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10 父の親友

あの人登場

「呼び出してすみません雅人さん」


近くの小さな喫茶店で待ち合わせをしていると、呼び出した人物……親父の親友の中条雅人なかじょうまさとさんが待っていてくれた。


「お前から呼び出しとは珍しいな。何か相談事らしいが……健斗じゃなくて俺でいいのか?」

「親父には最後に相談します。とりあえず客観的な意見が聞きたくて……」

「ま、他人の意見が必要なほど切羽詰まってるんなら仕方ないな」


コーヒー片手にワイルドな感じを醸し出す雅人さん。


「そういえば、雅人さんなんて他人行儀じゃなくて、前みたいに『雅人おじちゃん』でいいんだぞ?」

「この歳になってそれは辛いです」

「ま、俺も流石にキモイと思っただろうな」


なら言わなきゃいいのに。そう思っていると、んで?と聞いてきた。


「何を悩んでるんだ?」

「えっと……実はですね」


俺は美澄の件を大まかに話した。すると、雅人さんは話が進むに連れてケラケラと笑いを浮かべて言った。


「なんだそれ。親子揃って似たような展開とかどんだけだよ」

「あの……やっぱり親父も似たような感じだったんですか?」

「ま、絵面だけなら健斗の方がマシだがな。しかしそうか……そんなくだらないことで悩んでたのか」

「いや、割と死活問題なんですが……」


なんで皆これを平然と流せるのだろうか?やっぱり相談相手間違ったかと思っていると、雅人さんは言った。


「ま、昔のアイツもお前とは違うが過去に囚われてたからな」

「親父がですか?」

「意外か?まあ、あいつの場合は死んだ母親……まあ、つまりお前の祖母のことで色々悩んでたみたいだが……それをお前の母親が払拭したらしいな。お前の母親の悩みをあいつが払拭したみたいにな」


なんだそれ。親父とお袋も似たような感じで悩んでたのか……だったら、俺はどうすればいいんだよ。


「まあ、簡単に言えばお前のその悩みは恐らくお前の教え子が示してくれるさ」

「美澄がですか?」

「ああ、とにかくお前は1度過去と向き合ってそれを相方にも話せ。そうじゃないと先には進まんぞ?」


簡単に言ってくるが……まあ、でも話して面倒に思われた方がいいかもな。うん。


「ありがとうございました。では俺はこれで……」

「ああ、ちょっと待て」

「はい?」


キョトンとしてると雅人さんは伝票を俺に投げてから言った。


「相談料だ。コーヒー分くらいは奢れ」

「……本当にいい性格してますよ。流石親父の親友」

「まあな。お前よりも素直な親父には随分と世話になったからな」


そう微笑む雅人さんは子供の成長を見守る親のようだった。



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