8 オプションにヤンデレついてるのか……
ヤンデレの芽が……
「ただいまー」
「おかえりなさい晴太さん」
「あれ?裕介と寧々は?」
いつもなら出迎えに来るはずなのに美澄しか出てこなかったのでそう聞くとめっちゃニコニコしながら美澄は言った。
「今は借りてきたビデオに夢中ですよ」
「借りきた?レンタルか。悪いその金も後で払う」
「いえ、気にしなくて構いませんよ」
「そうもいかないだろ。子供に金を出させるほど追い詰められちゃいないからな」
「そうですか……では、身体で払って貰いましょうか」
………はい?
そんな風に疑問符を浮かべていると美澄は俺を壁ドンしてから黒いオーラを出しながら笑顔で言った。
「今日、清水さんと2人で何をしてたんですか?2人で進路指導室に入ってきましたよね?私に黙って清水さんに手を出てたんですか?言ってくれれば私はいつでも先生に初めてを渡しますし、晴太さんの要望には全て答えますよ。私では物足りませんか?それなら仕方ないので、清水さんには消えて貰って晴太さんが目移りしないように部屋に閉じ込めるのが1番よろしいでしょうか?ご心配なく、私専用としてずっと大切にしますから。晴太さんは動かなくていいんです。私に愛を囁いてくれればそれだけでいいんです。だから晴太さんは私と一緒に死ぬまで過ごしましょう。あ、なんか求愛みたいだなぁとかいらないです。普通に求愛なので。私からの愛の重さを身をもって知って貰いたいとーーー」
「す、ストップ!ストップ!」
なんか笑顔でとんでもないこと言ってるが……美澄まさかヤンデレの素質まであるのだろうか……
「あのな、清水は家庭の事情で話してただけだよ。それに俺が生徒に手を出す不適切な教師に見えるか?」
「そうなって欲しいと願ってます」
「いや、願うなよ」
くそ、このためにビデオなんか借りてきたのか。我が子2人の注意をこっちに向けないために。美澄の恐ろしいほどの計画性に驚くが、まあ、だからといってないことで追い詰められるつもりはない。
「まあ、心配するな。少なくとも俺から誰かに手を出すような真似はしないさ。女遊びしようにも好きになった女にしか食指が動かんからな」
「では、私が裸でいても興奮しませんか?」
「ああ、俺は着てる方が好きだからな……って、何を言わるんだ」
「ふむふむ」
「メモるなよ」
なんか言わされた感はあるけど……まあ、ひとまず落ち着いたみたいでホッとする。そういえば、玲子も……俺の妻も一時期不安定な時があったよなぁ。あれはそう……妊娠した頃か。仕事忙しくて相手が出来なくて不安定になって珍しく親父にガチで怒られたっけか。
普段温厚なだけに本気でキレられて、今まで生きてきて最強に怖いものが親父と知ったんだよなぁ。それまではお袋と千鶴姉を筆頭にした姉組だったんだが……
美澄も結構危ないところあるし目を光らせた方がいいかもなと思うのだった。