karakurenahi
声をも知らぬ君
維新この方廃れたる日本刀を今さらに
ただ二人で交わして知るのみ
刃煌めくは天に知られぬ稲妻か
天に知られぬならば君が知るべし
我も知るなりその煌めくを
互いに交わす刃の下に
死ねたらと思うこの頃に
日本刀に散ることこそ誉れ
死して劔の山に登るなら
いまこの場で登るとしても変わるまい
人の世は儚く散るもの去り行くもの
君の去り行くを
野嵐に吹かれて消ゆる
白露のごとく見ゆ
次に刃交わせしときは
我は死のうぞ誇りに染めてや紅に
そのときはじめて言を交わそう