↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/112

◆在りし日の女狐◆

過去回、胸糞展開注意です。

本編とは違うので読み飛ばしても大丈夫です。

 もっと多くの民が欲しい。

 そうすればもっと多くの血を流し、(わらわ)のLvとやらも上がり強くなれる。

 あの男には(わらわ)の術は通じぬし、ちょろそうに見えて色仕掛けにも惑わされる事は無い。



 (わらわ)の欲を満たすにはもっと大きな国を手に入れなければ成らぬ。

 ぷれいやあ成る者達に手を出せば(わらわ)は消されかねぬからな。

 なんとしてもあの男よりも強い力を手に入れなければ……



 強大な力。

 居るでは無いか。

 (わらわ)と同格の刑部狸(ぎょうぶだぬき)

 彼奴(あやつ)を狂わせ、街中で暴れさせれば、同等とまではいかずとも、少しはあの男と打ち合える様には成るじゃろう。



 あの男の力の底の一旦でも垣間見(かいまみ)えれば、それを超える者を(わらわ)が魅了し傀儡(くぐつ)とすれば良いだけの事。

 すぐには現れんじゃろうが、ぷれいやあ成る者達からは、あの男と同様の力を感じた。



 一人で(かな)わずとも、二人、三人ともなれば流石に勝てるじゃろう。

 ぷれいやあ成る者達は簡単に誘惑する事も出来るし(わらわ)の術も効いておった。

 密かに飼っておった者達はいつの間にか消えてしまったが、成長した者であれば消えてしまう前にあの男の首を取れると見ておる。



 「玉藻様(たまもさま)刑部狸(ぎょうぶたぬき)の妻である生生世世(しょうじょうせぜ)を捕らえ、牢に放り込んでおります」

 「よくやった。

  刑部狸(ぎょうぶたぬき)に、返してほしくば(わらわ)の所まで来いと伝えよ」



 さて、刑部狸(ぎょうぶたぬき)には国中で暴れ回って貰うとしよう。

 彼奴(あやつ)の性格からして、抵抗する事は無いはずじゃ。

 それにあの男も、暴れた刑部狸(ぎょうぶたぬき)をただ消すなどと言う事は無い。



 恐らくだが、戦って決着をつけるじゃろう。

 刑部狸(ぎょうぶたぬき)の取れる選択肢はあの男に殺されて妻を開放するか、あの男を倒す他無い。



 あの男を(ほふ)れる程の力があれば(わらわ)の命も危ういが、それは無いじゃろう。

 それが出来るのであれば、とうにやっておるじゃろうしな。



 「玉藻前様(たまもさま)

 「来たか、通すがよい」



 「世世(せぜ)を何処へやった?」

 「そう焦るな。

  あの娘は無事じゃが……」

 


 「分かっている。

  何が望みだ」

 「そうじゃのう。

  まずは(わらわ)に服従して貰う……

  ほう、その様に其方(そなた)(わらわ)の前で頭を下げるとはな。

  面白い」



 あの隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)が、このように従順な(さま)を見られるとは思わなんだ。



 刑部狸(ぎょうぶたぬき)は悪人では()るが、愚直(ぐちょく)な男じゃからのう。

 妻であるあの小娘が(わらわ)の手の内に()る限りは従順な振る舞いをするじゃろうな。



 どれ、一目くらいは合わせてやるか。

 人質の存在は確かめさせておかなければならぬしな。

 じゃが、取り返そうとして暴れられても困る。



 「一目合わせてやるが、少々痛めつけるぞ?

  暴れられては適わんからな」

 「好きにしろ」



 両手両足を縛り上げ、下の者共に痛めつけさせる。

 血反吐(ちへど)を吐くがのた打ち回らずに、大人しいものじゃな……

 十分に痛め付けたので、下の者に運ばせ牢へと連れて来る。



 「……世世(せぜ)

 「強がりよって、言葉を吐けば息が絶えだえでは無いか」



 「隠神様(いぬがみさま)

  世世(せぜ)はどうすればヨイ?」

 「この女狐の喜ぶように振る舞え」



 「フフっ女狐とは(わらわ)の事か?

  言葉を(あらた)め、玉藻御前(たまもごぜん)とでも呼んで貰うとしようかの?」

 「玉藻御前(たまもごぜん)

  そう呼べば満足か?」



 彼奴(こやつ)め、鼻で笑いよるわ。

 面白い。

 ()らしめてやろうぞ。



 「小娘の拷問を初めよ。

  もっと従順に成らなくてはいかぬ」

 「やめろ、なんでも言う事は聞く。

  その娘に手は出さないでくれ」

 

 

 (わらわ)は「嫌じゃ」と言うて、小娘を下の者に甚振(いたぶ)らせる。



 「どうじゃ?

  其方(そなた)の夫が不甲斐(ふがい)ないばかりに其方(そなた)は傷ついておるのだぞ?

  (うら)み言の一つでも言ってやれ」

 「世世(せぜ)は多くのコトバ学んだ。

  お客さんとも仲良く……なた。

  いぱいコトバ、まなんで、沢山伝えたい事できたよ。

  でも、沢山伝えたい、コトバ一つだた。

  隠神様(いぬがみさま)愛してる」



 小娘は精霊を呼び自らに攻撃させようとしたので、即刻その精霊を殺した。

 面倒な。

 いくらでも湧きよる。



 じゃがすぐに精霊を呼ぶ力も無くなるじゃろう。

 この力は消耗が激しい。



 「世世(せぜ)……」

 「口惜しいか?

  刑部狸(ぎょうぶたぬき)



 「(それがし)は何もせんし、この様に手足を(くく)られては何も出来ぬ。

  せめてもの情けに世世(せぜ)の顔を良く見える所まで運んでは貰えんか?」

 「くくっ……

  態々(わざわざ)ボロボロにされた妻の顔を見たいなどとは。

  面白い奴じゃ。

  構わん、運んでいってやれ。

  感謝せよ隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)



 下の者達が刑部狸(刑部狸)を小娘の元まで運び、顔の目の前まで持って行ってやると恐ろしい事が起きた!

 刑部狸(ぎょうぶたぬき)の首が飛び、小娘の首を食いちぎったのじゃ……



 「あっはっは!

  世世(せぜ)よ!

  其方(そなた)(それがし)の妻であった!

  今生(こんじょう)の別れとなろうとも(それがし)其方(そなた)だけを愛すると誓おう!」



 く……狂いおったぞ……

 彼奴(こやつ)の妻である小娘が死んでしもうた。

 誤算じゃ。

 刑部狸(ぎょうぶたぬき)めが此処(ここ)で刺し違えてでも(わらわ)を殺しにくる!



 (わらわ)はこの場から逃げ出し、城に(こも)って守りを固める。

 彼奴(あやつ)は狂っておる。

 殺しに来るにしても一人で動くじゃろう。

 これだけ城の守りを固めれば、恐るるに足りぬ。



 それから彼奴(あやつ)を待ち構えておったが、来ることは無かった。



 変わりに忍者が現れ、あの男の城へと呼ばれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。