表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/75

第4話.メルシオール世界管理(株)

誤字、脱字にはご容赦下さい

●4.メルシオール世界管理(株) 


「それでは現世界に帰りましょう。」


納屋と庭を一とおり散策した後、

吉村さんと一旦現世界のオフィスに帰社した。


オフィスには江楠社長がいた。


「ただいま戻りました。」


江楠社長は面接を行った先週の末から先程まで、大阪と京都で出張に行っていたらしい。

ちょうど今は出張からの帰社時で自分で入れたお茶を飲みながらお土産に買った赤福をうまそうにつまんでいた。


「おお!おかえり。吉村さん研修どうだった?」


「あああ!社長、赤福食べて酷い!お土産楽しみにしてたのにぃー!」


吉村さんは叫んだ。


「ああー。大丈夫だよ吉村さん。吉村さんの分のお土産の赤福は別にもう一箱あるから良かったらこれもつまんで。」


「・・・っそ、そうだったんですね。良かったー。それと鈴木さんの研修は無事終わりましたよ。社長も出張お疲れ様でした。経費精算と領収書は早めに出して下さいね。」


江楠社長は熱いお茶をすすりながら


「大阪、京都はいいねー。日本の中でも素晴らしい文化だよー!食べ物うまいし、建物だって実に趣がある。次はこういう異世界作ってみようかなー。やっぱ日本最強。次は和風もアリだと思う。吉村さんは西洋推しだけど、今度は絶対 和 だな。鈴木くんも赤福どう?」


なんか、社長はとんでもない事を会話にぶっ込んでいる・・・・・


俺は一番聞きたかった事を聞いてみる事にした。


「有難うございます。研修に行ってみてびっくりしました。本当にびっくりしっぱなしなんですが、社長のお仕事は異世界を作るって事なんですか?」


俺はついて行けそうにない話題に困惑しつつも必死について行こうと頑張る。


でもズバリ聞いた。気になっていた仕方がなかった事を

でも知ってしまうと命に危険があるのかもしれない。

でもさりげなく聞くなら入社した何も知らないこのタイミングしか無いと思った。

この質問は最近で自分を一番を褒めてやれる内容な気がする。


「ええとねー鈴木君。我々が異世界を作るのは神の試験ってか仕事みたいな物なんだよ。世界を持ってることが神の前提。そして持ってる世界の数で神の中で偉さというか出世が決まる。10個も持ってれば最高神になれるって感じ。だから儂みたいな神たちは一生懸命に世界を作っているんだよ。定期的に学会なんかで他の神たちに論文なんかも発表したりもする。評価は特に文化や質が重要視されるね。あと人口とか。でも作った世界の維持がとっても難しいから中々世界が増やせないんだよ。下手やると1万年もせずに人類なんてすぐ滅ぶし。だから君を雇ったんだよ。非常にやり甲斐がある仕事だと思いますよ。」


これまた衝撃的な内容だった。

色々な神が多数存在し、各自色々と好きなように世界を作っているという。

作った異世界は神たちが住む世界の文化の向上に役立てる為、発展のモデルケースという形でそもそも仕事として世界を作っているんだそうだ。

ちなみに江楠社長は神の中では中位にあたり、しかも5つ世界を持っていて、地球と俺が行く世界以外の他の3つの世界は3人それぞれのスタッフに現在見てもらっているという。


前にも言っていたが江楠社長はここと異世界で神様と呼ばれる存在らしい。


しかし世界の住人にとって、江楠社長本人に拝んでも実際にご利益がある訳ではなく、災害対策や大規模な環境破壊、人口問題といった大規模な厄災とかでないと世界へは干渉しないとの事。というより干渉するとその規模が大きくなりすぎるので個人の願望程度は叶えられないとの事。個人の願望に対応するのは規模がとにかく小さすぎて大変との事。

まぁとにかく基本は無理との事だ。


でもどうしようもない場合は強引に世界を修正し、対応も出来るみたい。でもそういった行動は世界創造のミスオペレーションとして神々の世界創造学会で必ず公表しなければならないとの事。社長は極力やりたくないそうだ。


しかも内容にもよるが個人の願望を無理矢理叶えるには莫大な経費がかかるらしく、会社としては担当者に反省文、ひどい場合は始末書モノらしい。


そして俺のやる仕事は担当の異世界に週5日住んで、厄災や世界の危機があれば都度報告する事だそうだ。そしてその異世界に退職するまで住んで欲しいとの事だった。


会社の定年は60歳までで、それまでその担当の異世界で後は好きに生きて(仕事して)いいとの事だった。

とりあえず退社、または定年になったら現代世界に戻ってもいいし希望があればそのまま異世界に住んでもいいとの事。


しかも世界史に出てくる歴史を変えた有名人の数名はかつてはここの社員だった事にも驚きだった。織田信長は社内の人事で他の異世界へ転属になった為、1582年に本能寺を燃やして明智光秀をごまかして別の世界へ移動した元社員だった。そのあと彼は別の異世界に行き、そこで定年後もそこで生活したうえ天寿を全うしたという。

しかも彼の人事移動後の別世界の生活が最近、とある異世界転生モノのラノベ作品のモデルにもなったとの事。

それに名前は出ていないが歴史上の有名人に影響を与えた社員は沢山いたとの事。


ちなみに今の地球の担当者は江楠社長が直接観ているので不在でいいとの事。


うおう!新しい文化や歴史的事件、ルネッサンスや産業革命。

しかも本能寺で信長の死体が見つからなかった謎が解けてしまった。


ここの元社員だったのか・・・・・・!


信長は信秀の実子ではなく養子。実子が父、信秀の命をねらう愚息だったので養子を迎えたとの事。うつけ者だったという少年時代の信長のエピソードは「信秀の実子だったが少年時代に城内にいなかった」という織田家の作った隠蔽いんぺい工作だったらしい。

当の信長本人はうつけ者ではなく、戦国時代を終わらせようと頑張った非常に真面目な方だったそうな・・・。


しかも、最近の漫画やラノベでみる異世界転生モノの氾濫は実際に神のやっているこれら仕事の影響が原因の一つだという。

俺が採用になるまでの短期間の事なのだが、最近でも異世界モノの作家の中には派遣でうちの会社で実際に働いてもらった人もいたそうだ。その中に聞いた事もあった作家の名前もあり、かなり衝撃的な内容だった。ちなみに吉村さんはパートの仕事をしながら社員達の仕事(生活)をバックアップし、社員が得た知識や経験を使って流行りの異世界転生小説を書いて一発当てるつもりでいるそうだ。


儲けたお金でマンションのローン返済と安月給の旦那と小学生の子供二人と一緒に旅行に行きたいと言っていた。



おおぅ!

こんなところで神様に会えるとは思わなかった。

リストラされてどうなるかと思ったが、こりゃとんでもない仕事になりそうだな。


捨てる会社あれば拾う神あり。

ああ。神は見捨てなかった・・・・・つか、雇ってくれた。


てか吉村さんもすげえ。

こういうお仕事ってパート勤務でいいのか?


喉まで出かかった疑問を必死にこらえて俺は赤福を飲み込んだ。





・・・ってゆうか社長が今さっき食ってた赤福は実は俺の分のお土産用だったのかもなぁ。


読んで頂き誠に有難うごさいます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ