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マジックセンス  作者: 金屋周
第四章:死神
42/222

40:親友

サンナとエレジーナは黙って見つめ合った。


数秒間の沈黙が場を支配した後、先にエレジーナが口火をきった。



「久しぶりだねーサンナちゃん。元気にしてた?」



「……私のことはどうでもいい。それより、なぜ私の仲間に手を出したのですか?」



「ああ、サンナちゃんの友達だったんだ?それは悪かったよ。仕事だったからねー仕方がなかったんだよー。ほら、もっと私に近寄ってきて。薄暗くて可愛いお顔が見えないよ。」



サンナは溜め息を一つ吐き、ゆっくりとエレジーナに近づいていく。



「一年ぶりくらい?美人になったねー。親友として鼻が高いよ。」



親友?


フィカスは首を傾げたが、その直後に納得がいった。お互いにすでに知っているような会話だったのは、親友だったからか。



「……親友ではないでしょう。まったく……手を引いてくれますか?私としても、自称親友のあなたとは戦いたくないので。」



日が沈み、暗闇になった住宅地で二人は会話を続ける。



「そんなこと言わないでよー。昔はエレジーナお姉ちゃんって懐いてたのにー。悲しいなー唯一の親友に、そんなこと言われちゃって。」



「変な思い出を捏造しないでください。あと唯一って……あそこの少女は親友ではないんですか?」



屋根の上から、猫のようにアベリアを威嚇している六号を見やる。



「あっ……悲しいなー数少ない親友に、そんなこと言われちゃって。」



今、あって言った。忘れてたの……?



「本当にあなたって人は……とにかく、もう帰ってください。」



「お天道様もいなくなっちゃったし、そうするつもりだよー。あーそうそう、サンナちゃんの仲間、強いからさ、死神に気を付けた方がいいよ。」



「死神?」



そういえば、さっきもそう言ってた。死神って何なんだろう?



「私も噂でしか知らないんだけどね。色んなところに出没する、正体不明の人物。強い奴が狙われるって聞いたことあるから、闇には気を付けてねー。じゃあ帰るよ、六号ちゃん。」



「……。」



リスのように六号は軽やかにエレジーナの元に飛び降り、二人はフィカスたちに背を向けて歩き出した。



「じゃーねー。また会いましょー。」



手をヒラヒラと振って、エレジーナたちは闇夜の中に消えていった。



「……全員、無事なようですね。」



「無事……ではないかもだけど。どこか余裕があったように見えたよ。あの人。」



「そうですか……まぁ確かに、エレジーナは私と同じアサシン。正面戦闘よりも暗殺に長けています。本気ではなかったんでしょうね。きっと。」



そっか。そうなんだ。


それでも、得意分野での戦いではなかったとしても、あの人は強かった。



「そうね~強かったわね~。」



いつの間にか、アベリアはニコニコしている。普段通りだ。



「お腹も減ってきたし、ご飯にしない?」



「おう!そいつは賛成だ!で、俺を助けてくれ!」



足をネバネバした物で地面と接着され、ジギタリスは放置されていた。フィカスは駆け寄って引っ張ってみるが、どうも上手くいかない。



「私に任せて~。フィーくんとサーちゃんは先に行ってていいわよ~。」



「――というわけだ!俺のことは気にするな……あだだ!もうちっと優しく頼む!」



「ええ。分かりました。先に行ってますね。」



なんだか心配な気もするが、多分大丈夫だろう。


大通りへと出て、二人は肩を並べて歩く。



「エレジーナたちは、なんで襲ってきたんですか?」



「うーん……アベリアが良い子か悪い子か……みたいなこと言ってたけど、分かる?」



フィカスと同じく、サンナも首をひねる。



「アベリアの昔に何かあったか……それとも……分かりませんね。まぁ、あの人、変ですから。あまり気にしなくていいのかも……ん?」



ギルドに到着すると、入り口の前に誰かが仁王立ちしている。


ミニスカートのドレスに手甲や胸当てを付けた、アッシュグレーの長い髪の女性。


その女性はフィカスにビシッと指を突きつけた。



「やっと見つけたわよ!金髪くん!」



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