子供
シャルと話したあの時から、俺は強さを求めるようになった。出てくる魔物は全てなぎ倒し、経験を積んでいった。
洞窟の最深部まで来た時には、そこら辺の魔物は簡単に倒せるほどの力をつけていた。
「…にしても、子供はどこに行ったんだろーな?全然見当たんねーけど…。」
ホワンがキョロキョロと辺りを見回すと、うめき声の様なものが聞こえてきた。
「…なんの、声…?」
シオンがゆっくりと声のする方に歩いていくと…
「うえーん…ひっく…」
子供が1人、泣いていた。
「!だ、大丈夫…!?」
みんなが子供に駆け寄ろうとした瞬間、地面が揺れ、その場で立ってることすらも出来なくなった。
「な、なんだ!?」
みんなが揺れに驚いている中、俺は子供と目が合った。
その時の子供は、笑っていた。
そして、ゆっくりと意識が消えていき、気づいたら近くの村のベッドで寝ていた。隣には、いなくなったと騒がれていた子供も一緒に…。
「勇者様、ありがとうございます…!」
訳の分からぬままお礼を何度も言われた。…本当に、何が起こったのか、理解出来ていなかった。
問題の子供もここ数日の記憶が無いらしく、なにもわからなかった。
あの洞窟にいた子供はなんだったんだろう。
謎を残したままその村を後にした。