表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンドラ・ファイル 2018/10  作者: Winifred Riviere
7/8

1日目 ロンドン時間 15:00〜16:00 ベッドの上で遅めのランチ

ロンドン時間 15:00



スコットとハリエットの二人は、下着だけを身につけ、ベッドの上でピザを食べていた。


「アンドラで行方不明になったわけじゃないのよね」


スコットは頷いた。「聞いた感じだと、ケントはただ、アンドラにいるだけみたいだ。行方不明になった捜査官についての情報を聞かれただけらしい」スコットは、ベジタブルピザを一つ取った。


「最近、ピレネー山脈の麓で行方不明者が続出しているって話がある」ハリエットは、ベッドの上であぐらをかき、ステーキピザのステーキだけを自分の手元に寄せながら言った。


スコットは、ハリエットを見た。「そう言う話はどっから聞くんだ」


「企業秘密ね。女王陛下のおかげとだけ言っておく」ハリエットは、その細長い指で、ステーキをつまみ、その先をかじった。


スコットは、彼女の目を見た。付き合いは先月からだが、人間を見るのは物心ついた頃からだったので、スコットには、ハリエットが何かを考えているのがわかった。「行くの❓」スコットは言った。


ハリエットは、ステーキを噛みながら、考えるように、何処か一点を見ていた。「今考えてる」


スコットは考えた。ハリエットは、天才や秀才、精神異常者など、得意な内面世界を持つ人間や、タダで飲み食いできる場所、美しい景色や芸術品の溢れた場所に惹かれる人だ。美しいピレネー山脈を望めるアンドラ、カルト教団、顔馴染みのケント(タダ食いの可能性)など、この件はハリエットの大好物だらけだろう。


ハリエットは、ステーキを飲み込んだ。「あの国は、フランスの大統領と、スペインの司教が統治してるの……」


スコットは頷きながら考えた。学校はオフラインでも受講できる。この部屋を一時的に貸し出すための手続きをしよう。


ハリエットは、何事かを考えるように宙を見つめながら、独り言を続けた。「先月はフランス政府のために働いてあげたから、フランス政府の助力は望める。新人捜査官の教育っていう名目なら、2、3人は助力を望めるかもしれない。このままフランスとの距離感を縮めていったほうがいいかしら。それか、カトリックと仲良くするのも良いかもしれない。あるいは、その二つと連絡を取り、その二つをつなげる橋渡しにもなれば良い。一石三鳥ね」ハリエットは頷いた。「ここからアンドラ……、ドーバー海峡を泳いで、カレーからピレネーまで走るとなると、1日……」


スコットは笑った。「魔法使いはタフだな」


ハリエットは小さく笑った。


スコットは指をナプキンで拭いた。「俺も行きたいな」


ハリエットは、スコットを見て、一瞬だけ何かを考え、頷いた。「そうね」


「今何を考えた❓」スコットは、少し考えて、答えに行き着いた。「当てるよ。俺のように鈍感な一般人がいれば、君に取って都合の良いコマになる」


「あなただけでなく、あらゆるものがコマになるのよ」ハリエットは、油だらけの指をナプキンで拭った。「それに、わたしのことを少しだけ誤解してるわ。あなたのことをそんなふうには思ってない」


「じゃあ、なんだ❓ おしゃべりディルド❓」


「可愛いおしゃべりディルド」ハリエットは、スコットの顎に右手を添えて、左手でつまんだステーキを彼の唇に挟んだ。「冗談よ。でも、あなたと一緒に行くっていうのは悪くないかもね。わたしはあなたと毎晩楽しめるし、あなたはまた臨場感のある記事を書ける」


スコットは、口をもぐもぐしながら、ハリエットから目を逸らせた。たしかに悪くない……。ハリエットの裸で頭がいっぱいになっていたために、スコットは、視界の端でハリエットが手を拭っていることに関して、深く考えたりせずにスルーしてしまった。

柔らかい手が、自分の体を包み込む感触に、スコットは飛び上がった。

ハリエットは、声を上げて笑いながら、ベッドから出て、パイプに火をつけた。「ご馳走さま。美味しかったわ。夕方には出るから、荷物まとめておいてね」

おそらくですが、物語は3日ほどで終わる予定です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ