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マジックセンス  作者: 金屋周
第四章:死神
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39:エレジーナ

「死神?」



エレジーナの質問に対し、フィカスはオウム返しにそう言った。そんな様子を見て、彼女は無表情でいたが、やがて首を傾げた。



「……知らないみたいだね。ならいーや。戦闘再開だよー。」



エレジーナの意図が分からない。が、今は気にしなくて良さそうだ。


フィカスはそう思うことにして、向かってくる彼女に小剣を向ける。


見ろ。見るんだ。動作モーションを。


必ず癖がある。特徴がある。本人にしかない戦い方がある。


目前まで迫ってきた頃、腰に手が伸びるのが見えた。



「ふっ!」



「ありゃ?」



息を短く吐いて、喉元を狙ったナイフを防いだ。次は……!


一歩下がり、ナイフを鞘に戻すのが見える。そして、両手を顔の前まで持ってきて……。


パァン!


眼前で突然拍手をされ、フィカスは反射的に目を閉じてしまった。


猫騙しだ。



「ぐあぁ!」



瞼を閉じ世界が一瞬の間、暗闇になった。その一瞬に蹴りを入れられ、フィカスは地面を転がった。


何者かに腕を掴まれた。そして、上へと引っ張られる感覚がする。気が付くとフィカスは空中に放り投げられていた。



「え……ええええぇぇ!?」



地上にいる人々が小さく見える。


一体何が……って、こんなことができるのは一人しかいないか。アベリアだ。



「おー凄いねぇ。」



「……。」



黙ったまま、瞳に殺気を宿したアベリアを見て、エレジーナは軽口を叩きつつ頭を働かせる。


六号ちゃんは……屋根の上に逃げたか。あの大男は地面に固定されて動けない。金髪くんは少ししたら落ちてくる。つまり、二対一。証明終了。


肉体強化を受けた拳を避け距離をとる。



「怖い怖い。」



そんなに怒らなくても……仲間が攻撃されているのを見たんだから、まぁ仕方ないか。



「仲間のために怒る……優しいねー。」



再び繰り出されたパンチを避け、その腕を掴んでその勢いのまま後ろへと流す。そして、無防備にさらされた背中に蹴りを入れる。


アベリアは地面に激突したが、すぐに立ち上がってエレジーナに向かっていく。



「力は凄いけど……当たらないと意味が……およ?」



てっきり襲ってくると思っていたら、超人的なジャンプを見せて頭上を跳び越えていった。


アベリアは空中で落下してきたフィカスを抱きかかえ、力強く着地した。



「あ……ありがと。」



「ええ。フィーくんは見てて。私が戦う……。」



「いや!僕が戦うよ!」



フィカスにはそぐわない大声を出して、アベリアの台詞を遮った。そして、腕の中から下り小剣を強く握ってエレジーナめがけて走っていく。


投げられて空中にいる間、地上の観察していたが、アベリアの様子がいつもと違うことに気付いた。どういう風に?と訊かれたら口ごもってしまうだろうが、それでも変に思えてしまった。


だから、今のアベリアとあの人を戦わせてはいけない気がした。



「うおおぉ!」



小剣を投げつける。エレジーナはそれを身体を斜にして躱した。


その隙に想像する。


多分……有効な武器は……!



「げぇ!何ソレ?」



突如、何もない宙に大剣が現れ、彼はそれを握って横に薙いできた。



「うっ……!」



思ったよりも重い。これを振り回して戦うのは無理がありそうだ。


フィカスは大剣を脇に捨て、次はブーメランを創造する。そして、大剣の刃から逃れるために離れたエレジーナに投げつける。


だが、ブーメランはエレジーナの身体まで届かなかった。回転する刃は指に挟まれ停止した。逆にそのブーメランが投げられフィカスへと迫ってくる。



「えっ!?キャッチし……えっと……!」



防がないと!どうやって?そうだ!盾を創れば!


盾……?どういう見た目だっけ?重さは?材質は?大きさは?


ダメだ。頭の中が真っ白になっていく。ブーメランは迫っているのに……避け……間に合わ……。



「そこまでです!」



黒い影が空から降ってきて、ナイフでブーメランを弾いた。



「サンナ!良かった……助かっ……。」



「どういうつもりですか!?エレジーナ!」



駆けつけてきたサンナは、そう大声で言った。

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