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幕間 この世界では

元々、彼は称賛からほど遠い存在だった。

唯一得意な魔法は、冒険者の中では平均レベル。

不器用で周囲に気を配るということができず。

体力も少なく、パーティでは疲れるのが一番早かった。

彼の役目はいつも『後方支援』か『荷物持ち』。役に立てるのはそれくらい。

何か自分にも、他人に負けない特技が欲しい。それが彼の願いだった。


ある日、彼はヤドカリ型機動要塞にやって来た。もちろん一攫千金のお宝狙い。

意気揚揚と進むパーティメンバーの最後尾を彼は歩いていた。


───「足手まといは後ろに下がってろ」


それがパーティの頭目(リーダー)が彼に言った言葉だった。

が、彼にそう言った頭目(リーダー)は早々にヘマをした。地中に仕込まれていた転送装置に気づかずに、踏み抜いたのだ。

そしてここ、ヤドカリ型機動要塞の内部にある『既読字数反映世界』へと強制転移させられた。

だが彼にとってここに閉じ込められたことは渡りに船だった。

強くなる方法は字を読むこと。元から本を読むのが好きだった彼は最初からレベルも高く、周囲から頼られる存在になった。

外では、いくら努力しても身にならない。でも、この世界では本を読めば強くなれる。強くなれば、周りからさらに称賛される。

だから彼はひたすら読書にふけった。ひたすら読書の毎日。

彼は本を読めば知識と力が手に入る世界で、仲間を見返し、称賛され、



気づけば彼は『最強』になっていた。



誰にも負けない、最強。

だがそれもつい昨日までの話。いまは目の前にいる、あの中途半端な長さの耳のエルフが『最強』だ。


──なぜ。


この世界の『最強』は、自分のはずだ。

称賛され、尊敬され、崇拝され、アイツらを従えるのは自分のはずだ。


──なんでだ。


違う。そんな眼をあんなヤツに向けるな。

それを向けられるべきは自分だ。自分なのだ。


──コイツは『最強』じゃない! ボクだ。ボクが最強だ!


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