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想い  作者: ノダメ
3/4

第3話 一人

太鼓の音、陽気な音色をかなでる笛の音。

私には、聞こえなかった。前を歩く二人を見ているのがつらかったから。

周りの風景が灰色に見えた。私に二人を応援できるのかな?

無理なのに、なんで私は二人に笑顔を向けれるのかな?

その時、ドーンドーンっと花火の音がした。

空を見上げると、花火が綺麗に夜空に咲いた。

悲しくはかない花火に見えた私の目に一粒の涙が流れた。

「感動しすぎ?」

鈴木君の言葉に我に返った。

「ちがうちがうなんか、目が痛くて。」

我ながら下手な嘘だけど、私の気持ちに気づかなければ、それでいい。

慣れない下駄にそろそろ限界になってきたし、早く帰りたい。

「花火終わったし、そろそろ解散しよう。」

鈴木君の言葉で解散になり、私たちはそれぞれの方向に別れた。

彼は、恵と同じ方向だから、今頃お祭りの思い出話に華が咲いているのかな。

そんなことばかり考えていると、自然に涙が流れその場に立ち止まっていました。

「そんなに痛いの?」

彼が目の前にいた。

「なんでここにいるの?」

私の問いかけを聞かずに彼はかがんで背中をむけた。

「いいから、乗って。」

わけがわからない。

「いいよ。恥ずかしいし私、重いし、疲れちゃうよ」

痛いけど、無理だよ。

「いいから、乗れ。」

私は、彼の背中に乗った。

「ありがとう。」

彼は、何も言いませんでした。

河川敷の淡い祭り提灯の光を浴びながら、私は、彼の背中に顔をうずめて泣いてしまった。

そして、家の前についても彼は何もいわずに帰っていった。

今日の出来事は、私の中の宝物で秘密。

それ以来、彼となにかあることもない。

思えば、私の恋はあの夏で止まった間々、時は過ぎてしまった。

高校卒業。 私は、彼にも親友の恵にも気持ち告げることは、ありませんでした。

新しい生活、もう楽しい仲間に囲まれた学校生活や彼のいるテラスに足を運ぶこともない。

高校の頃に想い描いていた大人は、もっとかっこいい仕事をして東京で彼氏もいて、その次は結

婚。単純だ。

現実の私は、結局地元でバイト生活だ。

私のバイト暦は、高校の頃からだから、かなり長い。

だから平気でバイトの後輩に「恋をするのは、簡単だよ。彼氏も簡単にできるよ。」なんて言えてし

まう。

自分は、好きな人をひきずった間々でなおかつ彼氏なんて、できた事がこの19年で一度もないのだ。

でも、バイトの後輩たちは私に彼氏の相談を話してくる。

その答えを見つけるために、私は雑誌や女友達、先輩から聞いた話をあたかも自分におこったよ

うに話すのだ。

最低かもしれない、しかたない、これは、これで苦労している。

いつも、感情の戦いだ。

気持ちが一杯になったその日、バイトでミスをたくさん起こしてあがった私に先輩がドライブに誘っ

てくれた。

深夜1時の湘南平、夜の海に月の光がさして、町の光がとても綺麗で自然と涙がこぼれた。

先輩が頭をなでてくれた。

「あんま、無理すんな。」

先輩とは、中学から一緒だけど話したこともなかった。バイトで再会してから、話すようになっただけ

なのに先輩には、いつもばれてしまう。

「大丈夫です。ありがとうございます。」

笑顔をむけた先輩が笑った。

「あぁ、横にいるのがみかちゃんならよかったのにな。」

こういう人だ、みかちゃんはバイト先のかわいい高校生でしかも先輩には遠距離の彼女がいる。

だから、好きにはなっていけない人だ。

でも、私にとっての兄のようで安心できる人だ。

今日のこの月に、恋ができますようにと願った。

高校卒業してから、二年たって私は、二十歳になった。

そのころから、バイトの飲み会に積極的に参加しましました。

バイトの飲み会は、おきまりコースだ。まず、飲み屋からはじまり、二軒目かもしくは、カラオケ、そ

のあとは、バイト先に帰り解散。

その日の、飲み会もおきまりコースで私は飲みすぎて、ふらふらだった。

カラオケの途中で一人外にぬけだして、バイト先に電話を掛けた。社員がいないか確認するため

だった。

その時、何かが覆いかぶさった。唇に感触を感じた。

バイトのOBの先輩だった。何が起こったのかわからない、心の整理ができずに混乱していた。

何も、知らないバイト仲間たちがカラオケを終えて出てきた。

だれも、きずいていない。

一気に酔いが醒めてしまった。(酔った勢いでされたんだから、忘れよう。)

何日間か、忘れようとしても頭に映像が常に流れていました。

やっと、忘れかけたころにその先輩がまた酔っ払いながら、店に来た。

来るの、しょうがない私の師匠である先輩と仲が良かったからだ。

私は、気まずかったので裏にある更衣室にユニホームを入れにいった。

ドアの向こうから、声がしてきた。

「ねぇ俺、酔ってたけど忘れてないよ。」

その時、ドアがバンと開いて先輩に引き寄せられた私は、また唇を奪われていた。

その後、キスをすることはなかったが会うと、どきどきが止まらなかった。高校の頃の気持ちとは、

ちょっとちがう。私は、その気持ちが確かめるために思い切って、OBの先輩 に「好きかも知れま

せ ん。」とそのままの気持ちを告白した。

「バイトの後輩と付き合う気ない。」

見事に失恋した。でも、心は傷ついていないむしろすっきりしていた。

ただ、キスをしてどきどきしただけで好きという感情は、なかったようだ。

恋をするのに、いつからかあせっていたのかもしれない。

そして、その日から飲み会の参加を減らした。

ゆっくりいい恋を探そう。

次回は、最終回です。お待たせしてすいません

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