」「それでもやるしかないの。」「いくぞ、ユナイト」ただ、魔力放出や変換が制限された環境ではそんな上手くいかない。「失敗しかしないけどどうすれば!?」「こうする!」敵の攻撃を避けながらピレンクを持ち上げたユナは彼をおんぶした。
「強く抱き締めて!」「いいのか?」「やってみるの!」「わかった。」ピレンクはおんぶされたまま、彼女を抱き締める。その状態のまま、ユナイトを発動。「うまくいきそうだ」接触した状態になったことで魔力の融合がしやすい状態になったことで、徐々に彼女の身体と一体化していく。そして完全にユナイトが完了したところでジャンプして斬剣を振り抜く。ボスは完全に真っ二つになって倒すことができた。ユナは空きのボックスに捕獲を完了した。ボスを倒したことで扉が開いた。「やっと光がある世界に出たけど、なんかまた鉄格子があるね。」「そうだな。」「はい、皆さん揃いましたね。第一の試練クリアお疲れ様でした。第二の試練は絆を高めてもらうことがポイントになります。ペア同士はもちろんですが、捕獲した魔物との間の絆も試します。ペアは今の動けない状態のまま、檻に閉じ込められた状態になります。なので檻の先のスペースに魔物を召喚して、どんどん湧く魔物の群れを倒したり掻い潜りながら奥のスイッチを押してもらうのが前半の内容です。スイッチが押されると魔物は自動的に消滅する仕組みです。ただし、スイッチを押してもある程度の時間が経つまでは解放されません。」「なんでですか!?」「私、アフロディーテが性と愛の女神という紹介はしましたよね?それを利用した内容になります。魔物達に頑張ってもらっている間、あなた方カップルには愛を存分に深めてもらう、つまりイチャイチャしてもらいます。さすがに場所的にあれはありませんし、そこまでは要求しませんが、絆を深めてユナイトをする関係で異性であれば恋人関係に無理やり私がしてしまいます。皆様はカップルなので、お互いに対する好意の感情を一時的にかなり高めて愛を語り合ってもらう時間にします。」「「!?」」突然女神から堂々といちゃつくように指示が入ったら誰でも驚く。ちなみにユナ達も自動的にユナイトは解除されている。ただ、魔力放出とかの制限はここではない。「まぁ、魔物の全滅に手を貸されても困るという理由でもあるのですがね。」としれっと女神が理由を口走っていた。「それでは試練開始です。魔物を檻の外に出してください。」と言われて全員が魔物を出す。「召喚を勝手にされたようですが、出番のようですね。」とポーサもマキによって召喚されて捕獲された2体も含む全ての魔物がボックスから繰り出された。ただ、出された魔物が全組強すぎた。ユナのところはウッドガーディアンと影の魔物達の無双が、マキのところは白銀とポーサの魔法で倒し続けて、トーイのところはデーモンの一方的な蹂躙である。ここで手柄を上げられないウッドミノタウロスがうっかりデーモンに攻撃をしてしまい、敵もろとも食べられてしまったのだが、女神の魔法のせいで時間になるまで二人は気がつかなかった。ちなみにそれを見たダークグリフォンとサンドアリゲーターは傍観を決め込むしかなかった。捕獲した魔物があまりにも強すぎて制限時間の間までかなりの間魔物が出てこない3組のイチャイチャタイムがそこには広がっていた。しかし、ここで出てこない間にもう一つ事件が起きていた。マジックバッグはトーイが持っていたのだが、装備を置いてイチャイチャしていたせいでロックサイクロプスがシルバーアーマー、ミラーアーマー、斬剣を自身の磁力でバッグから抜き出して、別の魔物に進化していたのだ。合成に必要ない銀銃と神具であるラーの鏡、そもそも磁力で引き付けられない雷の衣は無事だった。その姿は完全に巨大な重装の鎧兵の姿そのもの。サイクロプスの影も形もない。そんな大事件が起きていても気がつかないほど、愛の魔法は強力だった。目の前の恋人にしか興味がなくなってしまうのだ。
「大好き、トーイくん。」と言いながらキスをしている二人。他のカップルも似たような感じだ。「本当にいいんですか?」「あなたの出番はまだ早いわよ、エロス。」「僕の矢で射抜けばすぐにおっ始めるんだけど、まさか抑制の方向に使うとは母さんは何を考えているんですか?」「することだけが愛ではないの。だから段階を踏んでタイミングが来たらもう一度呼ぶから。」「わかりましたよ。」そう言うとエロスは帰っていった。アフロディーテの息子のエロスは性愛を司る神だ。だから、させないようにすることももちろん可能である。俗に言う天使の姿は彼の姿を模したものであり、キューピッドの語源にもなった神だ。ちなみにアフロディーテはローマ神話のヴィーナスと同じであり、後に出てくるウーラノスの切断された男根から生まれたとされている。
「本当、魔法強すぎない?頭の中君のことしか考えられないんだよ」「俺もだ。性欲制限されてると逆にやりたくなりそう」「おそらく反動が凄そう」とマキとノレドが会話している。この二人は他の4人と違って16歳だから青春の真っ只中だ。「ユナちゃん、大好き大好き大好き、、」「いくら魔法が効いててもそれはちょっと気持ち悪いよ、ピレンク。大好きなのは確かだけど。」とこちらは冷静な判断をしている二人。女神の魔法は効いてるようだ。とは言え話だけで間をつなぐのは難しく、性欲も制限されているので抱き締めてキスをしてから話をするモードに入った。「なんかよくわからないけど、こうしていないと身体が落ち着かないね。」「僕もそう思う、絆を深めるとはちょっと違う気が、、」そう言いながらトーイとシエムはキスをしているので魔法の力が強いのだ。「皆さん、そのままユナイトをしてみてください。」「そういうことか、さっきの応用をやらせたかったわけね。」さっきユナイトを土壇場でこなしたピレンクがようやく女神の狙いに気がついた。キスをして抱き締めていることでより接触し感情も近くなる。この時にユナイトをすることでさらなる強化が可能になる。トーイペアは力のあるトーイが主となり、化け猫モードに近いような状態になる「猫の魔剣士」モード、ユナのペアは先ほど同様ユナが主となっているが猫主体ではなく、影を操り攻撃する「影の舞姫」モード、マキのペアはシャミと息子を吸収しているマキが主として動く「魔竜女王」モードとなった。「これがあなた方の新たな力、強化ユナイトです!お互いの好意を一定以上に引き上げ、抱き締めてキスするイメージを持つことで発動が可能になります。もちろん、発動に時間がかかるので次回以降はこのキスの工程はスキップすることができますよ、イメージがちゃんと残っていることが大切なので。ちなみにユナさんとトーイさんのユナイトが抱えていた体力低下のデメリットはなくなっています。ただ、時間制限がついているのでそれ以降は強化ではなくなり通常ユナイトに変更されます。効果時間は15分です。」「すごいですね!これが新しいユナイトですか。」「これはすごい力を感じるね。」「化け猫モードではない強い力を感じるよ。」とユナイトした三者三様の意見が出た。「強化ユナイトも無事成功したので、ユナイトの自動解除をして檻から出られます。これから第二の試練後半を始めます。」こうしてユナイトが解除されて檻が開くと、、「なんだこれ!しかも一体減ってる!」トーイとシエムがようやく異変に気がついた。そもそもでかいサイクロプスがここまで様変わりしていたら普通は音や光で絶対気付くのだが愛の魔法のせいで気がつかなかった。「お前はロックサイクロプスなのか!?」鎧の騎士は頷いた。「斬剣をなぜ持っているんだ!?」騎士は答えない。ただ、言葉らしきものは持っているようだ。「わかった。おそらく理由があるんだろうな。とりあえずあとでマキさんに確認してもらおう。」「で、あとの問題は一匹、ウッドミノタウロスが消えていることなんですが、、」「デーモンの身体の側面の傷を見るにこれは仲間割れかな、、戦闘したい欲が強くてデーモンの邪魔したせいだと思う。」デーモンが頷いているのでそのようだ。「とりあえず斬剣なしで試練に挑む必要があるのか、、」次の試練は魔物なしで攻略しろ、というものらしいので返してもらうことはできない。そもそも斬剣の意志がなぜか鎧騎士につくことを選択しているらしいので取れないのだ。この辺も聞く必要がありそうだ。
「次の試練はキングドラゴンの鱗を捕獲する試練になります。捕獲したあとすぐに魔力容量拡張を行います。つまり、その拡張の材料として使用するために捕獲してもらうのです。」「キングドラゴンってなんですか?コーテックドラゴンとどう違うのですか?ダンジョンで時折見かけるのはその部位達ですが」「いい質問ですね。キングドラゴンは今の竜の里の族長のことです。そして、コーテックドラゴンは全ての竜の祖と呼ばれる存在であり、時空を操る存在でもあります。キングドラゴンもまた、銀の鱗を持っているのです。」「子孫ということですか?」「その通りで彼の息子なのだ。そこにいるノレドの叔父に当たるな。」と転移で入ってきたのがキングドラゴンらしい。ドラゴンの姿をしている。「ど、どうもはじめまして、、」「そんなに緊張しなくていい。これは君達が人間を越えるための儀式を見守るためだ。」「「人間を越える!?」」「魔力容量を拡張すると言うのは簡単なことではない。人間のままではどうしても限界を越えることはできない。だから外部から無理やり容量を増やすのだ。そうすると人間を越えることになり、基本種族が竜人となるのだ。」「竜人!確かにいましたけど、ドラゴンと竜人ってどう違うのですか?」「ドラゴンは擬人化ができるが基本的にはドラゴンの姿が本当の姿だ。人の姿で生まれたほうが楽な場合が多い故に人との交配で生まれるケースが多い。一方、竜人はドラゴンになることはできない。基本は人間ベースの存在だが、竜人はドラゴンから生まれることはない。竜人とドラゴンは似ているが完全に別の存在なのだ。そしてその成り立ちこそ、人間が竜の魔力を得て変化した姿なのだ。竜人が子を産むと竜人が生まれることがある。まれに人間の可能性もあるが。」「ありがとうございます。」
「では試練を始めましょう。鱗はすでにこの先でスタンバイしています。いつも通り倒して捕獲をしてください。」6人は檻の先にある扉を開けた。そこには確かに鱗が空中を浮遊していた。斬剣軽を持っていたユナペアと、圧倒的な戦闘力を持つマキペアはあっさりクリア。問題はトーイのペア。斬剣を失ったのでシエムの対ドラゴン魔法ドラゴンイレーサーで対抗するがあまり効いていない。「聖剣を使おう。僕がユナイトをする。」と後ろから抱きついた。「わかった、トーイくん。やってみる。」とシエムとトーイがユナイト。今回はシエム主軸だ。「速い!これがトーイくんやユナちゃんが出しているスピードなのね!?」人間では到底出せないレベルの速さで鱗に接近し、聖剣で斬る。聖剣であってもユナイトしているので斬る力は十分であり、捕獲に成功した。「さて、全員捕まえましたね。では、儀式を始めます。全員、ユナイトをしてください。そして、捕獲した鱗を出してください。」そう言うと全員転移で一番はじめの大広間に戻された。そこには女神とキングドラゴンがいた。ユナイトを全員でして、キングの鱗を出す。その鱗をキングドラゴンの指示でユナイトした肉体と合体させる。一組は何も反応がなかった。マキのペアだ。あらかじめそう言われていたがもともとドラゴンの二人には竜の鱗で容量を拡張をする必要がないからだ。鱗は何事もなく取り込まれた。「やはりそうなるんだな。」「みたいですね。でも、魔力は感じますよ。ありがとうございます。」「それは良かった。」一方、他の2組は竜の鱗を取り入れて女神による容量の拡張が始まろうとしていた。「ユナイトによって容量を拡張しているところに魔法で竜の鱗の魔力を全身に流し、竜の鱗の魔力を身体に染み込ませます。この状況を作ることで種族を人間から竜人に変えて、魔力容量をアップさせます。」取り込んだ魔力を浸透させていく。「うわあああぁぁ!」「んぐぐぐぐ!」声にならないような苦痛の声が2組から漏れる。異物を無理やり体内に取り込んで身体に馴染ませようとしているのだ。激痛なんていうレベルではない。「苦しそうだね。」「人間だとああなるんだな。」特に反応のなかった二人は傍観していた。「ま、まだ終わらないんですか?」「浸透はそれなりに時間がかかります。均一に広がらないと身体に大きな影響が出ますので、慎重にやっています。」「い、痛い!」「あああああ!」「もう少しです。頑張ってください。」あまりの痛みに2組とも気絶した。「やはりこうなりましたか、、こうならない人間は今まで見たことがないですね。」「絆の一族も皆さんやっているんですか?」マキが聞いた。「魔力量が一定以上になることが最低条件なので、この試練をした人間は今まででも20人を越えるかどうかレベルですね。しかし挑戦した人間はいずれも後世に名を残すほどの強さを持った人達です。マタカさん達みたいにね。」「本当に勇者と言われる人達とかそういう方々ってことなんですね。」「その通りだ。」
ユナイトが解除されて肌に竜の鱗の模様がついた場所ができた。
しかし首筋に少しついているだけでリーカフォルで見た竜人とはほど遠い。「本当の意味の竜人になるにはもっとドラゴンの部位を沢山入れてドラゴンと一体化するレベルでやるんですが、それを耐えられる人間はほとんど今はいないでしょうね。実際にできたのはドラゴンに認められた竜人の祖だけだと言われています。」「そうなんですね。」気絶した4人の代わりにマキが返事をする。「やっぱりこうなったな。久しぶりだ、アフロディーテ。」「あら、お久しぶりですね、マタカさん。で、その女性をなぜお連れに?」「ああ、彼女は絆の一族なんだが、可哀想なことに記憶と魔力が封印されたままでな。お前の力で戻してもらいたい。何しろそこにいるシエムの母で次期女王の母になる人なのだ。」「はじめまして、アフロディーテ様。フマと申します。」「あら、それは責任重大ですね。状態を見てみますね。なるほど、この封印なら私なら解けますね。行きますよ。」女神が魔法をかけて封印を解く。「お、思い出しました。ここの使命、歴史を。紡いできた歴史は途絶えさせてはいけませんね。」「それはそうですが、私達がいる限り大丈夫ですよ。魔力は使えるようになりましたか?ためしに魔法を使ってみてください。そうですね、ファイアーボールと言ってみてください。」「ファイアーボール」そうフマが言うと、「こりゃリンキと同レベルの強さだな。だからシエムちゃんがあれだけ魔力を使えるんだ。」かなり強力な魔法が目の前の空間に発射された。魔法を消滅させたマタカが驚いている。「私、魔法が使えるようになったんですね。これから何かできることがあるでしょうか!?」「そうですね、いつまでも住み込みのシッターさんに縛るわけにはいかなさそうですね。」4人をすでに転移させたフェアルが戻ってきた。「そんな!これからもポールくんのお世話は、、」「別にそれは代わりはいるんですよ。でもフマさんは一人なんです。その魔法の才能、能力はちゃんとこの国のために使うべきですよ。」「、、わかりました。ミガク王国のためにこの魔力が役に立つのであれば、使いましょう。でも、私はこれからもヒエノ島に住みますよ。愛する人が側にいますからね。」「これをどうぞ。」マタカが渡したのはワープストーンだった。「すでにこの国の石碑には記録してあります。どういう仕事をするかはわかりませんが、頑張ってください。」「がんばります。」このあと彼女はミガク王国でその高い魔力量を買われて様々な魔法研究に協力するようになる。絆の一族の中でも特にその魔力量は高く、また次期女王の母親という立場も大きかった。彼女のコネで今まで建設ができなかったミガク王国で魔法耐性のある家などをクダイが建てることになる。さて、試練は終わりその夜。変化による激痛で2日ほど寝込むらしい4人はフェアルに任せて、マキとノレドはホテルにいた。性欲抑制の魔力が切れた結果、「私もうダメ、抑えられない。」「俺も」というわけで半ば媚薬が効いているような状態になってしまった二人は冒険して以来はじめての行為をしようとしていた。「ごめん、抑えられないから激しくなると思う」「それでいい。君ならね。」あまりにも行為が激しくてマキの声が大きすぎて防音の魔法が貫通して隣の部屋まで聞こえていたという。
「お客様、もう少し音量を下げて頂けると助かります。」とボソッと扉を開けて従業員に言われて裸の二人は恥ずかしくなった。
翌日、海底ダンジョンの探検に向かったノレドの両親の代わりに妹達二人のお世話をすることになった二人。姉のストナと妹のキドナ。二人は2歳差であり、現在3歳と1歳。好奇心旺盛で、破壊する力が強い。二人ともドラゴンであり、成長すれば変身も可能になる。家に入って子供部屋を見ると、「やっぱりかー、、」ぐちゃぐちゃに破壊されたおもちゃ達がそこにはあった。強度を魔法で強化したおもちゃでさえ彼女達は簡単に破壊してしまうパワーがある。正直壁も結構ボロボロになっている。「破壊欲が強すぎるのよね。この子達。シャミ、分離できる?」「主の望みとあらば。」ミニドラゴンが現れた。力の大部分は一体化しているマキに主導権がある。遊び相手がまた現れたので二人は興味津々だ。普段は色々吸収する前の人間に近い姿に戻っているマキも、変化を解いて翼を出す。外に出て二人を乗せるためだ。ノレドもまた、外に出てドラゴンに変身した。彼らが向かうのは東大陸のフィールド。魔物もいるけれど、彼らの圧倒的な魔力を放出していればまず雑魚の魔物は襲ってこないので安心して遊べる。時折冒険者が通りかかり、「誘拐!?」と勘違いして剣を向けてくることもあったが、説明したこともあり特に大きな問題なく遊ぶことができた。1日しっかり遊んだ妹達は家に帰ると疲れて熟睡していた。「こりゃ父さん達も大変だな。」「そうだね、もともと冒険者だったのにこれだと目を離したら破壊されるもんね。」
翌日。激痛から解放されてようやく目覚める4人。しかし時刻は昼過ぎだ。「ん?あれ、僕達は、、」「試練のせいで寝込んでいたの。あ、あとフマさんがシッターをやめたから新しくシッターを雇ったの。ユーリさんって言うの。」「ユーリです。皆さんよろしくお願いいたします。」「お、お願いします。」とここであることを思い出す。「とりあえず道場にマキさん達を呼ぼう。話したいことがある。」「例の件ですね。」とシエムが頷くが他の二人はよくわかっていない。「ところでお母さんはどうなったんですか?」「あなたの国で研究に力を貸す仕事をするそうよ。あと、シエムちゃんには言ってなかったけど、お母さんが私の夫の弟のクダイさんと再婚することになったから、よろしくね。」「そうですか、お母さんが幸せならそれで私は構いません。」
「受け入れてくれてありがとうね。勝手に決めて申し訳ないけど」「別にもっと早く再婚を決めても良かったと私は思ってましたよ?あれだけ私のことを必死になって育ててくれていたんですから。」フマの目に涙がこぼれる。「ということでよろしくね、シエムさん。新しくお父さんになるクダイです。」「はじめまして、ですね。母さんのことよろしくお願いいたします。」こうして急に始まった家族の紹介は終わり、道場に向かうことに。
「で、呼ばれてきたけど何の要件?」「実はこれなんです。」鎧騎士を繰り出す。「なにそれ!何がどうなったらそうなるんだい?」マキさんは驚いている。「で、要件はどうして斬剣を取り込んで進化したのかを聞きたいのでマキさんの力を借りたいんです。」「なるほどね。えっと、、」「理由は斬剣の意志らしいよ。斬剣が弱いから主に迷惑をかけているって」「え?そんな場面あった?」「ポセイドンの槍や魔王には斬れずに受け止められていたと言っているよ」「ああ、確かにそうだな。」「で、何々、、騎獣を貸して欲しいと言ってるね。ピレンクの2体を貸して欲しいみたい。」ピレンクはダークメタルベアとダークライノを繰り出す。魔力で騎士によって無理やり合成された2体は脚が6本になったダークメタルラインベアになった。「これから私は修行の旅に出て主のために強くなって帰ってくる。それを許してくれないか、だってさ。」「うーん、、」斬剣は戦力ではあるけど、もう一本あるし、なんとかなるかな。「分かった。その代わり必ず帰って来てくれ。」「もちろん、と言ってるね。」マキさんが翻訳する。騎獣にまたがった騎士は転移を使いどこかに消えていった。「斬剣がいなくなると辛いな。軽では切れ味が、、」と言っていると水砂の剣と軽が浮いた。クラーケンが「我が2つを合わせて切れ味を上げよう。そうすればかなり使いやすくなるであろう。」これ一本で再生対策と驚異的な切れ味を両立できるのは非常に強い。元が水の剣だから合成できるようだ。「なら、繋ぎに俺の素材を使おう。そのほうが楽だろ?」「確かに。助かるぞ竜の子よ。」逆鱗、牙、爪と2つの剣を合わせる。「これで完成だ。斬剣の改良版と言うべきだな。」斬剣改と言うことになる剣が完成した。すると、マキが身に付けていたゴールドアーマーが身体に吸収された。「!?」さらに。白銀が飛び出し、こちらもマキと一体化する。「なんなんだ!?」「新しい技が使えるようになったのでは?」「試してみよう。」マキは頭に浮かんだ文字をそのまま言った。「ゴールドパンチ。」すると、、「手が黄金のガーディアンのものに変わった!?」「防御性能も試したいな。ピレンク、シルバーランスで私の身体を狙ってみて。」「わかった。」「大丈夫なんですか!?」「一体化したっていうことはただのモンスター防具以上の性能になっているはずだよ。」ピレンクはシルバーランスを思いっきり突き出した。「自動防御がちゃんと発動したね。」ゴールドとシルバー両方のアーマーが発動した。シルバーランスの先が欠けてしまうほどの防御力だった。しかしモンスター武器なので自動修復が発動してすぐ元に戻る。「斬剣で狙ってみてよ。きちんと試してみたいんだ。大丈夫、魔族はそこまで柔じゃない。一回しか切らないのであれば毒とかも無力化できるしね。」トーイがユナイトをせずに全力で斬ろうとすると、「さすがにユナイトして全力で来たら厳しそうだけど、この程度は読み通り防げるね。」しっかり二枚のアーマーと竜の鱗でガードし切った。そもそも竜の魔法耐性があるので剣の魔力の効果である切れ味増加をある程度抑えることができることが原因のようだ。一体化しているのでアーマーは斬れたもののすぐに元通りだ。「しかし、これでマキさんの初期の手持ちは全員マキさんの身体の一部分になったんですね。最初のシルバーアーマーはさっきの騎士が持っていきましたが。」「そうだね。テイマーではあるけどかなり自力で戦えるようになったからね。ただ、ラミアもそうだけど一体化して戦うよりは一緒に戦いたいかな。シャミは失いたくないからわがまま言ったけど、魔物達とは基本的に仲良くしたいんだ。」「その言葉しっかりと受け止めます、女王様。」ラミアが飛び出してそう言う。「確かに皇太子ではあるけど魔王がいる限りそれは早いよ、ラミア。」「いえ、貴女様は必ず女王になられるお方ですよ。」その予言はその後とある形で現実になるのだが、それは別のお話。
なんだかんだ確かめたりしていたらもう夕方になっていた。「明日からはいよいよ天使の大陸だね。」「ああ、何があるか楽しみだ。」「天使族の試練ってどんなものなんだろう。」そんなことを言いながらお風呂に入っていると暖めていたラーの卵が孵った。「ラーの雛鳥って感じだね。まだ小さいね。」「どんな能力を持っているんだろうね」この鳥の能力は後に明らかになる。
翌日。ラーの神殿の転移ポイントからノレドさんに乗って天使の大陸を目指す。「ここかな。結界があるね。」ノレドさんから降りた僕達は結界を調べる。すると「勇者様、ダンジョンを攻略してください。」とテレパシーのようなものが脳内に響き、目の前の結界が消える。入るとそこには「一面砂漠だね」ラーの神殿の時からそうだったが、ここもまた砂漠地帯だった。「ダンジョンって一体どこなんだ!?」そういうと、ラーの雛鳥が鳴き始めた。「案内してくれるらしいよ」マキさんがそう言う。「目の前の流砂のアリジゴクを倒した下がダンジョンみたいだね。」アリジゴクの魔物が巣を構えている下にダンジョンがあるようだ。ちなみにアリジゴクは本来ウスバカゲロウの幼虫だが、この魔物が成長してウスバカゲロウになるという記録は辞典にはないらしい。ウスバカゲロウはトンボに見た目が近い昆虫だがトンボではなく甲虫、カブトムシなんかに近いと言われている。まぁ倒すだけなら今の6人ならオーバーキルどころの騒ぎではないので簡単に倒した。勇気を持って流砂に飛び込むと「本当にダンジョンだったね。」そこには空間が広がり、奥に繋がっていた。6人はこの流砂の洞窟に挑んでいく。「石碑があるってことは誰かがすでに挑戦したってことだね」「そうだろうな。」流砂の洞窟は土属性の魔物が多い。アルマジロ、サンドエレファント、サンドジラフ、サンドアーマーなどがいた。キリンやゾウなどでかい魔物が普通に沸いてくる。ただ、そこまで苦戦する相手ではない。10階層下ったところでボス戦に突入。ボスはサンドローラー。巨大ダンゴムシだ。斬剣で斬れば楽勝ではあるが穴を掘って攻撃したり砂を作ってガードしたりと一筋縄ではいかない。「もう穴を掘らせなければいいんだよ」とピレンクが潜ろうとしたボスを拘束。影だけだと逃げられそうになるところをシエムがバインドで、マキがガーディアンの腕で拘束する。変化させることでかなり腕を巨大化させることが可能なようだ。その隙を逃さず斬剣で倒して捕獲した。次の階層からは厄介な敵が2体いた。「なにあれ、、気持ち悪すぎるよ、、」「斬っても数が増える!?」サンドコックローチとサンドラットである。要はゴキブリとネズミだ。ゴキブリは女性陣に大不評だった。まぁユナが見つけ次第銀銃で倒しまくる位人間サイズのゴキブリは気持ち悪いのは確かだ。問題はラットのほうでこっちは斬ったぶんだけ増えるし魔法で倒してもすぐ次が増えるのであまり対策にならない。ならば、、「デーモンに食べてもらうしかないな。」あまりにも数が多いのでデーモンだけではカバーできないぶんを前捕まえたサンドアリゲーターでカバーする。「でも食べても食べても増えてるように見えるけど?」「この魔物は土の魔力から生成されているんだ。土の魔力を全て吸わないといくらでも出てくるよ。」マキがそう分析する。「魔力を吸うのは俺の得意な領域だ。」とノレドが手をかざして地面から魔力を吸収する。ユナイトした時に会得した技らしい。「私もやってみる。」とシャミのヤマタノオロチに変身して魔力を吸収していく。すると、「ダンジョンの土が脆くなって下に落ちる!」とピレンクが警告する。「きゃああ!」「うわぁ!」そのまま魔物達と6人はダンジョンの下の階層に落ちたらしい。「本当にこの攻略方法で合ってるのかな?」とマキがラーの雛鳥を出すと向きは下向き。通常階層で試しに使ったときはきちんと階段の方角に向かっていたので、これは、、「つまり、これをするしか打開策がないってことか。結構魔力と同時に砂も吸っているからきつそうだね。」「ウッドガーディアンも出しましょうか?」「お願いするよ。」デーモンやサンドアリゲーターで他の魔物を処理しながら、ルートドレインを使ってフロアの道を切り開く。しかし10階層戦って下ったこともあり、15階層までしか進めなかった。時間的な問題もあるが、魔力がきついし砂を出さないと厳しいためだ。「試練なのでやり直ししてもらいますね。」謎の声がダンジョンに響いた。そんなことになっているとはつゆ知らず、全員お風呂に突入していた。「もう砂だらけだよ、さっきも沢山出したけどさ」ノレドとマキは吸収時に沢山砂を吸っていたため、帰ってきたときに砂を出して、風呂に入ったときにも砂だらけの身体を洗うことになった。もっとも砂だらけなのは6人全員同じなのだが。「明日もこんな感じかぁ。本当早く終わって欲しいね。」何しろこのダンジョンを抜けないと天使族の集落に行けないらしいので、厳しい戦いになるだろう。「今思い付いた方法があるんだけど、明日試していいかな?」一方、男子風呂ではトーイがとある提案をしていた。「確かにあの方法だとユナやシエム、俺はお荷物だが、、何か策があるのか?」「うん、ピレンクにもちゃんと協力してもらうんだけど、、」「なるほどな。確かにユナや俺の力もそれなら必要だな。にしてもだいぶ強行突破じゃないか?」「マキさん達の方法もだいぶ規格外じゃないかな?」「まぁそうだろうな。ところでその作戦は俺には教えないのか?」「一応本番になったら言いますけど本命ではないのでそっちはそっちで頑張ってもらうしかないかもしれないので。」「でも別の作戦に懸けるのはいい手かもな。乗ったぞ。」聞いていた女性陣は「作戦って何だろう?」と首を傾げていた。翌日、セーブストーンでワープをするとユナが「あれ、これ11階層じゃないかな?」見ると天井が砂ではなく砂岩でできていて、明らかに上はボス部屋のあったところだ。ちょうど降りてきた階段も見える。「セーブストーンが故障したのかな?」とトーイが疑問に思うと「いや、そもそもこの10階層全部が一つの階層扱いなんだよ。だから砂が元通りになって最初からやり直しなんだ。」とマキが冷静に分析する。「じゃあ、今日は少なくともボスを倒さないと行けないってこと!?」「そういうことだね。前回までの方法ならなかなかしんどい戦いになりそうだけど、、トーイくん、作戦の説明を。」とマキが丁寧に前振りをすると「じゃあ説明しますね。斬剣は基本的に何でも斬れる剣です。たとえダンジョンであってもそれは魔力の塊と同じです。少なくともこのダンジョンの今の床は砂の魔力の塊なのは昨日やってもらったときに明らかになりました。ただ普通に斬れたとしてもダンジョンは再生機能があります。つまり魔力の塊を斬って、再生する前に飛び込んで次の階層に行きます。そのために影で連結してみんな一緒に飛び込めるようにします。」ちなみにこの間に出た敵は全てデーモンが吸収して、ラミアの誘惑が効く相手なので再生するサンドラットは釘付けにしている。「行くよ。」ユナイトして化け猫モードに。今回はダンジョンの床なので本気で壊さないといけないからだ。デーモンをしまって、シエムが念のためアルラウネのネックレスを起動して誘惑を重ね掛けする。砂の床を四角く斬って真下に落ちる。再生機能は思ったよりは早くないので全員で安全に降りていき、ボス部屋に到着した。ボスはサンドジャイアント。なんと、、「えええ!!」そう、ボスは今までのフロア全て、つまり11階層からの20階層の10階層分の砂の魔力でできたボスだった。ボス部屋に降りた瞬間、上のフロアから砂が集まってめちゃくちゃ大きな巨人になった。つまりこの10階層は全てボスの体内にいたのとほぼ同じなのだ。「こりゃセーブが効かないわけだ、、」と冷静に分析するマキに対してすぐに攻撃を仕掛けるボス。圧倒的な質量から放たれるパンチは食らえばいくら砂の塊とは言え衝撃が強くて即死レベルの攻撃だ。しかも斬ったところであまりダメージにはならない。原料の砂がすぐに補給されるからだ。「吸収しきるって言っても、、」さすがに10階層ぶんのエネルギーと砂を吸収するのは大変過ぎる。避けるのが難しいシエムはピレンクの影に隠れている。なにか、本当に倒せる方法はないのか!?「相手が水の巨人ならフロアに穴を開ければ倒せるかはともかく吸収しやすくなるのに」「それだ!」「急にどうしたの!?」「スーパーボックスを使うんだよ。それをすれば魔力はいけるはず。」「でも、相手は砂もあるよ。さすがに吸引する過程で詰まってしまうでしょ。」「だから、今クラーケンに聞いたんだ。斬剣でとある技が使えないかって。そしたらユナイトするときに聖剣と合体すればできるって言ってた。」「そのある技って何さ?」「まぁ見ててよ、マキさん。ちゃんと倒すからさ。ピレンク、聞いていたか?」「もちろん。影で誘導する。」言葉を交わしながらもボスの攻撃はしっかり避けている
6人は連携を取り、シエムとトーイがユナイトする体勢に入った。シエムも聖剣を取り出してユナイトをする。すると、「本当に剣が合体している!」ユナイトと同時に聖剣は斬剣と一体化し、合体した。「行くよ、次元斬り。」すると剣が光り輝く。光る剣をボス相手に切り傷のように細かく斬っていく。すると「砂が、空間の切れ目に吸収されているよ!」「狙い通りだね。」「スーパーボックス、出すよ。」「頼むよ。」ボスは空間の切れ目に砂が吸収されてまともに動くことができない。空間の切れ目は当然すぐになくなるが、絶え間なくトーイが跳躍しながら身体に切れ目を入れているため次々と砂が吸収されているのだ。まるで栓が抜かれてお湯が抜けていくお風呂のように。魔力もスーパーボックスに少しずつ吸収されている。残りの4人はスーパーボックスの位置を固定しつつ、変な方向に行かないようにしている。何しろとんでもない吸引力のボックスを維持しているので放っておくと身体で吸引口を塞いでしまう。マキとノレドがガーディアンとドラゴンの力で強引に入り口を確保しているのだ。こうして魔力と砂という身体を構成する2つの物がバラバラにされたサンドジャイアントはやがて完全にスーパーボックスに魔力を吸収されて戦いはなんとか勝利で終わることができた。「と、とりあえず21階層でセーブしない?次のボスがまたこいつかもしれないし。」「さすがにそんなこと、、ないとは言い切れないね。」
ユナも今回のボスの意地悪ギミックには参っているようだ。
「しかし、すごいね。ユナイトしているとは言え空間を切り裂いてその異空間に砂を送るなんて作戦、思い付いてもできないよ。」「斬剣は概念も斬ることができる、って前に言ってましたよね。だったら空間も斬ることができるのかなと考えたんです」
「なるほどね。その応用と言うわけか。そしてユナイトが解けると剣は元に戻るんだね。」シエムの手元には聖剣があった。
「ユナイト限定で合成できるなんて聞いたことないなぁ。実家が防具専門の店だったけど防具の合成自体は魔法でできるんだよね。」「だからノレドさんは合成が最初からできたんですね?」
「ああ。仕組みはわかっていたからな。そんなことよりすごいな、その技。聖剣の能力なのか?」「多分そうだと思います。」
今度はシエムが答える。「父の倉庫にあった書物に書いてありました。この剣には邪悪なる物を封印する能力がある、と。」つまり聖剣の封印とは別空間に無理やり飛ばして力を奪ってしまうことなのだ。空間を切り裂く力は必須能力なのである。そこに概念なども切り裂ける斬剣との組み合わせをすることができれば、大体の敵は倒すことができる。「とりあえず、少し休んだら21階層でセーブして帰ろう。」「そうだね。」21階層以降は普通のものでサンドラットもゴキブリもいないエリアだった。「よかった。そもそも敵からしても嫌がらせなのに階段がないなんて最悪だよ。」女性陣が口を揃えて言う。フロアが砂だらけとネズミとゴキブリでは印象が最悪なのは当然だ。ちなみにゴキブリは避けながら遠距離攻撃で倒していた。サンドラットはボスの身体の一部分でしかないのでボスとして現れた時点で出てこなくなる。
セーブストーンで記録して帰還する。「もう、また砂だらけだね、、」「やだよ、もう。あそこ行くといつもお風呂が汚くなって怒られるんだよ?」砂の量が尋常ではないので服を泥まみれにして帰ってくる少年より質が悪いのだ。今回は砂を切り裂いて進んだこと、スーパーボックスのそばかボスの間近にいたことで全員に大量の砂がついたのだ。そして彼らは浄化魔法とかは覚えていないので裸になっても砂が沢山ついた状態になるのだ。身体は先にちゃんと洗っていてもそれでも汚れている。排水口は詰まるわ、浴槽の掃除が大変と掃除当番の門下生に怒られているのだ。
もちろん洗濯のときにも服が砂だらけで怒られる。勇者とその仲間達だから何しても許されるわけではないのだ。「逆に興味持ってたけどね。どんなダンジョンならここまで服を汚してくるのかと。」「好き好んで砂だらけにするわけないのに、、」「まぁ
明日は大丈夫だよ。砂だらけになることは回避するから。」
しかしこのあととんでもない展開が起こることになるとは6人は気付いていなかった。翌日。21階層はすっ飛ばして28階層。あの嫌がらせがないためあっさり進んでいたところに現れたのはドラゴンの牙。「デーモンに任せてみる?」「そうするか。」
デーモンは砂の魔力だろうが砂を飲み込むデメリットを気にせず吸い込んでいる。消化なり排出なりしているのかと思いたいがどうしているのかは不明だ。牙はあっという間に吸い込まれたが、進化しない。「身体に残っているなら攻撃されちゃうんじゃ?」
「いいや、ちゃんと飲み込んで倒したらしいね。単純にデーモンが魔力をほぼ際限なく吸収できるからこの程度では進化しないんだ。」意志というかデーモンの言葉を読み取ったマキがそう言う
。あっさり倒してしまったので30階層に向かうと、、「またかよ、、」そのフロアに見覚えがあった。忘れもしないサンドジャイアントのギミックと同じだった。ボスの姿はないが、頭の中に言葉が浮かんできた。「我はスフィンクスである。罠を掻い潜りここまでたどり着いて見せよ。戦うのを楽しみにしておる。」
なんとボスはこのギミックを抜けて戦うことを強制させたのである。ただでさえサンドラットがうざいのに罠を警戒しながら進まなければいけないのはまずい。とりあえずセーブは部屋直前で行っている。フロアが見えている段階ですでに地雷確定だからだ。
ラットをラミアの誘惑で動けなくしていく。誘惑で誘われた相手を痺れさせることもできる魔法もラミアは持っていた。結界魔法の応用で無防備に接近した敵に麻痺を撒くのだ。「この魔法はエキドナ母さんの改良したポイントみたいですよ」とのこと。ビッグマザーは遺伝子組み換えなどができてそれで強力な個体を産み出せるようだ。フロアを斬って下に移るとスフィンクスからの設問が出た。「今のフロアに変な模様がある壁がある。それを探せ。」ちなみに下の床は砂のままだが硬くて斬ることは不可能だ。「スイッチってことか!」ピレンクがそう言うと全員で手分けして探すことに。言葉を話せる魔物やポーサも召喚して探すことになるが、ラーの雛鳥があっさりその模様を発見してしまったので肩透かしを食らった。「それも探せるんだね。」と模様のある壁を押すと下のフロアに落ちた。「痛いんだけど、、」それなりの高さから落ちたから普通の人間なら骨折してもおかしくない。ただ彼らは普通ではないので無傷だ。魔物部屋の床を斬って次に向かうとまた設問が。「鍵を持ったコウモリの魔物が次々と出現する。その中から本物の鍵を探せ。」すると言葉通りコウモリの魔物が次々と出現した。「どうやら誘惑や麻痺は効かないようですね」とラミア。魔法や銃で次々と撃ち落とす。鍵がどんどん落ちていくが、、「ここも雛鳥に任せよう。」とやってみるが、、「方角だけわかってもどれかがわからないから結局は探さないとダメか、、まぁ余計な鍵が減らせただけよしとしよう。」雛鳥のおかげで10分位はかかったが、見つけることができた。
この時マキが異変に気付く。「魔力が少しずつ身体から吸い取られている。これが本当の罠かもしれない、、」そう気付いていたが確信が持てなかった。魔物フロアを抜けて次の部屋のギミックは、、「次々と沸く魔物の全滅で扉が開く。ずるはできんので頑張ってくれ。」すると一気に魔物が沸く。サンドゴブリン、サンドウルフ、砂もぐらなどだ。デーモンを出していなす作戦に出ようとしたが、、「使えない!ずるが出来ないってそういうこと!?」さらに言うと魔法全般がこのフロアでは使えないのだ。シエムとピレンクがほぼお荷物になってしまったのでトーイとユナはユナイトをして一気に倒していく。キングは魔法そのものではないので振り回したりできる。近距離をキングでカバーして遠距離をシルバーランスで攻撃。トーイのほうはサクサク敵を斬剣で倒していく。マキとノレドも身体の形状変化と竜槍でどんどん残った敵を倒す。サンドガーディアンなども出たが斬剣の前では無力だ。数分で倒し切った6人は扉を開けてみると、「ようやく来たな。待っていたぞ。」とスフィンクスが待っていた。その姿は女性の顔とライオンの胴体と翼を持った姿だった。突撃するユナとトーイ。しかしマキ達は攻撃しなかった。前述の嫌な予感があったからだ。「罠があると言っておったじゃろう!?安易な突っ込みは厳禁じゃぞ?」と罠に嵌めて喜ぶボス。火炎魔法の罠でユナとトーイは燃やされた。さらに、「っ!」「罠は沢山あるが、全部起動したらしいの。」まだ罠にかかってもユナイト中の魔力防御力が高くて生きていた二人は砂で拘束され魔力を吸い取られていた。「助けるぞ!」とノレドが突っ込むが罠は容赦なく起動する。彼も拘束されるが力ずくで脱出。「助けようにもこれじゃ近付けない、マキはこれを知ってたから様子見してたのか?」「嫌な予感がしていたのよ。この前のフロアから魔力をいつの間にか吸われていたからね。」「どうするんだ?」「助けるにはこうして倒すしかないね。」と言いながらマキは飛んで彼に接近する。もちろん罠は空中でも発動するが彼女はそれをものともせず近付いてユナイトを発動。この間にも4人は魔力を吸われ続けている。一刻も早く助けなければならない。そのためにはすぐにボスを倒すしかない。スフィンクスは炎魔法や雷魔法を駆使してマキに攻撃を仕掛けるが、、「何!?攻撃が効かないだと!?」「伊達に僕達は冒険を重ねてないからね。」雷は黄金が無効化し、炎はシャミが無効化。さらに。「いつの間に!ま」
言葉を言い終わる前に高速転移でボス前に移動して竜槍で撃破。ユナイトしたことで魔力の制限があっても魔力が使える状況になっていたためだ。捕獲して罠を無効化して急いで連絡する。「4人共非常に危険な状態です。急いで転移させます。」「わかったわ。」ユナイト状態のまま生命の危機に陥った4人を島に転移させた。宝箱が出ていたのでユナイトを解除して開ける二人。
「これは、、転移ポータルかな。」それは転移ポータルだった。とりあえず使ってみると、「ようこそ、天使の集落へ。魔族?と竜族とは珍しい客人ですね。」「宝箱の転移ポータルを使うことでようやくここに来れるようにしてあるんですね。」「清く正しく、賢く強い者がここに来られるようにしているのです。種族は関係ありません。仲間様が先ほどの試練で危機に陥ったようですが、様子を見に行かないのですか?」「転移ポータルの効果を確かめただけです。すぐに見に行きますよ。」「私達は仲間様と来るのをお待ちしておりますね。」というわけでフェアル達の元に転移しようとする。手持ちのワープストーンで向かうと、そこにはすでに4人の姿はなかった。「どうしたんですか?あの大火傷がすぐに治せるとは思えませんが。」「2組とも転送時点で死亡していて、すぐに復活魔法を使ったんだけど、蘇生が精一杯で火傷の処置は2組の母親にお任せしたわ。あれだけ損傷していると復活はできてもそれ以上は難しいと判断したわ。」「なるほど、、」そうは言ったが実はフェアルであれば蘇生させた後に治すことも可能ではあった。だが、彼女の母親である妖精女王の能力、予知が発動したためここはシエムの母親であるフマとピレンクの母親であるフーダス王妃に任せることにしたのだ。
ここはどこなんだろう。罠によって燃やされたピレンクは意識が別の次元に飛んでいた。ユナイトした状態は身体が魔力に変換された状態なので、復活こそしたが魔力化した部分の大半がユナに残ってしまい魔力を供給してもらうことでなんとか分離することができた。そんな彼は故郷の城に転移していることに気がついていなかった。ただ大火傷をしたユナはまだ復活はしたが意識が戻っていない。「ピレンク、気が付いたのね。良かったわ。ユナちゃんはまだ意識が戻ってないみたいだけど。」そう話すのはフーダス王妃ことクーシャである。「母様、なぜここに?」「ここはフーダス城よ?フェアルさんがあなたを治して転移してくれたのよ。ユナちゃんはクイーンが全力で治癒魔法を使っているわ。」
「そうですか、、提案なのですが、クイーンを彼女の影にしませんか?そうすれば治りも早くなりますし、僕達もいずれは上に、王位を継ぐことになるのですから。」「そうね、、わかったわ。ユナちゃんももう婚約している以上娘だし問題はないわね。」
こうしてユナにクイーンがついた。王妃にはメイドについていたセバスチャンが代わりに影を務めることになった。ちなみにこれにはもちろんクイーンがつくことによってユナイトを強化する狙いと、王妃にいずれなる以上遅かれ早かれこうなると言うことがわかっていたからだ。ユナの影になったことでクイーンはさらに治癒魔法を使えるようになった。元々ユナ自身が回復魔法が使えるからだ。1日経つ頃にはすっかり火傷の跡が残らないほどに回復して意識を取り戻した。「ようやく起きたね。」「ここは、、お城だね。色々助けてくれた人がいたみたいだね、意識がない間も何が起きていたのかはなんとなく分かるよ。」「とりあえず君は正式に王妃を継ぐ者となってクイーンを継承した。ユナイトの威力も上がるだろうが、君の癒しの力も大きくなるだろう。クイーンがメインで火傷を治してくれたんだ。」クイーンが影から現れる。影であって顔は一切わからないがその姿から気品が伝わってくる。「ありがとう。助かったよ。」「どういたしまして、そしてよろしくお願いいたします、新たな影の女王様。」こうして新たな仲間が旅に加わった。
一方、トーイ達はミガクの王城に転移させられていた。城の復旧工事は完了しているものの戦闘の跡がまだ残っている。フマが二人に回復魔法をかけていた。魔力量が非常に大きい彼女は沢山の魔法が使えた。記憶を取り戻すと同時に魔法の使い方も思い出したためだ。しかし記憶を取り戻すだけでは上手くいかないのも現実。普通の人の回復魔法よりは効果は高かったが、全快までには至っていない。そんな時、とある人物が転移してきた。「主人が危篤と聞いたのでやってきました。」アルラウネだ。ボックスから登録は外れても元入っていたボックスの位置情報は分かるらしい。それでシエムのもとにやってきた。突然の魔物の襲来に周囲の人間は警戒している。「心配しなくてもあなた方の手助けをしに来ただけですよ。」と回復魔法をかける。彼女はドレインが使えるのでその反対の体力を分け与える魔法を使うこともできる。
ようやく敵対しようとしたわけではないことを知ると、フマもまた回復魔法をかける。二人が回復をかけたことで火傷は治っていき、シエムが先に目を覚ました。「あれ?ここはダンジョンじゃない?確かダンジョンで罠にかかって、、」「シエム!」「お母さん!?ってここはお城だね。あとなぜあなたがいるの?魔王国に行っていたんじゃなかったの?」「こら、貴女を治してくれたのにそんなこと言わないの。」「いいのです。説明しましょう。魔王国に風俗で働いていたのですが、すぐに辞めることになりました。魔族の魔力の量は確かに良かったのですが、質が問題で、魔物の私が吸い続けると魔族になるのはともかく別の魔物になりそうだったので、すぐに辞めることにしたのです。ちなみにペルネさんから力を頂いたのでさらに強くなりました。それで貴女と再び旅に出るために出発しようとしたら魔王様から危篤だ、と聞いたものでボックスの位置情報から転移をして駆けつけました。
」「ありがとう。助けてくれて。で、来てくれたからもしかして、、」「そうです。また旅についていきます。強くなった力を披露したいですし。」「助かるよ。」「来たついでと言ってはなんですが、この城を直しちゃいます。」「えぇ!?」アルラウネの魔法で内側から魔法で修復していく。「すごすぎない?」「これがペルネ様から頂いた力の一部です。あ、それと。」アルラウネはシエムにネックレスを2つ渡す。「これは?」「マキさんとユナさんにもつけてもらう用です。貴女だけだと不公平でしょ?」「そうだね。ありがとう。」そう言ってる間に火傷の跡が回復魔法で消えたトーイが目を覚ます。「あれ?なんで僕ここで寝てるんだろう?」とあんまりわかっていない様子。「お母さんとアルラウネが回復魔法で治してくれたんだよ。」「そうですか。ありがとうございます。」「あれ?ところでみんなは?」「ピレンクさんとユナさんはフーダス市国で治療しているようです。他の二人は知りませんが、どこにいるんでしょうかね?」
「そうなんだ。あの二人の実力なら無事だと思うけどね。」「一旦あなた達4人をフェアルさんの家に転移させたのはあの二人ですから、おそらく何かしているのでしょう。」「そうだね。」
そうやって回復した4人が噂をする中、マキとノレドは彼らに会いに行くことはなかった。「魔王が皇太子に対して直々に召集をかけているらしい。早く行ったほうがいい。」と家にいたマタカに言われたからだ。転移で魔王国に着いた二人はすぐに城に行った。「我が娘よ、急に呼び出してすまないな。どうしても頼みがある故にこうして呼んだのだ。」「どういう頼みなんですか?」
「私と戦って欲しい、という頼みだよ。」とそこに割り込んできたのは魔王の第一夫人であるエキドナ。「どうしてそういう話になるのでしょうか?」「君達の冒険は楽しそうではあるが聞く限りかなり厳しい戦いを強いられているようだ。召集をかけようとしたときに天使の大陸での出来事を聞いているからね。そこでなんだけど、戦ってもし私に勝てたら私の分体を一人ボックスにあげよう。大きな戦力なのは間違いないだろうからね。」「凄い自信があるんですね。」「伊達にビッグマザーの異名をもらっているわけじゃないよ。二人まとめて来なさいな。ただ城が壊れるから城の外の闘技場に移動しよう。」「わかりました。」こうしてエキドナとマキ、ノレドが対決することになり国内に告知された。「皇太子殿下と第一王妃が激突か。どっちが勝つんだろうな?」「さぁな。だが皇太子ってことはこの国で一番強い魔族ってことだろ?勝ち目なんてないのでは?」「甘いわよ。エキドナ様は強力な召喚術の使い手よ。一対一ならともかくルールに召喚禁止がないこの対決はエキドナ様の有利だわ」と魔族達の間で対決の行方を占う会話が繰り広げられていた。それほど大きなニュースになっていたのだ。そして、「とりあえず大きな話題になったから来てみたけど、まだみたいだね。」4人もまた回復して魔王国にやってきた。ちなみに二人はろくに寝ていなかったことが
魔王達に気付かれたので、ペルネの力を借りてお休み中である。時系列的には、スフィンクスの戦いの後にはすでに夜になっていて、天使族の集落に行って4人に会いに行ったときには朝であり、そこまで不眠で来た彼らは眠気の限界を越えていたのだ。
決闘は翌日の昼だったため、回復した4人が来ることができたのだ。「ようやく本調子に戻ったみたいだからこちらも本気を出せるよ。」「お気遣いありがとうございます。しかし戦いである以上はこちらも本気でお答えするしかありませんね。」エキドナとマキの戦いの前の挨拶が終わり、決闘が幕を開ける。
試合開始直後、エキドナは予想通り、オルトロスを含む沢山の魔物を召喚してきた。マキも負けじとスフィンクスとオクトラミアを繰り出す。ただ、「数では勝てないようだね、どうするんだい?」とエキドナが戦闘中に言う通り数では絶対に勝てない。
そこですでに呼び出していたポーサとノレド含めてユナイトを実行する。「圧倒的力で無双するしかないですね。」と言いながら高速転移を使って魔法を連射。エキドナが呼び出した軍団はオルトロスを除いてほぼ全滅である。「強すぎますね、あのときよりもさらに力を増しておられるようで、、」「兄さん、あの方はどこまでも力を吸収されているからね。それでいて私たちのことも信頼してくれるんだ。」と言いながら攻撃を放つもオルトロスがガード。ちなみにエキドナもダメージを受けているがすぐに回復している。「これで終わりじゃないよ!」と再び軍団が現れる。すぐに復活させたり新しく出てきたりすることもできるようだ。エキドナ自身も魔法を放ってスフィンクスは戦闘不能になっている。マキが高速転移に入ってしまう前に攻撃を仕掛けるが、、
「効いていないだって!?」軍団が放ったほぼ全ての魔法は無効化してしまった。そもそも火属性も氷属性もシャミの影響で攻撃が無効化される。雷や土、闇属性はガーディアンやノレドがユナイトしている影響で全く効かない。さらに「ユナイトします」とラミアまで加勢してユナイトして軍団に誘惑を振り撒く。誘惑は基本的に誘惑した相手に攻撃ができなくなるのだ。軍団が沈静化したところに高速転移でエキドナまで一気に詰め寄りガーディアンアームズでガッチリ掴んで拘束。「無効化された上にこれじゃ負けを認めざるを得ないね」とエキドナは降参。「この勝負、皇太子の勝利!」と魔王がコールをして会場は大歓声に包まれた。
「まぁ、負けるのはわかっていたんだけどね」とボソッとこぼすエキドナ。「どうしてですか?」「私にも鑑定スキルがあるのさ。特徴を見極めたりするのに必要だからね。で、マキちゃんにはユナイトすればほとんどの属性を無効化できちゃう状態だからね、まともに戦ったら勝てるわけないよ。」「じゃあどうして」
とそのとき、魔王が続けて発言する。「今回の戦いは皇太子が新しく決まったこと、そしてその強さを見せるためのものである。例の者はすでにいなくなった。皇太子としての後継としての実力があることはすでに皆が見たであろう。皇太子のマキは第三夫人の娘ではあるが、全ての夫人の娘として認める。その証としてこれからはマキではなく、ペルネから名を取ったハペルと名乗ると良い。」「はい、承りました。」「例の者の派閥の者達よ。すでに奴は倒した上で皇太子が吸収した。もうお前達が頂点に立つことはない。話は以上である。余韻を邪魔して悪かったな。」と言うとまた歓声が上がった。新しい皇太子が内外に認められた瞬間であった。戦闘後、魔王城で戦闘不能になったスフィンクスとかを回復させる。「なんなんですか、あの軍勢は。正直何もできませんでしたよ?」「一応は出してみたんだけど、ちょっと荷が重すぎたと私も思っていた。ごめんね。」とそんなやり取りをしていると魔王達が入ってきた。「ハペルと言う名前の由来はなんですか?」「ハーデスとペルセポネの組み合わせだ。エキドナが娘と認めて、第三夫人の実の子供だから第二夫人、つまりペルネの名前とまだ公にはしていないがハーデスの片割れであることを表している。ちゃんと我々全員が納得した証があの戦いと名前の改名なのだ。」「そういうことなんですね。」「ボックス貸してみて」とエキドナにボックスを渡すと召喚した物を素早くボックスに突っ込む。「これで私の分身を渡したよ。」「ありがとうございます。」とそこに4人も合流する。「すごかったね、召喚もものすごいけどそれをものともしないマ、ハペルさんが」「言いにくそうだね、、」「大丈夫、なんとか慣れますから。で、気になるあのダンジョンの続きってどうなったんですか?」4人は気が付いたら転移させられていたのであのダンジョンがクリアされたかどうかも知らない。「スフィンクスが今ここにいるように、ちゃんとクリアしたよ。」「さっきの試合のまんまやられましたよ、、罠も効かないし攻撃も全く効かないから勝てません。」
「ハペルさん、単体でもめちゃくちゃ強くてテイマーじゃなくても勝てそうだね、、」「で、続きだけど。このポータルを手に入れたんだ。天使族の集落に繋がる物だ。」ポータルを見せるハペル。「これが入り口なんですね。」「そうだね、結界が貼ってあって通常では入れないらしいよ。」「なら今から行ったほうがいいんじゃないかい?」とエキドナは言う。「とりあえずその前にみんなにお土産をあげよう。」と渡されたのはブレスレット。
「これは?」「それはいつでも私と連絡ができるアイテムだよ。これからの旅に必要なんじゃないかと思ってね。」「ありがとうございます。」「頑張ってね。応援してるよ。」この後転移ポータルで天使の集落に移動した。
「お待ちしてました。勇者様方。改めて天使の大陸、集落にようこそ。」そう天使から挨拶される。ちなみに前回出迎えた天使と同じ人物である。「天使族の試練ってどんなものなんですか?」
「まぁそう慌てないで下さい。族長の元にご案内します。」と天使が集落を案内する。集落の感じとしては石造りの家が並んでいる形だ。天使には羽が生えているが邪魔なので普段は魔法で隠しているらしい。一際大きな家に到着して族長らしき人物に出迎えられる。「私が族長です。皆様よろしくお願いいたします。」
ちなみに天使は女しかいない、と思われがちだがギリシャ神話では女天使のほうが珍しい部類に入る。なので族長は男だし、入り口で出迎えた天使も男である。「皆様は天使族の試練を受けに来られたのですね。かなり厳しいものになってますが、よろしいでしょうか?」「構いません。そのために来ましたから。」特にこの試練の後にマタカとの戦いが控えているユナとトーイはやる気満々だ。「皆様には3つのダンジョンを攻略してもらうことになります。大流砂の洞窟、ウーラノスの神殿、ネプチューンの神殿です。ネプチューンの神殿は水中にあるので準備が必要です。まぁ、ウーラノスの神殿も天空にありますし、大流砂の洞窟は地下深くなので特殊でないダンジョンしかないですが。それでですが、まずはウーラノスの神殿と大流砂の洞窟の2つを2組に別れて攻略してもらうことになりますね。水中であることを除けば特に特別なギミックのないネプチューンの神殿は後回しです。この2つのダンジョンはかなり特別なギミックがあります。ウーラノスの神殿はとある理由から魔物を普通に倒しても魔力を手に入れることができません。その上非常に魔物が強いです。後述の理由からも竜族の二人に行ってもらったほうが良いでしょう。で問題の大流砂の洞窟ですが、このダンジョンでは体内魔力が大きく制限された状態で戦わないといけません。魔力に紐付けされた力が大きく制限されて戦うことになります。一定以上の魔力を持つ魔物はそもそも召喚できなくなります。皆様の持つ絆の力もこのルールに反するのでできなくなります。」「どうしてそんなに制限がかかったダンジョンがあるのですか?」「このダンジョンには噂だととある怪物が封印されていると言われているのです。それ故に化け物が出てこれないように魔力の制限をかけていると言われています。」「ではどうしてそのようなダンジョンを試練に選んでいるのですか?」「魔力が制限された環境において無理やり使った力だったり、魔物を倒して得た魔力というのは外に出たときに何倍にもなって帰って来ます。修行にはまさにもってこいのダンジョンなのです。」「そういうことなんですね。確かに修行には良さそうですね。で、残りの4人で挑むってことなんですね?」「そうです。竜族の二人は魔力量がそもそも大きすぎてこのダンジョンに入ることができませんので。人間ならかろうじて魔力量を制限された状態で侵入できるくらい強力な制限なのです。」こうして6人は2手に別れてダンジョン攻略を開始することになった。
ウーラノスの神殿に天使の案内で転移陣でやってきた二人。周囲は見渡す限り雲である。本当に空中に浮いているのだ。ちなみに通常の高度ではない高高度にある上に結界に覆われているので普通に発見することはまず不可能だと天使に言われた。「すっごいね、空は私達飛べるけどこんな高いところは初めてだよ。」「そうだな、俺でもこんな雲が下にあるくらい高いところを見るのは初めてだな。」感想もほどほどに神殿に突入する二人。すると、「あ、ドラゴンだよ!」とハペルがなんだか嬉しそうに言う。「確かにドラゴンが一杯だな。食べ応えがあると言うものだな。」ここでおさらいするとノレドはドラゴンやドラゴン系統の魔物を食べるとパワーアップすることができる。これで今までの冒険で沢山の属性を得て来ているのである。「あの言い方的におそらくなんだけど、とある理由ってあの時の魔族みたいに傀儡だからじゃないかな?全部同じドラゴンみたいだし」「そうだな、確かに全部同じ色、顔、魔力をしている。同じ個体でも産み出された過程や時間が変わったりすると魔力が変質するし、当然成長によっても変わる。それが全くないのは傀儡だろうな。」言葉を言いながらもドラゴンからのブレス攻撃や引っ掻き、突撃を全て交わしながら、反撃で倒していく。すると「やっぱりね、普通に倒すと簡単に肉体が消滅するなんて普通の相手じゃない。」普通の魔物は魔力の煙に肉体を変えて消滅する。その際に出る魔力の残りは倒した人に行くシステムになっているらしい。しかし、この場合は違う。肉体が死亡した瞬間にすぐに消滅して魔力も一切漏れ出ることがない。要は普通に倒しても経験値を得ることができないのである。だが。「変化。ヤマタノオロチ」でハペルは上半身を変身させる。「ルートドレイン」敵のドラゴンの体力を吸収していく。さらにブレスを無効化しながら吸収しているドラゴンに高速でノレドが突っ込む。そして吸収して弱らせたドラゴンを食べていく。「首の1つをアイスリヴァイアサンに変化」そこから氷属性魔法を発動する。攻撃は変化しつつも高速転移でかわす。高速転移で敵を固め、氷属性魔法で翼を攻撃して飛べなくして、最終的にノレドの腹の中に入ることになった。「一階層でこれか、、どこまで続くかわからないけど、外観は結構大きかったよね、、」「そうだな、かなり大きな神殿だったな」たった一階層でかなり体力を使ってしまった二人。今後どうなるのか。
一方、4人は転移陣で大流砂の洞窟に到着していた。「うわ、入り口の時点からだいぶきついね」「魔力がかなり使えなくなってる感じがする」転移した時点でかなり能力を制限されていた。
魔物の種類としてはスコーピオンやすなころがしなどいわゆる雑魚敵しかいない。それもそのはず、魔力がこれだけ制限されるダンジョンだから強力な魔物はほぼ住めない。しかし、「数が多い!」魔力がろくに使えないにも関わらず数が多い。斬剣を出して対応しようにも、「普段こんなに重さ感じないのにすっごく重い」となってしまいろくに振れない状態である。キングやクイーンで一旦影に隠れてやり過ごす。「魔力量が制限されていることで重いものが持てなくなっているんだよ」「走ったときのスピードもだいぶ出なくなっているみたいだし、避けるのも大変そう」
「とりあえず影から攻撃を仕掛けよう」影に隠れているアドバンテージを利用して影の上にいる魔物達をバインドして倒す。しかし、数がいかんせん多い。今倒した数はごく一部に過ぎない。
銀銃もかなり重いので二人がかりでようやく打てるのだが、威力は高いが重くて連射ができないので通常の倒すスピードからは落ちる。シエムとピレンクの魔法もダンジョンの魔力制限をもろに受けており、威力がかなり低い。エレメント固有魔法も使えないためかなりの戦力ダウンだ。銀銃でなんとか直線に群がる魔物を倒していき、漏らした魔物は魔法で仕留める方法でなんとか一階層を抜けた。すでに体力をかなり消耗している様子だ。「向こうはどうなっているんだろう、こっちきつすぎるよ」向こうも実は大苦戦を強いられていることをまだ知らない。次の階層ももちろん大量の魔物がいた。とりあえず影に隠れて少しずつ仕留める作戦を取ることにした。一気に倒す方法がない以上はわざわざ表に出て危険を晒す真似は避けたほうがいいからだ。しかし時間がとにかくかかる。ある程度排除するまで魔物を弱体化した影魔法だけで倒さなければいけない。影から武器で攻撃するときには身体も実体化してしまうのでちゃんと考えないと攻撃を受ける。ある程度減るまでに一時間ぐらいかかって、残りを全員で仕留める。制限のせいで4人とほぼ実力が変わらない魔物がだいたい100体以上いる。つまり影に隠れるのは仕方ないことなのだ。大体仕留め終わったところでサンドアリゲーターが出てきて敵を食らっていく。おそらく苦戦しているのもそうだが彼らにとっては砂漠に住む魔物なので我慢ができなかったのだろう。あと魔力をそこまで使うタイプの魔物ではないので何の問題もなく繰り出すことができたのだ。そのおかげで隠れることなく倒せるようになってきた。ただ、相変わらずあまり武器は使いこなせていない。ピレンクが持つシルバーランスも普段とは違い重すぎて使いにくく、影魔法の力で補強してなんとか使えている。なぜここまで重く感じるのかの原因は彼らも感じている通り、魔力制限のせいである。
魔力制限によって魔力によって増幅された力が元に戻っているので、魔物が生きている状態のモンスター武器等は非常に重く感じるし、実際非常に重い。それでも普段軽々と扱えるのは魔力が大きく上がっていることによって力が増幅されているからである。
「主人が苦戦しているぶん、魔物達が頑張ってくれてる」ダークグリフォンとサンドアリゲーター2匹が頑張っている。他の魔物は魔力制限のせいで召喚できない。なんとか数を倒せるようになったためクリアするスピードは上がったが5階層進んだところでセーブして戻ることに。ちなみに天空の神殿のほうは7階層進んだところでセーブして戻ってきている。そちらはハペルもノレドもドラゴン達が強く数が多いため魔力の吸収に時間がかかっているため苦戦とは言え4人とは苦労の方向性がだいぶ異なる。純粋に数と力に圧倒されているのが4人のほうで、力を得るために数をいなすことに苦労しているのが二人なのだ。
道場に戻ってきた6人はまず師範のジョウドにダンジョンでの話を聞いてもらうことにした。さすがにここまで苦戦したら聞いて欲しくなるだろう。「その2つは聞く限りではなかなか手強いダンジョンじゃな。まぁ対処方法は思いついたのじゃが。まず天空の神殿じゃが、誘惑で一ヶ所にまとめてしまえばかなりの時短になるはずじゃ。大流砂の洞窟はモンスター武器を使わず、通常の武器を使えば良いのではないじゃろうか?魔力に制限を受けない武器ならお前達も扱いがしやすいじゃろう。」そこで6人はキブから通常武器を大量の素材の代金としてもらっていたことを思い出した。もちろん大部分は軍隊に寄贈したが、もちろん使う分は残してある。「そうだね、その手があったね。やってみるよ。」「で、試練は3つで残りが海底神殿じゃろ?確かに時間がないな。あの子の実戦を試すときも近いな。」「メイリさんね。」「そうじゃ。最近新しく弟、もとい妹弟子が入ったから例の近海にある海底ダンジョンに行ってもらうことになるじゃろうな。」というわけで身体を休めて翌日、2組に別れて2つのダンジョンの攻略に戻った。話に出てきた誘惑で渡すものがあると思い出したシエムはユナとハペルにアルラウネのネックレスを渡したのだった。アルラウネは魔力制限に引っ掛かるので大流砂の洞窟では使用できないが、誘惑効果は問題なく使用できるようだ。ただ、制限のぶん効果は弱いのだが。ハペルはラミアとネックレス効果を重ねることで耐性の高いドラゴン達を誘惑にかけることに成功した。別々で誘惑をかけると効果が落ちるのでネックレスをラミアに渡して発動している。これで反撃が来にくくなったので安全に戦うことができるようになった。「さすが道場の師範さんだね、アドバイスが的確だよ」「その通りだな」魔力の吸収タイムが天空の神殿で始まっていく。一方、通常武器に切り替えた4人は大流砂の洞窟を進む。サンドアリゲーターと協力して数を減らす。トーイが通常の剣、ユナは銃、シエムは魔法、ピレンクは槍だ。「明らかに使いやすい」「こういう制限があるときだけとは言え、今後もこういうのがあるかもしれないから知っておくのは大事だね」4人で協力して複数体を一気に処理できるようになってかなり討伐のスピードがこちらも上がっていたのだった。
その日は2人は12階層進み、4人は9階層進んだ。アドバイスのおかげもあり倍近い階層を進むことができたのだった。
その頃、道場のメンバーは海底ダンジョンに挑んでいた。ヒエノ島から繋がった島の調査のメンバーとしてシハーデと男性メンバー10名が島での魔物の討伐に挑んでいたため、残っていた門下生は前にいた男性8人と、女性2人、メイリ、ロキの娘達4人である。全員メイリの人魚の鱗を着けて水中に潜ってダンジョンに到着した。管理ダンジョンにはまだなっていないので転移ポイントは設置していなかったためだ。一応石碑はすでに設置してあるのだが、普通の人間に潜る術がなかったので仕方ない。「ここがダンジョンの中か、海底だから暗いかと思っていたけど違ったようじゃな」「そうみたいですね」とりあえずジョウドは石碑に記録して前に進む。中には海の魔物であるサンダーフィッシュや、とげとげうお、あばれトビウオなんかがいた。接近する魔物にそれぞれの武器で反撃していく。4人の娘達は籠手で覆われてはいるものの基本は素手だ。パワーが人間とは違うので十分倒せる威力ではあるが。男性陣は基本的に剣と弓矢で、メイリは槍、残りの二人は回復と魔法で支援する。「倒せるけどとげが辛いね」と語るのは4人の長女ネロ。全身とげだらけのとげとげうおに攻撃をしていたようだ。彼女の籠手はすでに結構傷ついている。「無理するな、そいつは他の奴らが倒す」「わかりました」4人は特に突っ込んでくるあばれトビウオを処理する役割に徹して、とげとげは他の門下生で倒すプランにした。しかし、「このとげとげ、硬いな」剣で倒そうとしても全身を覆うとげで倒しにくい。弓矢すら弾くため魔法で倒すほうが楽だが1人しかいないうえ、水中なので威力の高い炎魔法は使えず、氷や雷の全体魔法は普通に打てば敵は倒せるが味方全員にダメージが入ってしまう。とここで悩んでいる魔法使いの女性を見てメイリが気づいたようだ。「何かお困りのようですね」「実は、、」「なるほど、人魚は電撃を扱う術があるのでそこは任せて下さい」「そうなの?」「近海にこのダンジョンにもいるサンダーフィッシュがいるので使えないと負けちゃいますからね」と言いながら「サンダーバリア」と発動する。「これでこっちには雷魔法は効かなくなります。存分に打ってください」「わかったわ」魔法使いが魔法を打つと、サンダーフィッシュ以外の魔物が次々と倒れていく。「この中にいる間なら、感電しないので残った魔物も倒しましょう」残ったサンダーフィッシュは弓矢や氷魔法のアイスニードルで仕留める。アイスニードルなら範囲魔法ではないので水中でも使える。「やっと倒せたようじゃな」「そのようですね」30分位かけて突破した。しかし要領さえ分かれば殲滅は簡単になった。メイリのサンダーバリアは簡単に広範囲に展開できてかなり長持ちさせられるからだ。人魚達が生活のために獲物としてサンダーフィッシュを狩ったりするのでそれぐらい気楽に打てないとお話にならないのだ。狩る方法としては武器を使って電気の逆流を防ぎながら攻撃する。メイリ自身は狩ったことはないものの、槍や銛を使うのが伝統だ。彼女の得意武器が槍なのもそれが影響している。そんなこんなで10分前後で階層を抜けられるようになった。進んでいくと10階層が最終階層らしく、ボスがいた。ボスはビッグシェル。とてつもない大きさの貝のボスだ。雷魔法を真っ先に打ってみたものの、貝殻が硬く閉じている間はダメージが入っていないようだ。この後色々攻撃してみたが手持ちの武器や魔法ではダメージが入れられないようだ。「ボスが攻撃に転じるのを待つしかないようじゃな」そんな中「こじ開けてみよう」と4人娘が揃って提案する。「ちょっとみんなが攻撃する様子見てたけど危険が迫らない限り貝殻を開ける様子がないみたいだよ?」「ならそれをするしかないのか、危険には十分注意して欲しいのじゃ。」「わかったよ」「とりあえず男どもも協力頼むぞ」「はい」ということで攻撃のない敵に接近。ネロ、コロ、キサ、テトの4人が籠手を外して爪を引っかけて全力で引っ張る。魔法使いが肉体強化をかけることで隙間が空いたので男性陣も協力してこじ開ける。肉体強化をしていたので閉める力よりも一気に大きな力がかかり貝殻が開いた。「めちゃくちゃでかい真珠だなぁ、、」ボスの中には人の身長と同じサイズの真珠があった。再び閉めようとするボスに対して中に突入して魔法や武器で攻撃する。「真珠の下に分泌器官がある。そこがおそらく弱点じゃ」ジョウドがそう指摘すると狙いをそちらに切り替えた。分泌物を出したり、閉じ込めようとボスがしてくるがその前に集中攻撃でボスを倒して真珠を獲得した。しかし、ジョウドは何かを探しているようだ。「何を探しているんですか?」「あった、これが大事なんじゃ」手に取ったのは四角い輝く物体。「それは何ですか?」「いわゆるダンジョンコアじゃ。制御をわしが取ったのでとりあえず元に戻すが」「制御を取る意味はなんですか?」「管理ダンジョンに必要な手順なのじゃ。管理ダンジョンにすれば、出入りを管理できるだけでなく、危険が迫ったときにすぐに駆けつけたりできる」「それは便利ですね。でも、元に戻すのは不用心では?」「大丈夫じゃ、ちゃんと隠蔽はかけてあるから基本的に他の人間に見つかることはないぞ」「そうですか」真珠を収納して撤収する。「キブさんがミニ貸してくれたから小さくできて簡単でしたね」「ああ、この魔物由来の真珠なら喜んで加工するじゃろうな」後日、ミニを返したときにその言葉は現実となるのだが、それはまた別のお話。で、戻ってきたメイリは4人と会話する。「今日はどうでしたか?」「「楽しかったよ!」」と一斉に返答する。「まだまだ。勇者の皆さんに追い付かないと」「その通りじゃ。あいつらもどんどん強くなっている。少しでもあいつらの戦力になることが次の水中ダンジョンでは必須じゃ。そこの4人は楽しいだけでなく、もっと強くなりたいと望んでおるようじゃし?」「そうだね」「だからお主も強く、、」と言っていたら6人が転移してきた。ちなみにだが転移するときには周囲に光と音が出る仕組みなので、大体はわかる。「と、とりあえず明日からもダンジョンに行く予定だから頑張るのじゃ」と足早にジョウドは6人を迎えに行った。「その通りですね、みんなも頑張りましょう」「おー!」と返事して彼女達は次に備えて眠るのだった。
一度コツをつかんだ二組は初日の苦戦が嘘のようにスイスイダンジョンを攻略していった。3日経つと、ハペルとノレドの二人はウーラノスの神殿の頂上に到着していた。「やっと着いたね、道中はなかなか大変だったけど」「そうだな、毎回吸収しないと意味がないっていうのが難易度がさらに上がっている要因だな」
神殿の奥に進むと非常に巨大な竜がいた。「よくここまでたどり着いたな、挑戦者達よ。ここからは我ウーラノス自らが相手になろう」と言いながらボスは手下と見られる4体の竜を召喚する。
手下の4体も今までの階層で戦ってきたドラゴンより巨大である。ハペルは高速転移をしてみようとするが出来なかった。なのでシャミの魔法を手下に向けてその場で放つ。ノレドは魔法を避けながら槍を持って突撃する。しかし、「そう簡単には当てられないぞ」と手下の1人が言う。障壁で魔法は全てガードされていたのだ。普通の人間や魔族の障壁ならこうはいかないだろうが、神の手下のドラゴンのものともなれば防ぐことができる。高速で突撃したノレドもしっぽで身体を攻撃されて吹き飛ばされる。盾の反撃は当たったようだがダメージが小さいらしく平気な顔をしている。「すでに手は打っているから攻撃をどんどん仕掛けよう」とハペルは言って二人は再び攻撃を仕掛ける。二、三回先ほどと変わらない状況になったので敵は油断していた。その言葉はハッタリでもなんでもないことに気がつかなかった。そのとき、手下全員が一気に凍りついた。「これならさらに凍結させればとどめを刺せるはず」相手が強敵なだけに全く油断せず、ハペルはアイスリヴァイアサンに変身して氷の魔法でさらにダメージを与える。手下達は実際すぐに脱出しようとしていたが追加の攻撃でとどめを刺されてボスに回収された。「魔法攻撃の連射の中に不可視の魔法を混ぜていたというわけか、やるようだな」「ついでに狙おうとしていたんだけどしれっと無効化しておいてよく言いますね」「気付いていたか」「本気で行きます」ポーサを召喚してユナイトを開始する。「それが本気のお前達か。なら全力で我も挑むとしよう」一対一の戦いが開始された。お互いに魔法を無効化できる属性が多く、しばらくは魔法の撃ち合いをしていたが物理攻撃主体に切り替えた。ウーラノスは剣、ハペルは槍。体格差の関係もあり持っている剣も非常に大きく、いくら槍とは言ってもリーチは向こうのほうが圧倒的に有利だ。しかし、向こうはサイズがでかすぎて小回りが効かない。重さや大きさの関係上どうしても攻撃が大振りになる。ユナイト状態の彼らなら高速転移を使わずとも簡単にかわせる。「ぐっ」と苦痛の声をあげるボス。攻撃をかわしたあとに槍で突き刺して攻撃しているのだ。ボスの攻撃スピードは人間が反応できる速度ではないが、ハペル達も普通の魔族ではない。次々と連撃を叩き込みダメージを加速させていく。このままでは不利と考えたボスは一旦攻撃を止めた。ハペルが不思議に思いながら槍で身体に刺した瞬間をボスは狙っていた。剣を持たない手で彼女をガシッと掴み、握り潰そうとする。「それなら、、」ヤマタノオロチに変身しルートドレインを使う。体力を吸収するのが速いか、潰されるのが早いかの勝負になった。「負けない!」握り潰されながらも必死に抵抗し体力を吸収するハペル。ガーディアンの自動防御も発動しているが握力が強すぎてあまり効果がない。ボスも体力が吸収されているのにただ握り潰すのを待っているわけではない。巨大な剣をもう一方の手に近付ける。首を落とす気だ。ただ手を近付けたときに拘束が弱まったのですぐに脱出する。「やるようだな」「二度と捕まらないよ」と言葉をかわすと再び戦況は5分に戻った。しかし身体のダメージは手で圧迫されたぶん明らかにハペル側が多い。短期決戦を仕掛けなければ負けるのは確実だった。そのとき、ある技を持っていることを思い出した。外せば警戒され対策される技だが、この切羽詰まった状況でそんな贅沢は言えない。技を最も効果的に当てるためにボスの顔に猛スピードで突っ込む。ボスもそれに気がつきすぐに手を動かしてハペルを止める。顔面まで数メートルの距離。これなら当てられる。「吸収魔法が使えるのはお前達だけではないぞ」と握り潰そうとするのと同時に体力も急激に吸収し始めた。あと数秒もしないうちに身体は限界が来る。それがわかっていたから、ハペルはボスの目に向かって即死光線を当てた。距離が離れていたり、手で覆ってしまえば身体には即死の耐性があるためまず防がれていただろう。だからこそ、片手に剣を持っていてもう片方の手で身体を止めて防がれない状態にした。目に直接当ててしまえば即死耐性なんか関係ない。ボス、ウーラノスの分身は即死魔法で死亡したが、そんな急激に生体活動が絶命したからと言って止まるわけではない。吸収こそなくなったが握られているのは相変わらずで、ボスの身体がバランスを崩して前のめりに倒れた。否応なくその巨体に潰されたハペル。ボスを倒したはいいものの、身体が潰されたため再起は不可能と思われた。しかし、身体の中にはガーディアンやシャミがいる。すでにでかいだけのただの死体なので余計な力が加わることがないので、身体を変質させて潰されないように踏ん張っていた。主人は生命力が極端に落ちているのでなんとかできるのは彼らだけ
だ。ユナイトを解除してハペルの合体を解く。「重すぎる、、ご主人様達はかなり危険な状態だ、すぐに転移したいところだけど、今のフロアは転移できないから、、」と思っているとダンジョンの下のフロアから魔物らしき者が次々と近寄ってくる。「こんなときに、、主人を守らねば」と内心思っていると「ハペル様はどこにいるんだ?」と声の主はハペルを探しているようだ。そ
の声の主はシャミ達と倒れているハペル達を発見する。「無事なんですか!?」「かなり危険なので急いで運ばないと、、どうしてここまで来たんですか?」「エキドナ様の指示です。危険な状態であることがブレスレットから伝わったので転移禁止エリア外から転移して救出するように、と」「ありがとうございます」「そのボスの素材も回収しておいてあとで分配します。よろしいですか?」「勝手に決めるのはあれですが、大丈夫だと思います」こうして、ハペル達は天空の神殿をクリアした。しかし、その代償は大きかった。ハペル達はボスを倒した後数日間寝込むことになったのだ。
その頃、4人は25階層で中ボスと戦っていた。ボスはサンドサーペントである。「捕まえられるなら合成して使いたいな」とピレンクは言う。彼はシャドウサーペントを持っているので合成ができるからだ。ただ、他のサーペントとは違いフィールドは砂でボスの身体も砂の保護色で構成されている。潜ってきたりするので背景と合わせて砂煙で姿を消す戦法も取ってくる強敵だった。魔力制限があるダンジョンだが、このボスはあまり魔力を使用しないこともあり普通にダンジョンに存在できるようだ。スピードが速いのでなかなか攻撃がヒットしない上に潜ってしまうので攻撃がそもそも当たらないというのが強い部分であり、苦戦を強いられていた。「どう倒そう?」「とりあえず潜っている状態をやめさせるしかないと思う」「確かに攻撃できない状態だとじり貧だね」「とりあえず敵の攻撃を避けた後が勝負だな」地中からの頭の突撃を回避した4人は拘束魔法で動きを止める。拘束魔法はサーペントには効きにくいが一瞬なら効果はある。弱点である頭が狙われていると感じたボスは拘束を解こうとする。そこにユナとトーイの二人の剣での攻撃が炸裂した。銃が鱗のせいで弾かれることは戦いの中で確認していたので剣に持ち変えていた。しかし頭にダメージを与えたはいいが鱗が硬くて剣が折れてしまった。予備は1本ずつしかない。「次で確実に決めるよ」「そうだな」ボスはすでに拘束魔法から抜けて地中に潜っている。「どうやってチャンスを作るの?」「水の魔法だな、地中にいる間も敵は呼吸しているから、魔法を潜っている土に撃てば水が下に沈めば息が苦しくなって必ず出てくるはずだ」「なるほど」「ただ、大量に撃たないとすぐにこのダンジョンの環境もあり蒸発してしまうだろうな」「エレメント固有魔法を連発してみる」そういうとシエムはクラーケンの固有魔法ウォーターポールを床に向かって連発した。魔力制限のせいで何回もマナポーションを飲むことになったが、床は水びたしになった。「終わったか?」「なんとか終わったよ、影に逃げるなんてずるい」「影から発動できないからしょうがない」服が水びたしになったシエムはすぐに影に隠れて着替えたりするらしい。「予定通りボスは慌てて出てきたが、どうする?」「サーペントを倒した時の作戦でいくよ」「思い出した、あれね」「あれってなんだ?」ピレンクが疑問に思っていると二人は壁に向かってそれぞれ反対に走り出した。「何をする気だ?」「見てれば分かるよ」ユナが頭を直接狙いに壁から垂直に走ってジャンプし、剣を振り下ろす。もちろん敵は避けるのだが、ここでトーイが反対側から思いきりジャンプして剣を振り下ろして胴体部分を一刀両断した。頭に注目をさせておいてからの胴体を切り離してそこからとどめを刺す作戦は一番最初のサーペント戦でとった作戦だった。「だいぶ無茶な作戦だな、かわされたら隙だらけじゃないか」「かわされないように注目を頭という弱点に向かわせるんだよ。頭は斬られたらダメだからこそ、頭以外の防御が疎かになる」「だから全身を出させたのか、この作戦のために」そう、この作戦は少しでも潜られていたら床を切ることになる。今使っているのは普通の剣だから床はまず切れないので、全身を出させるしかない。動力部分であるしっぽと切り離されたボスは防御手段を失ってユナにとどめを刺された。ちなみに剣が残りの2つともボスを斬るときに折れてしまったので明日武器の調達のためにキブの武器屋に寄ることになった。ピレンクが捕獲に成功し、剣が無くなったため一旦道場に帰還することになった。ジョウドから二人が重傷を負ったと聞かされたのは帰還した後だった。「あの二人は大丈夫なんですか?」「わしにもよくわからん。又聞きじゃからの」「とりあえず、行ってみます」ワープストーンを使って魔王城に転移した。すると、エキドナが待っていた。「来るかなと思っていたから待っていたよ、こっちに来て」「はい」そこには身体中傷だらけのハペルと傷は一切ないけど意識のないノレドとポーサがいた。「これは、、ユナイトをしていたんですか?」「そうだよ。ウーラノスの神殿のボス、ウーラノスとの死闘を繰り広げて彼らは勝利こそしたんだけど、戦いですごいダメージを受けてね。正直普通なら絶対死んでるし蘇生も不可能だけど、ハペルだからこそ死なずに済んだ」「そうなんですね、しかし傷跡が見える部分だけでも相当ついてますね」「そりゃ巨大なボス相手に圧迫を何回も受けているみたいだから当然だね」「どれくらいで回復するんですか?」「あの娘は普通ではないからなんとも言えないけど、、ここまで重傷だと普通は一ヶ月以上は意識は回復しないし」「頑張ろう、回復してくれることを信じて」「それがいいね」4人は回復を信じながらも残りの階層の攻略を頑張ることを決心したのだった。
翌日、道場で泊まった彼らはダンジョンに行く前に武器屋に予定通り行くことにした。「久しぶりだね、また素材が沢山集まったのかい?」「確かにその通りなんだけど、普通の剣とか武器とまた交換してくれない?」「どうしたんだい?前は確かにお金で払うと面倒臭いからそうしてもらったけど」「実は今攻略しているダンジョンは魔力が制限されるダンジョンでモンスター武器が使いにくいダンジョンなんだ。だから普通の武器が沢山あったほうが攻略に都合が良くてね」「なるほど、そういう理由なら喜んで交換してあげるよ」「ありがとう」こうして武器と素材を交換できた4人はセーブ地点まで転移した。「しかし、この量の素材だとお金に換算したらあの武器だけでは釣り合いが取れないんじゃが、、」とキブはつぶやいていた。もっとも、お金を渡されたところで彼らには全く使い道がない上、すでに山ほど持っているのでいらないとなるのだが。「まぁ、これだけの素材をもらえば色々加工できるから一儲けさせてもらおうかの。前もだいぶ儲けたし、あの子達には本当に感謝じゃな」そう言いながら魔物の素材の加工に取りかかるキブだった。
ダンジョンに戻った彼らは武器も新調したことと、仲間がいち早く攻略した、と聞いたこともあり張り切って攻略していた。基本戦術は圧倒的な数がいる魔物を誘惑で無力化することだ。というのも、本来は出れないはずのアルラウネが無理やり自分から出てきたからだ。「大部分の力は使えませんが誘惑に絞って体内魔力を小さくしたらなんとか出れました」「どうして誘惑を使っているって知っていたの?」「そのネックレス、私の身体の一部ですからね。それを使うということは本体である私にも伝わります」「ああ、そういうことね」本体が登場したことで誘惑の効果は格段にアップし、その場で留まらせたり一ヶ所に集めることができるのでほぼ無抵抗で倒すことができる。敵を全滅させる必要はないので誘惑役のアルラウネと4人が通り抜けできるスペースを確保して魔物を倒して次の階層に行くことを繰り返した。「かなり下ることができたんじゃないか?」「ええ、これで10階層下りましたね。時間的にもう夜ですから一旦撤退しましょう」アルラウネの言葉で全員セーブポイントを設定して道場に戻った。
この調子で次の日も順調に進んだ彼らはその次の日についにボスがいると思われる50階層に到達した。そこにいたのは、、「あれがボスなの!?」「かわいそうなんだけど」黒い鎖で繋がれた傷だらけの女性がいた。まともに食事などを取っていないであろうにも関わらず、彼女は平然と生きていた。「そこの者達よ、我を助けてはくれぬか?」女性は4人に助けを求めた。「どうすればいいんですか?その鎖、簡単には壊せなさそうですけど、、」「やってみよう」とトーイが剣を持って単身突っ込む。しかし。「剣がすり抜けた!?」どうやらこの鎖らしきものは物理的なものではないらしく、普通に斬ることはできないようだ。「これは一体、、というかあなたの名前は?」「我はガイアという。俗に言う大地の女神じゃ」「どうしてそんな神様がこんな封印をされているんですか?」とそのとき、一緒にダンジョンを攻略してきたアルラウネが口を開いた。「ガイア様は我ら魔物の母でもあります。かつて神同士の争いが起こったとき、魔物の側に付いたのがあの方です。しかし」「負けてしまった、と?」「その通りです。人間側の神様が勝利をして首謀者であるガイア様は追放、魔物達は人間達に狩られたり管理されたりするようになりました。試練のダンジョンがいい例でしょう。あれは人間が魔物を人工的に産み出して倒したときに人間側がさらに強化ができるアイテム、皆さんが持っているエレメントがドロップするようになったのです」「「!?」」4人は驚いた。そういう経緯でエレメントがドロップするようになったのかと。「もし魔物側が勝っていたら、、」「どうなるかは想像がつきませんが、少なくともここまで人間の国が発展することはなかったでしょう。しかしここに捕らわれていたとは、、普通の武器では斬れないですが、あなた方には聖剣や斬剣がありますよね?」「そうだね、やってみようか」と斬剣をマジックバッグから出す。「やっぱり重いね」仕方なくトーイとピレンクが剣の柄を一緒に握って持ち上げようとするが、数秒間持ち上げるのがやっとだ。とても斬るまでには至らない。シエムの聖剣はそこまで重くないので一緒に持ち上げて斬ってみたが、切り込みが入った程度しか斬れない。しかも、「再生してるね」斬ったそばから切り込みはなくなって何事もなかったように鎖があった。「どうすれば、、」「ユナイトを使ってみて下さい」「でも、ユナイトはここではできないんじゃ、、試しに魔物を倒した後でやってみたけどできなかったし」「それは異性同士のユナイトだから、ですね。魔力の抵抗が大きいここでは異性間のユナイトは制限もあって不可能ですが、同性同士であれば抵抗は少ない上、同性のユナイトは異性に比べて魔力が小さめになる分やりやすいはずです」「なら、やってみよう」やり方は強化ユナイトのとき同様、お互いに接触することである。ある程度魔力が制限された状態ですでにユナイトをしている彼らなので、すぐにユナイトをすることができた。トーイが斬剣、ユナが聖剣を持って、ガイアを縛る鎖に斬りかかろうとしたその時。「いいのか?その女神は魔物を作り出し人間を支配下に置こうとしたのだぞ?」と声が聞こえてきた。「何者なんですか?あなたは」「あなた達に試練を課した天使の一人だ。災厄を呼び起こそうとしているから止めようとしたまでだ」「でも、苦しんでいるのに助けないわけにはいかないですね」「お前達は魔物を躊躇なく倒すくせに人間は助けるのか、矛盾しているではないか」「魔物は基本的に捕まえたりしない限り必ず人間やその仲間を襲うようにできている、ってお父さんが言っていたし実際その通りだった。言葉で襲うのをやめさせることができるのはほんの一握りしかいなくて、僕達もやむを得ず戦っているんだよ」「でも、レベルアップとは言え魔物を倒しにここに来たのは事実だろ?やはり矛盾しているではないか」「確かにその通りかもしれない。でも、僕達は勇者だ。この先にこれ以上の困難が待ち構えているのに進むのを止めたら、いずれ脅威に飲み込まれる。それにこの人を助けることと魔物を倒すことは関係ないよ」そう言いながら、鎖をトーイとユナは断ち切る。ユナイト状態だからか、切断することができた。鎖が斬られてその場で倒れたガイアを急いで助けようとすると、切断したはずの鎖が復活してガイアを包み込む。壁から出ていた黒い鎖がぐるぐる巻きに巻き付き、身体を覆う。「これがこの女の正体だ。化け物だから諦めろ」と声はここで途切れた。その姿はメデューサのような見た目だった。その時、「話は聞いたぞ、加勢に来た」とそこにいたのは、、「魔王!?どうしてここに?」いたのは魔王、ペルセポネ、エキドナの3人。「忘れたの?このブレスレットは会話ができるから話していたら自動でこっちに聞こえるようになるんだよ」とエキドナが補足する。4人は知らなかったが二人を助けたときにもブレスレットが活用されていたのだ。「助けに来てくれたはいいんですが、ガイアさんをどう助けるんですか?」「あの黒い鎖でできたものは胸の真ん中付近にオレンジのコアのようなものがある。そこを攻撃してまずは動きを止める」「わかりました」ガイアは黒い鎖を伸ばして捕らえようとするが全員捕まらない。懐に簡単に潜り込むと順番に攻撃してコアらしきものは破壊された。その瞬間にペルセポネが魔法をかける。「地母神ガイア、元の姿を取り戻してください」かけた魔法は強制的に魔力を授けるもので、冥王の妻であり自らも豊穣の女神の一人である彼女ならではの魔法だ。ガイアの身体は光に包まれて鎖が外れていく。「一体何が起こったんですか?」「本来の力を戻してあげただけです。私は冥王の加護があるのでこのダンジョンの魔力の制限は効きませんので」鎖が外れたガイアをペルセポネ達が連れて行った。「まだあなた達の修行は終わりじゃないよ、最後の敵が残ってる」そこにはガイアと切り離された鎖が浮遊していた。鎖は言葉が終わった直後には攻撃を始めていた。ユナイト状態でスイスイ避けて、反撃で斬っていく。しかし、すぐに斬られた部分が復活するので有効打にならない。4人はあのときの技を再現することにした。斬剣と聖剣を合わせて合体させ、男性陣が繰り出したのは「次元斬り」。虚空を切り裂いて亜空間に消滅させる技だ。再生を繰り返してきた鎖もこれにはどうすることもできずに消滅するしかなかった。「やったね、とりあえず魔王国に行ってみよう」ユナイトが解けた4人は最終階層から脱出した。魔王城に転移するとすでに回復したハペル達がいた。「もう治ったの?」「うん。ノレドの装備が自動的に使われたみたいで、ユナイトしていた皆にも影響が出たおかげですぐに回復できたんだ」説明すると世界樹の竜槍とドラゴンシールドは竜装備である。で、改良を重ねる度に竜素材の純度が高くなっていたのである。要は身体の一部なので傷付いた身体を治すために自動的に使用されたのだ。それによってノレドは世界樹の魔力を身に纏った。この魔力が治癒に大きく影響し、ユナイトをしていたハペル、ポーサもまたすぐに回復することができたのだ。「でも、武器が吸収されちゃったんでしょ?まずくない?」「まずくない。元の武器さえあればすぐに作れる」とノレドは言い返す。「じゃあ、槍と盾があればまたできるってことかな?」「その通り」幸いというかまた素材と武器を交換していたので盾も槍もある。「威力は前よりは劣るが、俺自体が強くなっているからまぁなんとかなるだろ」とすぐに合成してドラゴンシールドとスピアを作る。「と、とりあえずこっちもダンジョン攻略したから、元気なら次のダンジョン一緒に行こうよ」「そうだな、回復して少し暇だったしいいな」というわけで次のダンジョンは6人で攻略することになった。「本来の目的、忘れてませんか?」とシエムが言うと、「あ」目的を思い出した3人はガイアに会いに行くことに。「お主達か、助けてくれてありがとうなのだ」「どういたしまして」「長い間魔力制限のダンジョンに拘束されていたから衰弱していたけど、魔力を供給されて転移したあとは大気中の魔力を吸って回復に向かっているよ」
「そうですか、良かったですね」「お主達のおかげじゃ。何かお礼をしなければ、、これならどうじゃ?」渡されたのは水晶玉だった。「それには我の魔力を込めてある。大地そのものの魔力故に様々な使い道があるじゃろう」「例えば、どんな使い道が?」「自然を操ったり、自然にないものをなくすことができる」「すごいですね、、」とんでもないものを渡されてしまった6人だった。道場に戻り、海底神殿であるネプチューンの神殿を攻略することをジョウドに伝えるトーイ達。「ほれ、あの娘はこの時を待っておったぞ。熱心にダンジョンの攻略や訓練に励む様子は真剣そのものじゃったわい」そこにメイリがやってきた。「皆さんのサポートができるように修行してきました。次のダンジョンではよろしくお願いします」「こちらこそよろしくね」と挨拶をかわす一行。「明日から行くんじゃろ?」「そのつもりです」「頑張ります」「頑張ろう」その日はそのまま休むことになった。
翌日。天使族の集落に向かう7人。「ネプチューンの神殿に向かいます。転移をお願いします」「わかりました。しかしもう2つもダンジョンをクリアし、あまつさえガイアを救い出すとは、、」「ガイアさんを救ったのは私達ではないですけどね」「それでも大地の女神をあのような場所に置き続けるのは過去の罪があったとしてもよくないとは思っていたものですから」「集落の天使の一人が反対するような音声を送ってきましたけど」「それは申し訳ない。ただ、魔物を率いて戦争を起こした女神であることは事実ですから。話が脱線しましたね、こちらが転移陣になります」話している間に転移陣が用意されていた。「行ってきます」「ご健闘を祈ってます」転移した先は海岸だった。さすがに直接神殿に転移させたら色々まずかったのだろう。「皆さん、私の鱗を装着してください。一気に潜っていきましょう」メイリが6人に自分の鱗を渡して顔につけるように言った。呼吸を鱗にかかっている魔法で補助することで水中でも呼吸が可能になる。「水中神殿まで一気に行きますよ」ポーサがやってきた。かつての方法と同じくアイスリヴァイアサンに変身して一気にスピードよく進んでいく。「着きましたね、、早すぎます」メイリはあまりのスピードに驚く。こうやって来ていたことを知らなかったからだ。「これがネプチューンの神殿、、ポセイドンの神殿は階層を上がっていったけど、今回は下っていくんだね」「結構深そうだな」早速ダンジョンの石碑を発見して登録してダンジョンの攻略を開始する。第1階層の魔物はフローズンスター、フローズンシェル、サンダーシャーク、爆弾ウニ。「かつてのポセイドンの神殿より手応えのありそうな魔物ばかりだな」事実その通りであり魔法による遠距離攻撃をしてくる上記三種と近接して倒されると爆発するウニの組み合わせは難易度がかなり高くなっていた。特にフローズンシェルは魔法攻撃と鉄壁の防御魔法を持っていて魔法単体では倒すのがほぼ不可能だ。魔法の迎撃とめんどくさいシェルの剣での処理班に別れて階層内の魔物を全滅させた。「この難易度はハードだね、、でも心なしかパワーが上がっているから時間はそこまでかからないね」そう、2つのダンジョンの攻略によって格段に6人の魔力量が上がっていたのである。制限環境下における魔力と取り込んだ竜の魔力によってパワーアップしていた。そのため、魔力量が魔法の威力とスピードに影響して魔物を早く倒せたのだ。その後も調子良く突破していく8人。ポーサが魔法威力上昇、メイリがサンダーバリアをかけていることもあり、攻防ともに隙がなかった。そして何事もなく8階層まで到達し、久しぶりに奴を発見した。「ドラゴンの鱗、、水中ダンジョンにもいるんだね」銀色の鱗が水中を漂っていた。ただ、今までと違うのは、他の魔物はこいつに一切興味を示していないこと。本来高く、濃密な魔力を持つこいつは倒せばとてつもない魔力を得ることができる。それは魔物にとっても同じなのだが、、
「倒せないとわかっているから、興味が湧かないんだと思う」ハペルが言った。「じゃあなんで今までの魔物は、、」「あまり賢くないからじゃない?弱い魔物は無謀な敵相手でも魔物は突っ込んでくるでしょ?」「なるほど、そういうことか」鱗は水の中で動き回り魔法や水流で攻撃してくる。しかしポーサ一人に全て防がれていた。「竜相手に水流攻撃は効きません」「すごいですね」メイリが感心しつつ、槍で近寄ってくる魔物を撃退していた。魔物達は鱗と連携を取って攻撃してくるわけではなかったので、各個残りの敵を撃破して鱗だけにした。そして、竜に変身したポーサが噛みついて斬剣で切り裂いて倒した。ちなみにポーサは人状態でも天候を操る力などを扱うことができる。光に包まれて何か変化があると全員が思ったが、、「さすがに竜になっていたら平気ですね」と変わらない姿のポーサがいた。「え、竜になったってあなたは前は違うものだったんですか?」メイリはその経緯を知らないため質問する。「私は元々ポイズンサーペントでした。ドラゴンの牙を今と同じ方法で倒して飲み込んだときに竜になりました。竜になったことでこのように人化の術も獲得したわけです」と人の姿に戻りながら説明した。「まぁ、名前は私がルーツを忘れないように命名したんだけどね」とハペルが補足する。「そうなんですね、とりあえず魔物も倒したので次に行きましょうか」「そうだね」この日は12階層まで進んだ。次の日、15階層で中ボスが現れた。しかし、、「砂が敷き詰められているだけで何もいない、、」「隠れているんじゃないの?魔力は隠せないでしょ」と魔力探知をしてみるがそれらしき異変はない。「危ない!」砂の床から武器で攻撃しようとしていた。ポーサが気配をいち早く察知したことで危機を回避した。現れたのは8本の腕と忍者の暗器であるクナイや手裏剣を持ったタコ、オクトニンジャ。墨を使って視界を悪くして攻撃を仕掛けたりその隙にまた隠れたりと多彩な攻撃を仕掛けてくる。しかし、「搦め手をする相手には影が効くんだよ」とピレンクが言う。攻撃を避けている間にキングがボスの影を捉えていて、隠れて攻撃したところを影魔法で無理やり引きずり出す。「隠れられなきゃこっちのものだ」とトーイが斬剣で斬って勝利。捕獲したのはピレンクだった。「タコで思い出したけど、あいつは何をしているんだろうか」あいつとは勝手にもう一方の斬剣を持っていったフルメタルアーマーナイトである。
話題に上がった騎士はかつて自分がいたダンジョンを攻略していた。騎獣で雑魚フロアを駆け抜け、斬剣であらゆるボスをなぎ倒す。食糧は自身が魔物であるため周囲に魔力さえあれば特に必要なく、睡眠も必要ない。すでに自身の前身であるロックサイクロプスも撃破してさらに肉体を強化し、メデューサがいたフロアの100階層にたどり着いた。ほぼ休みなしでここまでたどり着いたが、メデューサは魔王城に移住したためボスは誰もいなかった。本来は別のボスが設定されているはずなのだが、そこには誰もいなかった。「何もいない、、ただ、すごい気配を感じる」騎士は魔力探知をしてその気配の正体を探った。「この壁の奥、何かいる」斬剣で斬るとそこには空洞が広がっていた。気配を感じるままに進んでいくと、、「でかいな、これが正体か」そこにいたのはあまりにも大きなボスだった。「封印を解いてくれたのか?感謝するぞ」「いや、気配がしたので斬ってみただけだ」「どちらにしても脱出の機会を与えてくれたわけだし、ありがたくその命頂戴しよう。腹が減って仕方なかったのでな」「望むところだ、名前を聞いておこう」「我が名はテュポーン。魔を統べる者だ」その姿はまさに巨体。クラーケンやサンドジャイアントよりもさらに大きく、肩から蛇が無数に生える様は前の階層のメデューサを彷彿とさせる。目や口、蛇達から無数に炎魔法が放たれる。しかし、「全て消すのか、なかなかやるようだな」剣を振るだけで全て無効化する。騎獣に乗って接近する騎士と、接近させたくないボス。だが巨体でありどう接近を拒否しても魔法はアーマーや剣で無効にされてしまうので身体で防御するしかないが、ほぼなんでも斬れる斬剣にはその防御は無意味だった。「痛い!痛いぞ、この感覚は久しぶりだ」「無駄な時間は終わりにしよう。主君が待っているのでな」「そもそもなぜここにお前は来たのだ?」「この剣を鍛える鍵があると剣が教えてくれたからだ。感知した気配は貴様こそその鍵だと言っているのだ」と言いながら、顔に向かって騎獣で突っ込む。身体でガードするがやはり無意味で、斬りながらその巨体の顔に跳んで顔から下の蛇の胴体まで一気に切り裂いた。「魔力を含ませて封印をしつつ強化する」と呟きボスの魔力を剣に吸収させた。斬剣はその膨大な魔力を受け入れるためにさらに太く、重くなった。「これで完成した。戻ろう」と騎士は転移をしたのだった。
6人に修行をさせていたマタカだったが、何もしていなかったわけではない。冒険者ギルドと商業ギルドのマスターというあまりにも忙しい仕事の合間を縫ってとある場所で特訓していた。「ギルドマスターなのに本当に修行に来て大丈夫なんですか?兄さん」「息子達の強さは正直言って未知数だ。修行しているところも行ったことがないからわからないが修行として有名だから相当きついだろう。その状態で対等に戦うにはこっちもやるしかないんだよ」ここはフェアルが発見した島、アイマリド。先住民族のマリド族が魔物達と壮絶な戦いをしながら日々の糧を得る島。ここに依頼もあって冒険者と門下生が修行に来ていたのだった。そこに住む魔物達は大陸のダンジョンの魔物と比べると非常に強い。常に生存競争を勝ち抜かなければ生きていけないからだ。短時間で効率良く修行するには一番だった。そんな彼と会話していたのは弟でジョウドの道場の門下生をまとめるシハーデである。「早速魔物がお出ましのようだな」「ここではこれが日常で、これに勝たないと死にます。実感する出来事もすでに経験してますし」魔物はマリドリザードと名付けられたこの島固有の魔物で一番多く生息して、かなり強い部類に入る魔物だ。「なら勝負に勝つだけだ」凄まじいスピードで現れた魔物を一掃していく。「そのスピードは一体、、さすがに人間の出せる速度じゃないですよね」「すまん存在を忘れていたな。紹介しよう、ロキだ。」「よろしくお願いします、ロキです」「猫の魔物!?どこから?」
「子供達の能力と同じ能力が俺も使えるのさ。ロキとユナイトしないとあの子達には勝てないから最初からやっているんだよ」
「なるほど、確かに使ってましたね」道場に出入りするので当然シハーデは彼らのことは良く理解している。「とりあえず、これは飯の種になるんだろ?さっさと運ぼうぜ」「そうですね」倒した魔物の死体の山を手分けして運んでいく。「ああ、トラブルが起きたらしいからまた後でな」さっさと転移してしまったマタカ。「兄さんの強さは十分伝わったけど、あの子達も強力ですからね。勝負楽しみにしてますよ」6人が修行している間、時折ここにやってきて修行していくことになるのだった。
話を戻してオクトニンジャを倒した8人は次の階層に到着した。そこには鱗がいた。「気になったんですけど、どうしてあれを倒したら竜になっちゃうんですか?」メイリが聞いてきた。「魔力が強すぎるみたいなんだよね。シエムが持っていたユニコーンでさえドラゴンになっちゃったし」「魔力が強すぎるって具体的にはどういうことなんですか?」「魔物の場合、体内の構成する魔力に対してあまりにも大きな竜の魔力が入ってくるから身体が維持できなくなってしまうみたいなんだ」ハペルがトーイが答え切れなかった部分を補足する。「身体が維持できなくなりそうで怖いですけど、、私が倒すのを手伝ってくれませんか?」
「それは構わないけど、、どうして?」「皆さんみたいに強くなりたいんです。すぐには追い付けないのはわかっていますが、それでもいつかちゃんとした仲間として戦力として戦っていきたいんです」「わかりました。協力します」決意を聞いて協力することにした6人はまず、邪魔な魔物達を片付ける作業から始めた。ちなみに会話中の敵の攻撃はポーサが全て無効にしていた。突撃するタイプの敵はすでに倒されていたのでそこまで時間がかからず全滅させることができた。「どういう作戦でいきますか?」「とりあえず捕まえて魔力が入ってくるようにすれば口で咥えなくてもいいんですよね?」「ええ、そうですよ」「だったら、私が捕まえてその間に斬る作戦でいきます」「わかりました」普通の敵なら転移で逃げてもおかしくない時間は経っていたが強いぶん逃げにくくなっているせいかまだ逃げていない。メイリが自力で捕まえようと泳いで鱗を狙うが、階層内を転移して逃げ回るためうまくいかない。「仕方ないなぁ」とピレンクとユナが協力して影で動きを制限して、「やっと捕まえた、お願いします」と合図したのでトーイが駆けつけて斬って倒した。すると、先ほど同様、彼女の身体が光に包まれた。固唾を飲んで見守る一同。光り終わった後に現れたのは、、「あれ、変わってない!?」人魚の姿はそのままだった。だが、「あれ、色が変わっているような」
元々メイリの鱗は人魚特有の青色をしていたが、敵の鱗と同じ銀色に光輝いていた。「す、すごい!力がみなぎってきます。かなり早く泳げます」「本当だ。メイリさんの鱗が変わったからか僕達も早く動けるようになっているみたいだ」「それだけじゃないです。鱗を飛ばして武器にすることができるようになりました。今までより鱗が生えるスピードが段違いに早くなったのですぐに再攻撃できます」「どうしてそれがわかったの?」「さっき飛ばしてみたので。こうです」メイリは全員に見えるように高速で鱗を身体から打ち出した。「矢で射つより早い!?」「とりあえずどんどん行きたいです」「そうだね」鱗の魔力を手に入れて力を付けたメイリが張り切って魔物を倒していったのでボスを倒したにも関わらずこの日は20階層まで到達した。「一時は化け物になるんじゃないかと怖かったですけど、やってみて良かったです」と笑顔のメイリ。ちなみに陸上の人間形態に特に変化はない。「もう少しで最下層に着きそうだね、頑張ろう」「おお!」
翌日。メイリは手に入れた力をフルに活用し6人に負けず劣らずの活躍を見せた。6人もこのままだと活躍が奪われてしまうと恐れたためか凄い勢いで倒していく。そして24階層。そこには鱗ではなく、、「銀色の小さなドラゴン!?」ミニドラゴンがいた。
「あれは、凄い竜の魔力の塊ですね。もらっても宜しいですか?」と同化を解除してシャミが言う。「いいよ」とハペルが許可を出したのでルートドレインを出して雑魚は無視して取り込んだ。一瞬だったのでミニドラゴンは逃げることができなかった。「見た目以上の凄い魔力でした、戻ります」とハペルの身体にシャミは再び同化した。「体調はどう?」「元気そのものだね。魔力が凄い入っているのは嘘ではないみたいだ」「とにかく行けそうなら先に進もう」ハプニングはあったものの順調に攻略し、30階層、最下層にやってきた。「待っていたぞ、ポセイドンを倒した者達よ」「なぜそれを!?」「我は奴と同一の存在でもあるが異なる神なのだ。故に同一の存在を打ち倒した者は全て知っておる。では行くぞ」ネプチューンはそう言うと水中にも関わらず炎魔法を放ってきた。「そんな!水中で火を使えるなんて!」「我はこの神殿で水の元となる聖なる炎を護っている神。故に火が使えるのは当然なのだ」そう言いながら再び火を放つボス。「私の前で炎は効かないよ」ハペルは直撃を食らったものの平気な様子。「水の炎は操れる、一人無効にしてこようが問題ない」
「無効にできるのはハペルだけじゃないぞ」ピレンクは影魔法で炎を消していく。「ポセイドンで思い出した。槍は使わないんだな」そう言うとポセイドンの神槍を取り出した。「お望みなら使わせてもらう」ネプチューンもまた虚空から槍を取り出した。ただ、ピレンクには直接ポセイドンの神槍を扱う権限がないので影魔法で操っている。槍の大きさは同じだが重い上に魔法で操っているぶん動作が遅い。なので簡単に弾かれてしまう。仲間達も魔法などで攻撃を仕掛けているものの大半の攻撃を水流で受け流してしまうのでダメージになっていない。トリトンが持っていた能力を予備動作もなしにネプチューンは行っていた。「あんまり巨大な敵相手に接近したくないんだけど、仕方ないね」「あれはあれ、今は今だろ?」「そうだね。行くよ」ハペルとノレドはユナイトして接近戦に持ち込もうとする。しかし。「うわぁ!こっちに攻撃が来る!?」ボスは水流で行手を阻むと同時に受け流した魔法を当てようとしていたのだ。複数の水流も自由に操れるようだ。自動防御のおかげでノーダメージなものの、「近づいても水流、魔法も水流で受け流される。どうやってダメージを与えたらいいんだ?」と頭を抱えるハペルだが、「あれだ、あれを使えば」「何をする気だ?」ボスが頭をかしげている。その頃、ポーサとメイリは別で動いていた。水流を無効にできる彼はとある作戦を決行した。彼らの作戦で均衡が崩れた。「うぉ!いつの間に!」ポーサは竜の状態で巻き付いてバランスを崩させた。メイリは足元を的確に鱗で狙撃しダメージを与える。「転倒したが水流は使え、、」「ないよ。この水晶の力でね」それはガイアが渡した水晶だった。自然の力を操るその水晶の前では水流を操ることはできなかった。「今だね」トーイとユナがユナイトをしてとどめを刺しにいく。水流が無効にされた今、転倒してろくに防御態勢も取れてないボスに彼らを防ぐ手段がなかった。左手も防ぐも叶わず、肝心の槍も影で邪魔された上に槍の三股部分が影で連結されて動かせなくなっていた。ユナイトしたトーイ達にとどめを刺されたネプチューンはすぐに煙になって消えた。「これで、3つのダンジョン全てクリアしたんだね。天使族の集落に行こう」「疲れたから一旦戻ろうよ」「こう言うのはすぐ行ったほうがいいんだって」というわけで水中の神殿から転移した。「その様子だと試練を突破されたようですがまずは身体も濡れてますしお風呂に入って休息を取られてはいかがかと」「わかりました」
「せっかくすぐ来たのに」「さすがにずぶ濡れで来たらまず身体を洗って、と言うのは仕方ないと思いますよ?」ハペルに対して冷静に返すメイリ。「ところで、前見た時より明らかに身長伸びてない?ユナちゃんとシエムちゃん」「「え!?」」「あんまり気にしてなかったけど今見るとだいぶ身長も伸びてるし、なんなら胸も、ね?」「確かに10歳とは到底思えない身体に成長してますね」「どうしてそうなったんだろう」「魔力を順応させようとしたから、だと思う。成長しないと魔力が暴走して命の危険があると判断したからなんだと思う」ハペルがそう説明した。「どうしてそれがわかるの?」「魔族は急激に魔力量をアップする時期があって、そのとき一気に身体が成長するって書いてあったから、同じようなことがあなた達の身体に起こったんじゃないかと思ってね」「なるほど、、」そんな感じで話す女性陣に対して男性陣は神槍が使えるようになったことが話題になっていた。「急にあのあと小さくなったからびっくりしたぞ。直接触れられるようだし使用者として認めてくれたみたいだな」「凄いなぁ」「というかそんな声野太かったっか?お前ら」「どういう意味?」「声変わりが起きているように感じたんだが」「え?」「今見たけど身長も伸びてるし凄い成長しているんだが」「よく分かんないな」「とりあえず出ようよ、お腹空いた」「そうだな」この後天使族のもてなしで夕食を食べることになった。メニューは肉料理がメインだった。彼ら曰く魔物を狩って食べられるようにして出しているらしい。食事が終わった後に族長の話を聞くことになった。「素晴らしい活躍でしたな。まさか3つのダンジョンを全て踏破するとは思いませんでした」「試練をクリアしたので何かご褒美とかあるんですか?」「そうですね、、あなた達が欲しがっているであろう情報を授けましょう」「それって伝説のドラゴンの情報ですか?」「それです。かのドラゴンは砂漠を進んで竜の隠れ里を抜けた先、そのさらに奥に封印がされた島々があります。そのどれか一つにドラゴンはいるようです」伝説のドラゴン、コーテックドラゴンは100年前の戦争を終結させて元凶を封印したと言われている。その元凶だったり本当の原因と言われている邪神の行方の手がかりは今はここしかない。彼らは平和を守るために戦いを続け、その戦いの為に今回強くなったのだ。「ありがとうございます」「強さを世間に示す時がもうまもなくなのですよね?」「ええ、父が舞台をすでに準備しています」マタカは親子対決、彼らの勇者としての強さを見せる舞台を3日後に決めた。場所はラフス王国の闘技場だ。「楽しみにしていますね」
「ちょっと待った」話しているところとは別の方向から声がした。「お前達がどれだけ強いか知らないが、天使族最強の私を倒す前に強いなんて言ってもらっちゃ困る」「こら、ナージェ!」
「いいではないですか、お父様。本当に3つのダンジョンを踏破した人間ならその強さに興味があるのは当然です」「あ、あの方は?」「私の娘のナージェです。天使族の中ではダントツで強いのはいいんですが、いかんせんプライドが高くて、、」「そ、そういうことを言わないでください!」「本当のことじゃないか!すみませんね、喧嘩に巻き込んでしまって」「いえいえ」親子喧嘩にあっけに取られている8人。「とにかく!3日も時間があるんでしょ?私と勝負しなさい」「こっちは全員で?」「バカ。さすがに全員一気には無理よ。一対一で勝負しましょう」「わかった。明日やろう」「臨むところ」ダンジョンから直接来たので勝負は明日行うことになった。「面白そうだな。明日は見学させてもらう」「父さんは大丈夫なの?仕事」「急ではあるが、任せられない仕事じゃない。何、見終わったらすぐに戻るだけさ」「ありがとう」「母さんも来ると思うぞ。前哨戦だと思って頑張ってこい」「うん」ということで翌日。マタカ、フェアルとドラゴ、シルヴァが子供達二人を連れてやってきた。「戦いは見るのは楽しいから、こっちもオーナーの仕事任せてきたよ」ということらしい。「戦闘が続行不能、戦闘不能になった時点で決着。ナージェは一人で相手するので戦闘終了時にフェアルさんの回復魔法を受けて次に移ります」「それにしてもあの子達全員を相手にする根性が凄いね。私でもさすがにきついよ、全員相手するのは」とシルヴァが言う。強者特有の戦闘能力の分析をしていた。「おかげで負担が増えそうで困るわ、見に来たと思ったら回復役にさせられるなんて」「フェアルより回復が上手い天使がいないんだから仕方ないだろ」「頼むから夫婦喧嘩はよそでやってくれ」「う、分かった」天使族最強のナージェが戦いを挑むとあって会場には沢山の天使達がいる。「お客さんすごいね」「ユナ、2日後はもっとすごいと思うぞ?」「そうだね、慣れておこう」トップバッターは今話した通りユナだ。「あまり強そうに見えないが、お手並み拝見といこう」「そう思えるのも今のうちだよ」ちなみに一人で戦うのでくそ重い斬剣ではなく取り回し重視の普通の剣を武器にしている。これは後に出てくるトーイも同じだ。ナージェの武器は弓矢、盾と剣だ。遠距離相手には弓矢、近距離は剣で戦うようだ。「戦闘開始」掛け声と共に一気にユナが距離を詰める。ナージェは剣と盾で剣を防いでいるが反撃ができない。戦闘は急に終わった。「この勝負、ユナさんの勝ちです」ユナは剣をこちらの手の全てと思わせて、切り札であるクイーンで拘束して続行不能にした。「何これ!?」「私の影です。彼の婚約者なのでこういう技も使えます」ピレンクを指差したユナは満足そうな表情だ。「く、これだけで勝てると思うなよ!次の相手には勝つ」ナージェが次に指名した相手はシエムだった。「魔法使いには負けないぞ、さすがに」「舐めてもらっちゃ困ります」戦闘が開始されると早速魔法攻撃をしていく。だが直撃を気にしないのかナージェは一気に距離を詰める。「何を、、」その瞬間、放った魔法は何事もなかったように消滅した。「!!」慌てて次の魔法を出すもさすがに距離が詰められ過ぎた上に再び消されて喉元に剣が突き立てられる。「こ、降参です」「ふぅ、さすがに魔法使い相手には負けられないわ」「ナージェの勝ち」天使族から歓声が沸いた。8人にとっては完全にアウェーだ。「すごいな、この雰囲気」「当日はもっと緊張するだろうからいい予行演習になると思うぞ」マタカは冷静に分析していた。「影魔法でも初見じゃなければ私の魔法消滅魔法、「「マジックキャンセル」」でどうにかなるはず、だからあの男にも勝てるはず」というわけで次に指名されたのはピレンク。「そういう技術があるんだ、でもさすがにそれだけで対処するのは影を舐めすぎだと思うぞ」「天使はそれに加えて光をコントロールできるんだ、影なんぞに負けない」本来ピレンクには昨日使えるようになったポセイドンの神槍とシルバーランスがあるのだが、ナージェのある意味挑発に乗った彼は影と影魔法だけで倒すと決めていた。「戦闘開始」「こっちから行かせてもらう」ピレンクは一気に影を展開した。フィールド上には無数の影が伸びている。「シャドウバインド」「キャンセル」バインドしようとした影魔法もしっかりとキャンセルさせた。「私のこれを試したのか?」「まぁ、あの程度はしっかりしてくれないと張り合いがない」「生意気な、、」怒ったナージェはあまり考えずに突っ込んだ。影は光の前では消えると考えていたから自信があったためだ。「影の防壁」キングを自身の前に壁として使いナージェの勢いを止めた。「ライトニングアロー!」光の弓矢で攻撃して防壁を消してダメージを与えられるはずだった。普通の影相手なら。「光が、消えている!?」「光で来るなんて言うんだから対策はできる。キングのような特別な影なら光を阻害することも可能、、というか終わりだよ」「え?」展開した影の中にいることを忘れていたナージェはもう1つの影であるシャドウドラゴンに拘束されて戦闘終了となった。展開された影の中では光魔法は効きにくくなっていることも敗因だった。「またしても影に負けるなんて、、」「影の使い方はもっと応用もあるぞ?」「こら、ナチュラルに煽らないの」「試合も終わったし観戦席に行こう、ユナ」「そうだね」勝者の余裕といちゃつきを見せられたナージェは勝てそうなメイリを指名した。こちらは戦闘経験の差もあって何もさせずに勝つことができた。「よし、次だ。獣人族の男ならこの調子で普通に勝てるだろ」トーイが指名された。しかし戦闘開始するとその圧倒的な速さに反撃できないどころかろくにガードできずに敗北してしまった。「なんだあの速さは!?信じられない、、」観客さえ呆然となっていた。剣術の腕ももちろん随一のものを持つナージェが何も出来ないまま敗北したのだから無理もない。
「あれと戦うのかい?あんたの子供とは言え化け物すぎやしないかい?」「ああ、前に見たときより凄く強くなっている。これを見れただけでも今回来て良かったと思ってる。すまないが仕事なのでここで失礼する」マタカは仕事をするために転移で帰っていった。ぼこぼこにされたナージェはフェアルから治療魔法を受けていた。「あの子の母親なんだろ?なぜあそこまで強いんだ?」「そうですね、、常に努力を怠らずここまで来たからでしょうか。魔王を倒しても慢心せず試練をやり遂げるのは母親としても誇らしい限りです」「私だって努力しているのだ!」ナージェとて魔物を倒したり日々の鍛練を忘れたことはなかった。ただ勝負を分けたのは、、「あの子は常に自分と同程度、もしくは格上の相手と戦い続けて来ました。その経験の差はあると思います」ナージェは黙ってしまった。魔物相手に遅れを取ることはほとんどないので緊張感などない状態では真面目に訓練していたとしてもなかなか伸びにくくなる。ダントツだからこそ伸び悩んでしまったのだ。身体能力のスペックの差も当然あるものの、足りない部分は本質的にはそこではなかった。規格外のスペックではなくてもナージェもまた優れたものを持っているからだ。それはシエムやメイリ相手に圧倒したことからも分かることだった。「次だ、あの背が高い男にしよう」次の対戦相手はノレドが選ばれた。「盾しか持っていないなんて戦う気があるのか?」「お前相手にはこれで十分だ。新しくなった盾の性能の御披露目といこう」「戦闘開始」開始してもノレドは全く攻めなかった。しびれを切らしたナージェは弓矢で攻撃を仕掛けるが全て防ぐ。少しずつ接近していくノレド。ちなみにドラゴンに変身するのは当然なしである。追い詰めているぞ、と圧力をかけていたのにイライラしたナージェは剣で斬りかかった。もちろんこれこそが彼の狙いだった。「反撃の盾」「何!?」この盾は従来同様逆鱗を使っているので近距離で攻撃すると盾からの鱗の反撃を受ける仕様になっている。傷ついたナージェが攻めの手を止めた時だった。「拘束の盾」傷付けた鱗が魔法で拘束用に変形し、彼女の動きを止めて勝利した。竜素材という自身の身体の一部分だからこそこの応用が可能になったのだ。「あれが盾だと、、攻防一体なんて聞いたことがない」「全員が旅に出た頃とは比べ物にならない位強くなってますね」「じゃあ次は、、」ポーサが選ばれた。「私ですか。魔法使いを馬鹿にしているようですので本物をお見せしましょう」ポーサも人間の状態では魔法メインだ。「魔法使いに負けたりしない」戦闘開始するといきなり魔法を展開した。「暴風雨」「キャンセル」「雷雨」「キャンセル」と二回キャンセルで処理した時、ポーサは頷いた。「やはり、その魔法は大きな魔法であればあるほど相殺するのに魔力を使うようですね」「くっ!」言いながら放たれた氷魔法をキャンセルではなく避けた。合体魔法である上記の2つを消そうとすればかなりの魔力が消費される。撃つ側もそうではあるが、龍と人間では魔力容量が段違いだ。「氷雨」「キャンセル、、はぁ、はぁ」「ルートバインド」「しまった!」拘束されてしまい敗北となった。「1つの技に頼りきりになればすぐに弱点を見抜かれます。色々な攻撃を使ってみましょう」「あんたに言われたくないね」「接近戦にさせたらあなたの土俵なのはシエムさんとの戦いで学習しましたからね」「あんたを先に指名しておけばよかった、、」「結果が変わるとは限りませんよ?」「どこまでも嫌味ねあんたは!」「ああ、ちなみに最後の相手ですが、不戦敗をオススメします」「なんでよ!」「それは勿論、ハペルさんが私達の中で一番強いからです」「!!」「あの方と戦闘をすれば、下手すれば貴女が死にかねません」「でも、、」「そう言うと思いました。どれほど強いのかを見たい、体験したいのに戦えないのは不満でしょう。ですから、ハペルさんと私が戦います。強さの片鱗くらいはわかるはずです」で、結果としてナージェは不戦敗となった。代わりに舞台に上がっていたのはハペルとポーサとノレドだった。「何回かやっているけど観客もいるし本気でやるよ」「了解」ポーサとノレドは変身した。「おお、、」竜と龍が翼の生えた女性を攻撃しようとしている。その光景は一方的に見えたが、、「オートガード」「属性無効化」槍の物理攻撃を体内から出てきた硬い物質でガード、ポーサの魔法もほぼ無効にしている。「なんなんだ、あの子は、、」ハペルの反撃。高速転移からの腕をガーディアンに変更して殴る。ノレドはガードをしているがポーサはまともに食らった。「あのトーイという子でも十分化け物レベルで強いのにハペルはそれを優に上回っているだと、、」さすがにここまで見せられたら戦ってはいけない理由を察することができたナージェだった。だが彼女はここで終わらない。「変化ヤマタノオロチ」「あの子も変身できるのか!」「ルートバインド」「何が起きているんだ!?」さっきと同じルートバインドでも規模がまるで違った。先ほどのはただ魔力切れを狙っただけなので身体の周辺のみだが、今度はフィールドを覆い、上空にさえ届かん勢いで根が二人を捉えようとしたのだ。しかも、変身した頭部、8つの首でも逃げ道を塞いでいたのでとっさに転移が使えなかった時点で詰んでいた。「変身解除」根が引っ込むと拘束された二人の姿があった。「この勝負、ハペルさんの勝ちです」「なんだ、あの実力は、、次元が違うなんてものじゃないぞ。確かにあれと戦っていたら私は死んでいたかも、、」「人を化け物みたいに言わないでください」「正直本気ではなさそうだから怖い」「もちろん本気ではないですよ?本気の攻撃だと観客まで巻き込みますし」「やはりそうか」「さて、勝負は終わったぞ。皆様の実力はしかと見たり、実感できたであろう」「そうですね、お父様」「お前にはやはりまだまだ伸び代がある。しかしここにいるだけではいつまで経っても伸びないだろう。そこでなんだが、皆さんの旅についていきなさい」「はい、私自身未熟だと感じたのでそのつもりでした」「覚悟はできていたのだな。なら話は早い。皆様、御願いできますでしょうか?」「仲間が増えるのは賛成だな」「「うん!」」「ありがとうございます。娘をよろしくお願いいたします」こうしてナージェが新しく旅の仲間に加わることになったのだった。仲間に加わったので道場の面々に挨拶をして、師範であるジョウドにも挨拶をする。「勇者様達の旅に加わることになった天使のナージェです。これからよろしくお願いします」「そうか、よろしく頼む」とりあえず戦闘をしたのでお風呂に入ってリフレッシュする一行。とここでメイリが一言。「海底ダンジョンが終わったんですけど、この後も私がついていっても構わないのでしょうか?」そう、彼女は元々水中のダンジョンに必要なときに備えるという条件で仲間になったのだ。しかし、「もうすっかり仲間の一員になっちゃったし、十分私達についてこれるようになっているでしょ?なら大丈夫だよ」「ありがとうございます。それもあのドラゴンの鱗のおかげですね」「ああ、あれね。確かに鱗を飛ばせたり色々能力の向上があったのは大きいね」「鱗を飛ばすとは私との戦いで使用したものか?」「ええ、これです」メイリはナージェに足を人魚の尾ひれに変化させて見せる。「元々鱗は人魚族特有の青色だったんですが、今はあの鱗の色の銀色に変わってます」「銀色の鱗はあのコーテックドラゴンと関係しているらしい、というのが私達の考えだよ」「そうなのか?」「たった一部分を倒しただけで大量の魔力が入手できるんだ。その大元はどれほど強いのか、ということとノレドくんのお父さんのお父さんがその伝説のドラゴンだからね」「だから彼の鱗も銀色なのか、、」その後も女性陣の話は延々と続く。新メンバーが加わったことで会話のレパートリーが増えたからだ。その後風呂に入りすぎてのぼせたのは言うまでもないだろう。さっさと上がった男性陣は「どんだけ話していたんだよ、、」と完全にあきれていた。翌日。明日が本番ということで各々好きに時間を過ごしていた。ハペル達は昨日のドラゴン決戦を見て大はしゃぎのノレドの妹達の面倒を見にいき、トーイとユナは道場で最終確認をしている。ピレンクとシエムは立場もあるので国に戻っていた。旅に出ていなかったら彼らは次期王でもあるので仕事こそまだないものの勉強することは山ほどあるのだ。ナージェは二人の特訓の様子を見ていた。「ポーサさんとメイリさんってどこ行ったの?他のメンバーは行く先聞いたけど」「ポーサさんは自分の巣を持っているから二人ともそこにいると思うよ」「ちょっと待って。昨日風呂であんた達から色々聞いたけどあの二人って、、」「うん、付き合ってるみたいだね、ダンジョンで二人仲良くやってたし昨日の勝負のときもやたら距離近かったもん」で、噂されている二人は「色々ダンジョンで助けてくれてありがとうございました。一緒に行動しているときがなんだか楽しいですね」「そうですね、まだ会ったばかりですけど人魚に恋をするとは思ってませんでしたが」「そういう私も元魔物の人間をすぐ好きになってしまうとは思いませんでした。恋って色々難しいんですね」「そうですね」ぎこちない会話ながらも好きなことを自覚してイチャイチャといかないまでもカップルらしい会話になっているようだ。話を戻して、そんな特訓をしている二人にとある来客がやってきた。「遅くなりました。ご主人様。只今帰還しました」「おかえり。で、斬剣はどうなったの?」騎士が帰って来た。「こちらになります」虚空から剣を取り出す。巨大な鞘に入った非常に刀身の大きな剣があった。「さすがに重そうだ、ユナお願い」「了解」ユナイトして持ってみようとしたが、弾かれた。「これ、何か邪悪な物が入ってる」「ええ、ダンジョンの奥地に封印されていた強大な魔神を倒して来ましたから」「なんだって!?」しかし武器としては強くなっても使えないのでは意味がないと思ったとき、デーモンが勝手に現れた。「その剣の邪気、食べれるなら力を貸す、どうする?」「お願いする」するとデーモンはトーイの腕の籠手になった。試しに剣を持ってみると「すごい、持てるだけじゃない。軽々と回せる」巨大な剣を抵抗なく回してみせた。「悪魔が自ら力を封印して人間に力を貸すほどの武器なんて聞いたことがないぞ」とナージェは驚いている。「魔神の剣と悪魔の籠手か、、凄く強そうな武器だな」「頼むからそれをしまってくれ。邪気が凄いことになってるぞ」「わかった」クイーンに魔神の剣をしまう。「騎士はいてくれるの?」「用はありませんから、戻りますね」「騎獣もセットなんだ、、」どうやらメタルラインベアも騎士の一部分の扱いのようだ。「へぇ、凄そうな武器になって帰ってきたんだね」戻ってきた面々に魔神の剣を見せる。「どう使えるかはわからないけどね」「その籠手が元デーモンか、禍々しいデザインだね」黒一色でなぜかトゲが何本かある。ジョウドに見せると「剣としては強くなったと思うが、邪気を放つ以上使い道が限定的じゃな」という評価だった。普通に斬るのであればもう一本を改良して敵の再生対策もできる斬剣改のほうが使い勝手がいい。このあと確かに活躍する出番は来るのだが、それはまた別のお話。
翌日。ついに決戦の日がやってきた。会場に朝早く転移してきた一行。対決は昼間だが、すでに観客席には多くの人が集まっていた。とりあえず何も言われていないユナとトーイ以外のメンバーは観客席の各国の要人が集まるエリアにいた。「お久しぶりですね、ピレンク様」「タイナさんも元気そうで何よりです」「誰なの?その方は」「コーストタウンの領主の娘であるタイナさんだ」「ピレンク様にはかつて旅の途中で護衛をしてもらいまして」「ああ、道場に来るまでの旅で、っこと?」「そういうことだよ」「婚約者のユナさんが今回戦うんですよね?」「はい、そうです」「どのような戦いになるか楽しみです」とそのとき、別の方向から声がかかる。「皆さん、お久しぶりです」そこにはこの国の姫であるリファとミガク王国の王子シームがいた。「生活はどう?大丈夫そう?」「ええ、不便ではありますが義手や義足での生活に少しずつ慣れてきています」「私達二人ともあなた達に助けてもらって感謝しかありません」「当然のことをしただけだ」タイナも加わり要人達で会話しているとイベントが始まった。「皆さん、お待たせ致しました。これより先代の勇者であるマタカ氏とその従者であるロキ氏対現在の勇者であるトーイさん、ユナさんとの親子対決を始めさせていただきます。この対決は世間における現在の勇者のイメージを変えるためにマタカ氏が提案をして実現したものとなります。実況は私、キョジーと解説はエルフの勇者であるレフさんでお送りします」「紹介に預かったレフです。私の能力でできる限りこの対決の魅力を伝えたい、と思っていますのでよろしくお願いします」「では、選手入場です!」マタカとロキ、ユナとトーイがそれぞれ入場していく。大きな歓声で迎えられた。ちなみに今回両者が使うのは通常の剣である。斬剣ではつばぜり合いにならず一方的に勝ててしまうためだ。「では、試合開始です!」「ユナイト!」両者がユナイトをして一気に間合いを詰める。ユナイトをしているため両者が剣のつばぜり合いをしても早すぎて観客には何もわからない。とここでレフが「やはり必要になりますよね、スロー映像です」「こ、これは、、トーイ選手が出した剣を受け止めて空いたスペースにマタカ選手が打ち込もうとしてそれを受け止めて、を繰り返しているんですね?」「そうです。移動しながら行っているので斬りかかったり避けたりもしてますが基本はそういう攻防が繰り広げられています」その渦中にいるトーイとマタカは猛スピードで動き、剣をぶつけ合う。しかし、スピードとパワーで勝っているトーイに徐々に押されていく。「これ以上はこっちの身が持たない。最後の一撃にしよう」「はい、父さん」二人は一旦止まって最後の一撃をぶつける。もうトーイの勝ちはこの時点で決まっていたが、そんなことは関係なかった。上から斬ろうとしたマタカの剣を横に薙いで剣を弾き飛ばした。「この勝負、トーイ選手の勝ちです!スローにしないとわからないくらいの名勝負を繰り広げていましたから、勇者としての資格は十分あるんじゃないでしょうか」「この試合のスロー映像を見れば誰もが彼らの実力を認めざるを得ないでしょう」と実況と解説の二人はやや興奮気味にそう言った。確かに世間の評価を変える目的としては果たしただろうが、トーイとユナにとって重要なことはそこではなかった。
自分の偉大な父親を越えたこと、つまり勇者としてきちんと越えられたことのほうがはるかに大事だったのだ。常にこの二人にとって父親のマタカは越えるべき大きな壁だった。だから、「本当に強くなったな、お前達」と認めてもらえたことが何より嬉しかったのだ。マタカとロキに握手をして健闘を称え合う。「さすが勇者だったね、修行してなかったらおそらく勝ててなかった」「本当お二人は大きくなりましたね、もう大人と身長が変わらないほどに成長されていますよ」「急激なレベルアップのおかげだな」と会話の途中で魔道具を使った。「あの会見にいた他の4人もまた旅の中で成長し、勇者の仲間として遜色ない実力である。ということですでに対戦相手は決まっているので4人は準備して欲しい」「やっぱりか。さすがに何もないはずがないとは思ってた」「どういうこと?」「だってさっき言った通りマタカさんが全て解決したように見えたことがすべての原因なわけで、他のメンバーが弱いとなれば、、」「ああ、なるほど。旅のメンバーとして不安、となるわけか」「と、とりあえず言われたので準備しましょう!」「そうだね」4人は準備する。とは言ったものの、エキドナとすでに戦っているハペルは過去の映像があるのでなしになった。初戦はシエムが出ることに。対戦相手は、、「たまには私も戦いたいものだから夫に頼んで参加させてもらったわ」フェアルだった。「試合開始」「全力で打ち込んで来なさい。エレメント魔法を使っていいから」そう、ナージェ相手に負けた理由をしっかりわかっていた。詠唱こそ必要なものの威力や追加効果が強い固有魔法を一発めから打っていればキャンセルで対応できたかは怪しい。少なくとも接近される前にもう一度放つ余裕くらいできたはずだ。「ファイアフェニックス」「バリアボックス」フェアルは完全に防ぐ。消えない炎であってもバリアに閉じ込めてしまえば食らうことはない。「ライトイレーサー」「ストロングウォール」こちらも適切に防がれた。「反撃ね、気がつかなかった?」「い、いつの間に!?」「なんとフェアル選手、バリアで完全にシエム選手を覆ってしまった!」「詠唱のある固有魔法を打たせたのは自分のしている作業に気付かせないためでもあったんですね」「ま、まだ終わったわけではありません!ルートドレイン!」シエムはバリアに覆われても使える吸収魔法を選択した。しかし。「バリアで圧迫されていく!?」「降参しないと殺しちゃうから早くお願い」「その前に吸収して」「回復魔法を使える私に吸収しきって勝つなんて無理あるわよ、、自己回復は当然できるし」「降参します」「よろしい」「フェアル選手の勝利です」「また負けちゃった、、」「対人戦で魔法だけで勝つのは難しいから、聖剣も近距離に持ち込まれたときもっと使えると強いと思う」聖剣を使うという選択肢が抜けていたことも敗因の1つだ。「じゃあ、次は僕の番なので行って来ます」「え、レフさん!?」「代わりに私、マタカが解説変わります」「おお!ってなんで変わったんですか!?」「それはもちろん、ピレンクくんとレフが対決するから、ですよ」「ええ!!」「では、ピレンク選手とレフ選手の試合を始めます!」「ピレンク様、頑張ってくださいー!」「あなた、誰ですか?」「ああ、ユナさん。はじめまして、タイナって言います。あの方に護衛をしてもらって命を救われた者です」「その口ぶりだと、私達の関係を知っているみたいですね」「まぁ、有名ですからね。別に貴女からあの方を奪おうなんて思ってませんから!」「そんなに心配してませんよ、、とりあえず、一緒に見ましょう?」「そうですね」ピレンクに関わる二人の女性が観客席で仲良く観戦を始めたとき、試合も始まった。影を展開して自分のフィールドを作るピレンクに対して、弓矢で攻撃するレフ。「影使いはなんでもありですね」飛んできた矢をすべて影で受け止めてしまう。影で攻撃しようとしたピレンクに対し、「ライトプロテクト」身体を発光させて影魔法を防ぐ。「色々対策があるんですね」「伊達に勇者やってたわけじゃないぞ」「では、これはどうですか?」そう言って取り出したのはポセイドンの神槍。「それは!?」「まぁ見ててくださいよ」ピレンクは槍から水を放出してレフに直撃させる。しかも溺れそうなほど大量の水を彼の周辺にだけ放出するという芸当をしながらだ。「凍りつかせましたか、でもこれで終わりです」影を展開して締め上げる。魔力を使ったり、身体が濡れて発光が弱まったところを狙ったのだ。「降参する」「ピレンク選手の勝利です」「水が出てくる槍なんて聞いたことがないぞ」「神様の武器ですから。最近使えるようになったので使いたくて」最後に残ったノレドの対戦相手は「やはり父さんでしたか」「俺も久しぶりに身体を動かしたくてな、参加させてもらった」ドラゴだった。で、試合のほうは経験豊富なドラゴが一方的な試合展開をして勝利した。傭兵として人間形態で妻とともに戦地を渡り歩いた経験と、豊富な魔力をつぎ込んで作った彼の竜素材の武器はノレドの作ったものより性能が高く、まるで勝負にならなかったのだ。「強すぎるよ、父さん」「500年生きてるドラゴンが簡単に若いやつに負けたくないんでな」その後、「さすがにあれだと弱く思われない?」とハペルに言われたが、「仕方ないよ、あれでも健闘したほうだし。まともな勝負になっただけ成長してるさ」ノレドが人間形態で本格的に攻めを覚えたのがつい最近なので戦えるだけでも大きな進歩だ。敵に攻撃するときはドラゴンに変身したほうが手っ取り早いからだ。少しさかのぼって、「以上で試合全部終了しました。参戦された皆様、熱い試合をありがとうございました。観戦に来てくれたお客様に感謝を表してこのイベントを終わろうと思います。ありがとうございました」実況のキョジーさんがその場を締めてこのイベントは終わった。「みんな、お疲れ様だ。この後のことを話すから、控え室に来てくれ」「わかりました」マタカからの連絡が来たので会場の控え室に集まる9人。「この後の旅だが、天使族の族長から聞いただろうがこの中央大陸の南を目指す。基本的にはラーの神殿から西に向かって進んでもらうことになるだろう」「なぜミガク王国側から南に進んで向かわないんですか?」「それはだな」とここでマタカの持つ魔道具に報告が。「なんだと?すぐ行くから待っててくれ」「緊急だ。急ぎミガク王国に向かってくれ。今話していた雷の森の南側でサンドホッパーが大量発生して王国に向かって飛行中で、さらに山を越えた先にある砂漠でも魔物が大量に発生しているということだ。とりあえず現地で追って指示は出すから急いで向かって欲しい」「「はい」」次回に続く。
恒例の装備、魔物の状態確認
トーイ 所持している魔物 重装騎士、サンドアリゲーター、サンドジャイアントせ
装備 縮小の腕輪、雷の衣、ミストリング、ラーの鏡の盾、魔神の剣、斬剣改、シルバーアントライフル
ユナ 所持している魔物 ウッドガーディアン、サンドアリゲーター 影クイーン 装備シャドウリング、アルラウネのネックレスで武器はトーイと共用
シエム 所持している魔物 ダークグリフォン アルラウネ
装備 アルラウネのネックレス、アイスブローチ、ミストリング、サーペントの軽鎧、聖剣ドワース、大蟹の杖
ピレンク 所持している魔物 ブラックヴァンパイア、シャドウサーペント、オクトニンジャ 影キング、シャドウドラゴン装備影の衣、ポセイドンの神槍、シャドウリング、シルバーランス
ハペル 所持している魔物 オクトラミア、スフィンクス、エキドナの分体 装備は身体と一体化しているのでネックレスのみ。シャミと黄金、白銀、魔王の息子の能力を自分の力として扱える。
ノレド ボックスがないので当然魔物はなし。装備は新しくなったドラゴンスピアとドラゴンシールド。世界樹の魔力を体内に取り込んでいるので装備にも付与できる。
6人共通のアイテム ラーの分体 進むべき正しい方角を示す
エキドナのブレスレット エキドナと常に連絡が取れる。向こうから音声を確認することもできる ガイアの水晶 自然の魔力が詰まった水晶。自然界にあるものの本来の姿を取り戻し、ないものは無くすことができる。セーブストーン及びワープストーン
セーブストーンは一度限りその場所にいたことを記憶し、その地点にワープできるようにするアイテム。ワープストーンは各地の石碑に名前を記録して好きな時にワープできるアイテム。石碑がないとその地点に飛べないものの、セーブストーンと違って何回でも転移可能なので一度行った場所に行くのはこちらが便利。
ポーサは修行の旅を経て旅の仲間として独立してメンバー入り。
新たな仲間 人魚のメイリと天使のナージェ メイリは槍と鱗を武器とし、ナージェは弓矢、剣、盾を持つ。メイリは水中ダンジョンにおいてのサポート役だったがネプチューンの神殿を契機に正式に仲間入り。ナージェは魔法消滅魔法と光魔法の使い手。
新たな仲間の活躍にこうご期待。
今回は前書きで書いた通り、溜めとなる章です。あそこまで強いボスがたくさん出てきたのに溜め?と疑問に思うかもしれませんが、この後の本編では今回出てきた敵とは比べ物にならないレベルの敵が登場するので、これを倒せるようにしないと物語としてまずいのです。次回はこの章での本格的な悪役の登場となります。