17話 崩壊
聞こえてくるガラガラと何かが崩れる音。
それに合わせて地響きがする。ビリビリと床が揺れた。
「うぉっ、なんだ!?」
ロルビスは廊下の窓から身を乗り出して外を見る。
「塔が、崩れてる……」
すると、見えてきたのは倒れていく巨大な塔だった。
オルガスもロルビスと同じように窓から崩れ落ちていく塔を見ていた。
「………何が起きているんだ?」
「ロルビス先生、今は生徒の安全確保が優先です。ここから塔までは離れていますが、万が一がないとも言い切れません」
さすが先輩。真っ先に生徒の心配とは、教師の鏡だ。
「私は生徒の様子を見てきます」
「了解です」
オルガスは廊下を走り出した。普段、生徒が走っているのなら注意するものだが、緊急事態ならいいだろう。
「…………俺は何すればいいんだろう?」
こういう時、なにをすればいいんだろうか。生徒の安全確認、はオルガス達が済ませてしまうだろう。どこかのクラスの担任ならその教室に向かうだろうが、ロルビスには担任のクラスはない。
「この後の授業はないし……… 塔の様子見に行っちゃうか」
ロルビスは野次馬根性を爆発させた。
□ □ □ □ □
まずロルビスが見たのは、道を塞ぐ大量の瓦礫だった。
道の端から端まで瓦礫が積もり、巨大な壁と化している。
その瓦礫を撤去するために、平民、冒険者、街の自警団らが一丸となって作業に取り掛かっている。あと3日もあれはこの道も元通りになるだろう。
ガリュートル王国に塔は3つあり、それぞれが三角形の頂点の位置にある。今回はそのうちの1つが崩れたそうだ。
「おいアンタ」
「おわっ、な、なんですか?」
いきなり後ろから話しかけられたのでつい驚いてしまった。
後ろを見れば木材を担いだオジさんがいた。
「な、なんでしょう?」
「アナタも手伝ってくれ。手が足りねぇんだ」
「はっ、はい。わかりました」
言われてロルビスも撤去作業に加わった。身体強化を使って道を塞ぐ大きな瓦礫を持ち上げる。
それを見ていた周囲の人達が「おおっ」と声を上げた。
「すげぇな、アンタ」
「ええ、まぁこれくらいなら」
褒められてちょっと嬉しくなるロルビス。人の役に立つというのは嬉しいものだ。
ロルビスは上機嫌で瓦礫を運び出そうとした、その時「「「うぉーーーーー!!!」」」という歓声が聞こえてきた。同時に、ズン、ズン、という足音のようなものも聞こえてくる。
向こうで人だかりができている。その人だかりの向こうでは、瓦礫が歩いていた。
「な、何だあれ………ってユーミラさん?」
あれは瓦礫が歩いていた──のではなく、ユーミラが三メートルはあるであろう巨大な瓦礫を運んでいた。
さすがとしか言いようがない。
「ユーミラさん。そんなところで何してるんですか」
「おお、ロル殿」
ロルビスが話しかけるとユーミラは嬉しそうに振り返る。
「塔が崩れたせいで道が塞がったから撤去作業を手伝って欲しいと依頼が来ていてな。他に良い依頼もなかったし、受けたというわけだ」
「ユーミラさんにうってつけそうな依頼ですね」
「それは……褒め言葉か?」
「も、もちろんそうです、よ…………?」
「なぜ疑問形なのだ?」
ハハハハー、と乾いた笑みを浮かべながら半ば逃げるようにその場を離れた。
背中に視線を感じる。たぶん、ユーミラがジト目を向けているのだろう。振り向かないようにしよう。
「あれ? エリー先生?」
「え。あ、あれ? ロルビス先生?」
今日はよく人に会う。
エリーは魔法で土のゴーレムを作って瓦礫を運ばせていた。
「エリー先生、学校はいいんですか?」
「あ、えっと、その、実は塔が崩落した時に偶然近くにいたんですよ」
「えっ!? 大丈夫なんですか? ケガとかは……」
「平気ですよ、魔法で防ぎましたから。幸いにして他に死傷者もいませんでしたし」
「そうですか…… 良かった」
これほど巨大な塔が倒れて死傷者なしとは、なんて幸運だろうか。
「ところで、どうして塔が倒れたんですか?」
「誰かが倒したそうです。塔が倒れる少し前に人影が入って行くのを見た人がいたそうですよ」
「そうなんですか…………」
だとすると、一体誰が?
塔を倒してメリットのある人物などいるのだろうか。王国に不満を持った国民がテロを起こした? あるいは───
「──魔族、とか」
いや、それはないか。ロルビスは自分の考えを否定した。
「それにしても、凄まじいですね……」
エリーは崩れた塔の瓦礫を見ながら言った。
「凄まじい? 何がですか?」
「この塔は『魔抗石』といって魔力を通しにくい石で出来ているんです。なので魔法が効きづらくなっています。それにとても高いも持っているんです」
「なるほど、つまりこの塔を倒した人物は相当な魔法適性の持ち主だと」
だがそれほど魔法適性を持っている人物となるとかなり限られてくる。
それこそ王宮に仕えるような魔法使い、凄腕の冒険者、そしてロルビスの隣にいるエリーくらいだ。
「おーい、手が足りねぇ! こっちも手伝ってくれ!」
「あ、はい! 今生きます!」
呼ばれた方向を見れば五メートルはありそうな大きな瓦礫を数人がかりで運ぼうとしてる男達がいた。あれを運ぶのは少々難しいだろう。
ロルビスはエリーに向き直った。
「すみません、向こうを手伝ってきます」
「はい、私はあっちを」
ひとまず、この撤去作業を終わらせよう。考えるのはその後でいいか。
ロルビスは瓦礫の山を囲んでいる男達のもとに走った。
思ったんですが、自分は文の繋ぎ方がイマイチのようです。変なところがあったらご指摘・アドバイス等お願いします。




