10話 魔剣
彼はただの農夫だった。
村での農作業は辛かったが、ちゃんと農業にやり甲斐も感じていたし、近所の親切な人達と協力して様々な困難に立ち向かい、乗り越えてきた。
甲斐甲斐しく支えてくれる良き妻も持ち、幸せな日々を過ごしていた。
しかし、その幸せは一日、いや一時間もしないうちに奪われた。
盗賊が村にやって来たのだ。
村はあっという間に占拠された。
農作業をしていた彼は気づくのが遅れてしまった。
彼は盗賊団に捕まり、死を覚悟した。
必死に命乞いをする彼を、盗賊らはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて見ていた。
妻が無事に逃げられたのか。それだけが気がかりだった。
彼は妻がどうなったのか訊いた。
そんな奴がいたのか、という答えが返ってくれば無事に逃げられたということだ。
それ以外の答えなら……想像したくもない。
その質問を聞くと、盗賊達は彼を引きずって村の中心にある広場まで連れて行った。
そこには、彼の妻がいた。
妻は彼を見ると「無事で良かった」とつぶやいた。
命乞いをするのでもなく、助けを呼ぼうと叫びもしない。
彼女はただ彼の無事に安堵した。
彼女は最後まで彼の『良き妻』でいようとしたのだ。
それがすごく嬉しくて、彼女を救えないのがすごく悔しくて、それでも彼は何もできなかった。
酒を飲み交わした友人を殺された。彼の育てた作物は踏み荒らされた。目の前で妻が犯された。抵抗した男が生きたまま焼かれた。逃げようとした村娘が盗賊に媚を売った友人に裏切られた。結局、妻も殺された。
その光景を、彼は見ている事しかできなかった。
なぜ抵抗しなかった。
なぜ盗賊を殺さなかった。
なぜ、妻が、友人が、殺される光景をただ見ていた?
なぜ、なんで、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なんで、どうして、なんで、どうして、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで───
──なんで自分は、動けなかった?
虚無感が、彼を包み込んだ。
仇討ち。復讐。そんな事は考えもしなかった。
そして彼は盗賊団に入るよう言われた。
強制だった。でも抵抗もしなかった。
彼は盗賊団のメンバーになった。
今ではあの日の記憶すら色褪せている。
ただ、ボーッと、義務のように盗賊として従い続けた。
「おい、ぼーっとしてんじゃねぇ」
彼の意識が現実に引き戻される。
「す、すいません……」
オドオドと謝ると注意した男は「フン」と鼻を鳴らすと彼から視線をはずした。
たぶん、自分より年下だが盗賊としては先輩。
ちゃんと従わないと殴られる。
彼は気を引き締めて腰に帯びている剣柄の感触を確かめる。
剣の扱い方など知らないが、ないよりはマシだ、と押し付けられた。
彼は見張り番として廃城の正門に配置されていた。つまりは門番だ。
二十人とかなり大掛かりな人数。彼はそのうちの一人に過ぎない。
周辺の村から強引に盗賊団に引き入れているのだ。自分なんて替えのきく駒でしかない。
「……ん?」
その時、森の中で何かが光った気がした。一瞬だが、たしかに見た。
………あれは光る、円環?
気づいた瞬間、カッと一瞬の閃光がほとばしった。
「…………え?」
バタン、と一番先頭にいた男がうつ伏せに倒れた。
一瞬の事に、何があったのかわからない。
「て、敵しゅ──ぐぅあ!」
今度は右。先程彼に注意した男だ。
男は地面に仰向けに倒れ込むとガクガクと体を痙攣させた。
体に目立った外傷はない。一体何が起きている?
森の中に何かがいる。彼にはそれしかわからない。
彼は腰から剣を抜くと正面に構えた。
ろくに腰が入ってない不格好な構えだ。
元農夫の自分に出来るのはせいぜい肉の盾くらいか。そう思った彼は二、三歩前に出る。
再び発光。すぐ左後ろにいた男が倒れた。
彼は気づいた。あの発光が起きた瞬間、一条の閃光が盗賊を貫いたのだ。
だが、わかったところで対処出来るはずもない。
発光。弩を構えた男が倒れる。
発光。森に無謀な特攻をした男が倒れる。
発光。敵襲の報告に行こうとした男が倒れる。
そして次の刹那、電撃が彼を貫いた。
体が痺れて動けない。その間にも次々と電撃が放たれ、盗賊達は無力化されていった。
彼は目だけを動かして周りを見た。
門番をしていた盗賊は全員、自分も含めて例外なく無力化されている。
──これから死ぬのか?
不思議と恐怖はなかった。彼にあるのは虚無感だけだ。
彼はせめて、自分を殺す者の顔くらいは見ようと森に視線を移した。
ガサガサと茂みをかき分けて電撃を放った張本人が現れた。
目を隠すくらいボサボサに伸びた黒髪。夜闇のような黒目。長く日に当たってないと思われる白い肌。整った顔立ち。他者より頭一つ分くらい高い身長。
そして、少しだけ尖った中途半端な形の耳。
「…………ハーフ、エル…フ……?」
しかし、耳がハーフエルフよりも短い。一体何者だ?
格好だけはどこにでもいる村人のような平凡な服装。
なのに何故か目を引かれる。
ハーフエルフが彼に向かって歩き出した。
殺される。彼はそう思った。
だがそれでも構わない。もう、自分がこの世界に生きてる意味も理由もわからないのだから。
──皆、今そっちに行くよ。
彼は目を閉じてその時を待った。
苦しみたくはないが、敗者の自分にそんな要求をする権利などない。
だから待った。自分の最期を。
だがそんな彼の考えとは裏腹に、ハーフエルフは彼の横を通りすぎた。
ハーフエルフはそのまま門の奥に消えた。
目的も、素性もわからない。
それなのに、彼はあのハーフエルフが来たことに安心していた。
──なんで安心しているんだ?
そのこともわからない。わからないことが多すぎる。
ただ、なんとなく、あのハーフエルフがボスを倒してくれるのではないか、そう思った。
□ □ □ □ □
ロルビスは門をくぐって中に入ると、まずは地下牢を目指した。
おそらくだが、そこにヘルヴィアの仲間が囚われている可能性が高い。
救出の後、協力して盗賊団の団長を討つという作戦だ。
だが、囚われているなら怪我などで動けないのでは? と訊くと、
「あの人なら平気です」などとあっけからんとして答えた。
ロルビスは半信半疑だったが、まあ救出はすべきだろう、という結論に至った。
動けるなら良し、動けないのなら隠れてもらう。それだけだ。
石造りの廊下を慎重に進む。
中には驚くほど見張りがいなかった。
侵入できるはずないと高を括っているのか。それとも侵入されても対処する自信があるのか。
ロルビスは少し考えて後者ではないと思った。
廃城の周りを定期的に見回りをさせ、門の前に大人数の見張りをさせてるのだ。
それなのに城内に見張りをさせないわけがない。ちょうど交代の時間だったのかもしれない。
廊下の角で止まり、顔を覗かせる。
地下に続く階段が見えた。その奥に木製の扉がある。
やはり見張りはいない。ロルビスは訝しみながらも階段を下り、扉に近づいた。
そしてゆっくりと扉を開ける。
ドカァァァン!
「うお!?」
が、何かが扉にぶつかってロルビスは廊下に押し戻された。
「な、なんだっ!?」
再び扉に近づき、恐る恐る開けようとする。しかし、何かが扉を押さえていて開かなかった。
それを軽く身体強化も使って強引に押し開ける。
「………え?」
扉を押さえつけていたのは人だった。
頭を打って気絶したらしい。ピクリとも動かない。
中には盗賊達がいた。数は二十人から三十人ほど。しかも、全員気絶している。
見張りがいなかった理由はこれか。
だがなぜ死屍累々といった有り様なのか。
「…………もしかして、出遅れた?」
「また新手か」
「はい?」
そこで凛とした声。
顔を上げると、鎧に身を包んだ女性が立っていた。
腰まで伸びた髪は綺麗なプラチナブロンド。
青海原のような透き通る碧眼。
身長も高い。ロルビスもそれなりに高身長だがそれよりも更に高かった。
しかし体はほっそりとしている。
絵から飛び出てきた人形の如き美しさ。
街を歩けば誰もが振り返るような見目麗しい美女がそこに立っていた。
両手には美しい彼女とは不釣り合いな手錠がかけられている。
背後に彼女と同じように手錠をされている少女達。
間違いない、彼女がユーミラ・ケルナンド。ヘルヴィアの冒険者仲間だ。
「ユーミラさんですね? 俺は──」
ロルビスの台詞は途中で遮られた。
鋭い蹴りが、ロルビスの顔面目掛けて飛んできたからだ。
右腕を身体強化、咄嗟にガードする。
「ぐっ……!」
まるで巨大な何かに突進されたような衝撃が走った。
「これを防ぐか。今までの奴とは違うな」
「いや、ちょっと待ってください! 俺は盗賊団じゃないんです!」
ロルビスは後方に下がり、距離をとって必死になって説得しようとする。
「聞く耳を持たん!」
「話を聞いてくださいよぉー!」
ロルビスの声はちょっと情けない感じになっていた。
ユーミラは両手を床につけて逆立ちになる。その状態で足を広げて回転。
手錠をつけられた手にも関わらず、器用に独楽のように回る。
遠心力も利用した蹴りは強力な攻撃となる。
ロルビスは顔前に迫る蹴りを屈むことで回避した。
そして、ユーミラの身体を支えている腕を掴んでちょいと引っ張れば、
「わきゃあっ!?」
ユーミラは可愛らしい声を上げてすっ転んだ。
床に転がっているうちに馬乗りになって組み伏せる。
「くっ、辱めるくらいでお前達に屈すると思うなよ!」
「いやいやだから、話を聞いてくださいよ! 俺はヘルヴィアさんに頼まれてあなたを助けに来たんですよ!」
「なに?」
ユーミラの動きがピタリと止まり、碧眼がロルビスをジッと見つめる。
「私の名前は? フルネームだ」
「ユーミラ・ケルナンド」
「年齢」
「えーっとそれはわかりません」
「…………………」
「ほ、他の質問! 他の質問してください!」
「経歴」
「冒険者稼業を始めて八年のベテラン冒険者」
「冒険者等級」
「三級」
「私のスリーサイズ」
「知ってるわけないでしょう!」
ゴホン、と立ち上がって咳払いを一つ。ユーミラに手を差し伸べる。
「と、とにかく、これで信じてくれていいでしょう?」
「うむ、いいだろう」
ロルビスの手を取ってユーミラも立ち上げる。
「では改めて。ユーミラ・ケルナンド、冒険者だ」
「ロルビス・クロスです」
「ふむ、ロルビス・クロス……言いづらいな…」
言いづらいか?
「ロル殿でいいか?」
「ええ、構いませんよ。家族からもそう呼ばれてますし」
ひとまず、信用してくれたので良しとする。
「どこかに手錠の鍵はないか?」
「鍵ですか? えーと、あ、あった」
ロルビスは床で気絶していた男の胸ポケットから鍵がはみ出ているのに気づいた。
胸ポケットから鍵を取り出して手錠の鍵穴に差し込んで回す。
カチャリ、という音がして手錠が手から落ちた。
ユーミラは手の具合を確かめるように手首を回したり拳を開いたり閉じたりした。
一通り確かめ終わるとロルビスの方に向き直った。
「それで、これからどうする? 私としてはあの男に一発ブチかましてやりたいのだが」
「その男って、団長のことですか?」
「いや、その右腕、副団長だ。悔しいが副団長に手も足も出なかった」
あれだけの体術を使えるユーミラが手も足も出ないとは。副団長もかなり強いようだ。
「だがそれは他の冒険者がいたからだ! 私はそいつらを庇いながら戦っていたから負けたのだ! 決して私が弱かったからではない!」
「えぇぇぇ………」
まさかの負け惜しみ。
「ま、負け惜しみではないぞ? ほ、本当だぞ? 他の奴らが数ばっかで実力がない無能しかいなかったのだ!」
涙目で訴えてくるユーミラ。ロルビスはなんとかなだめようと努力する。
「わかりました、わかりましたから。それ以上言わないで下さい。他の冒険者が可哀想です」
プクッ、とユーミラが随分と子供っぽく頬を膨らませた。
ちょっと可愛いと思ってしまうのは不謹慎だろうか。
「…………武器取り行く……」
言動まで子供っぽくなっていた。
ロルビスとユーミラは牢屋に囚われていた娘達の拘束を解いてから地下牢を出た。二人では守りきれないため、ここで大人しくしているように言っておいた。
ロルビスは廊下を歩くユーミラに問いかける。
「ユーミラさんは副団長を倒すってことでいいですか?」
コクリ、と小さく首を立てに振るユーミラ。
まだ拗ねているようだからできるだけ優しく話しかける。
「じゃあ団長は俺が倒します。ヘルヴィアさん達は団長が倒されて混乱したところを襲撃する作戦になっています」
「ヘルヴィア達の人数は?」
「散らばった他の冒険者とも合流するそうなので、おそらく十人程度かと。もしかしたらもっと少ないかもしれません」
「十分だ。それだけいれば奴らを壊滅させられる」
ユーミラがきっぱりと断言する。
「あれ? でも、さっきは他の冒険者は数ばっかりの烏合の衆とか言ってませんでした?」
「う、烏合の衆とは言ってない! 数しか能が無いと言っただけだ!」
「いや変わりませんよ」
またユーミラが拗ねてしまった。
風船のようにぷくーっ、と頬を膨らます。ちょっと触っただけで破裂しそうだが、大丈夫だろうか。
そんなふうに軽口を叩きつつも二人は警戒を怠っていない。
ロルビスは森で、ユーミラは冒険者の経験から身につけた警戒力だ。
「ここだ」
しばらく進むとユーミラが足を止めた。
「武器庫ですか?」
「無論、そうだ。やはり武器があったほうが良い」
一見するとただの普通の部屋に見えるが、錠前がかなり大きくてしっかりしている。
何か奪われたくない物をしまうのにちょうどいいだろう。
「よく場所を憶えてましたね」
「いや、憶えてない。勘だ」
「えぇぇ……」
「勘は大事だぞ? いざという時役に立つ。む、鍵がかかってるな…………壊すか」
そう言うとユーミラは腰を落として拳を引いた。
見るからに殴ってブチ破るつもりだ。
なんとなく気づいてはいたがユーミラはかなり大雑把な性格をしている。
ここは慎重に行くべきと思い、ロルビスはユーミラに注意する。
「中に盗賊がいるかもしれません。慎重に──」
ロルビスが言い終わる前にユーミラは扉を殴りつけた。
高速の拳が扉に迫り、
拳は『メキャッ!』という音を立てて扉を貫通した。
「む? 吹き飛ばすつもりだったのだが…」
思ったより脆かったようだ。
だがそれはさほど問題ではないらしく、「ま、いいか」とつぶやくと扉を強引にひっぺがした。
「な、なんだテメェらは!」
そら見たことか。室内には盗賊がいるではないか。一人しかいないけど。
ロルビスは魔法陣を描くための魔力を集める。
盗賊の男も腰から剣を抜く──前にユーミラが男の腹に拳を叩き込んだ。
「ぐふぉあっ!?」
男はものすごい勢いで壁に突っ込むと動かなくなった。
「うわぁ……壁にめり込んでますよ」
「まあ、問題ないだろう」
「こんな大胆さでによく今まで冒険者やってこられましたね」
「ヘルヴィアのおかげだ」
ヘルヴィアさんがいなかった時のハンデが大きすぎますよ、とツッコむ。
が、ユーミラはロルビスの話しを聞かず室内に山積みにされた木箱の中を探している。
やがて一個一個確認するのが面倒くさかったのか叩き割り始めた。
叩き壊されて散らばる破片。中には納められていた鎧などの防具も一緒に散らばった。
「おお、あったあった」
お目当てのモノを見つけたらしくユーミラが嬉しそうな声で言う。
「………って、それはなんですか」
「愛用の大剣だ」
ユーミラは大剣を持ち上げた。片手で。
「いやいやいや、大剣なのになんでそんな軽々と持ってるんですか!?」
普通は両手で持つような大剣をユーミラは軽々と持ち上げている。
「ユーミラさん、バケモンっすね」
「失礼な、これでもか弱い乙女だぞ」
グイッとユーミラが手に持った大剣を差し出してくる。
「持ってみろ。見た目より随分軽いぞ?」
「え、そうなんですか?」
試しに大剣を持ってみる。
次の刹那。ロルビスの手は床に急接近した。
手と腕は繋がっている。腕は胴体と繋がっている。
手が下がれば腕も下がり。腕が下がれば胴体も下がる。
ロルビスはうつ伏せに倒れそうになった。言わずもがな、大剣の重さゆえである。
身体強化をしなかったら倒れていたところだ。
「な? 軽いだろ?」
「………………」
やはり目の前の女性は全くもって乙女らしくない。
「何か失礼な事を考えてないか?」
「いえいえいえそんなことありませんよ。ところでユーミラさん、身体強化使ってます?」
「使っているぞ?」
「ちなみに、どれくらい?」
どれくらい、とは強化の度合いである。
ロルビスの場合は六割くらいの身体強化で安定して持つことができた。
普段から使い慣れているユーミラなら四割か五割くらいだろう、とロルビスは予想した。
「ニ割くらいだな」
「……………」
ロルビスは諦めた。上には上がいるのだ。
黙って大剣をユーミラに返す。
「あとは盾だな」
「盾も使うんですか?」
一体どんな戦い方をしてるんだ、この人。
「どんな盾ですか?」
「円盾だ」
「わかりました」
ロルビスは武器庫内を探し始める。
「何かわかりやすい特徴とかありませんか?」
「そうだな………白銀色で、取っ手がついてない」
「変わった盾ですね………ん?」
木箱の山を回り込むと壁一面に剣が飾ってあった。
その奥に一本の剣が、ひっそりと置いてあった。
気になったロルビスはその剣を手に取る。
その剣は、見た目は普通の剣とはあまり変わらない。だが、他の剣とはまるで違うことが触れた瞬間にわかった。
剣には術式が刻まれていた。
「これは……」
これは、魔剣だ。魔剣はロルビスの体の一部のようによく馴染んだ。
まるでロルビスが所有者かのように。
その魔剣の鍔には一言、『アヴウェノシア』と刻まれていた。
「いやアヴウェノシアって、ダサくない?」
それよりもロルビスはそっちの方が気になってしまった。
ロルビスは術式を読み解く。そして、関心した。よくできている、と。
「ロル殿?」
木箱の陰からユーミラが顔を覗かせた。
「それは?」
「魔剣です。ここに置いてありました」
ユーミラはアヴウェノシアをまじまじと眺める。
「ロル殿、剣は使えるのか?」
「いえまったく」
森にこもる前も、森にこもっていた時も魔法関連の研究ばっかで剣術などはまったく扱えない。
そもそもまともな剣すら握ったことがないのだ。
「では売るか?」
「いえ、これは貰っておきます」
「剣は使えないのではなかったのか?」
「この魔剣は剣術が使えなくても使えるからですよ。それに、結構気に入りました」
ユーミラはよくわからない、と言いたそうな顔をしていた。
「まあ、ロル殿が気に入ったならいいか」
「はい、すごく気に入りました」
ロルビスは魔剣を腰のベルトに帯剣する。
(よろしくな、アヴウェノシア)。
その日、ロルビスに相棒ができた。その名は魔剣アヴウェノシア。
アヴウェノシアってダサくないですか?
まぁ、こんな感じの微妙なネーミングセンスの物がこれからも出てくると思いますが、温かい目で見てください。
もし良かったら評価お願いします




