15 少し前進
とりあえず一区切りです……
「清香。少しいいか」
子供達を寝かせてから俺は美澄にそう言った。
「なんですか?」
「ここ最近色々考えたんだがな……俺はやっぱりまだお前をしっかり受け入れられないと思ったんだ」
「……それで?」
「ああ。だからその……なんだ。お前がいいなら卒業したら……結婚してやるよ」
その言葉に目を丸くする美澄。まあ、色々考えたけど、俺はまだこいつのことをしっかりとは受け入れられないと思ったんだ。玲子のこともそんなにあっさり割り切れはしない……でも、俺は美澄の気持ちに少なからず嬉しいと感じているのも事実だった。
だから……こいつが本気なら卒業してから親父達みたいに……その、結婚出来ればいいかと思ったのだ。まあ、これって完全に俺は悪いヤツだが……美澄が俺に飽きたならそれはそれで仕方ないとも思う。
そんな俺の自分勝手な言葉に美澄は心底嬉しそうに微笑んで言った。
「約束ですよ?卒業したら絶対に私を晴太さんのお嫁さんにしてくださいね」
「ああ。お前が俺に飽きなければな」
「言質は取りましたから」
そう言って取り出したのはボイスレコーダー……いつもそんなの仕込んでるのかと疑問に思っていると美澄は言った。
「言っときますけど、私は本気ですから。卒業したら絶対に晴太さんと結婚しますよ。だから今のはプロポーズとしてちゃんと記録しておきますね」
「いや……それなら、プロポーズは別にしてやるさ」
それに……こいつがもうしてるようなものだし、今更増やしても変わらないだろう。
「晴太さん」
「なんだ?」
「大好きです」
……はぁ、全く。こんな小娘にドキドキしてしまうなんて俺も大概病気だな。とはいえ自覚してしまった以上は仕方ない……多分俺も少なからずこいつに惹かれてるのだろう。
だから……ここからは自分のペースでこいつに合わせるとするさ。教師として倫理感的に色々あるのは事実だが……もう、それらはある程度スルーすることにしよう。
そうして俺はこの日から……こいつのあの婚姻届にサインをして直前になったらこいつに渡そうと思うようになったのだった。とりあえずはさっきの言葉の返事でもするかと、俺は苦笑しながら言ったのだ。
「俺もだよ」
一旦これで落ち着く予定です。後は書ける時に好き勝手エピソードあげる予定なので、お時間あればお付き合いいただけると幸いですm(_ _)m