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マジックセンス  作者: 金屋周
第四章:死神
37/222

35:仕事

夕暮れ時――町全体が橙色に染まる頃、フィカスたちはギルドへと戻ってきた。



「寄り道したけど……夕飯にはちょっと早いね。どうしよっか?」



本や服を抱えたリコリスはラフマを見る。



「買い物はもうヤダ。もっと身体動かしたーい!」



「じゃあ……家に荷物置いたら、また出掛けるか。それじゃあフィカスくん、僕たちはこれで。」



「バイバーイ!」



「うん。またね。」



リコリスとラフマは貸家へと歩いていき、フィカスはギルドに入ろうとした時――。



「おう!偶然だな!」



ジギタリスとアベリアがバザーから帰ってきた。



「うん……あ、そうだ。アベリアに会いたいって人に会ったんだけど。」



夕日に照らされたアベリアの表情が僅かに曇る。



「あら……誰かしら~?」



フィカスは、その女性の人相を思い出す。



「えっと……サンナくらいの身長で、セミロングの癖っ毛……クリーム色の髪だったかな。あとは……あ、たれ目の女性だったよ。」



「あら?心当たりがないわねぇ。」



あれ?じゃあ誰だったんだろう?



「おやおや、もしかして、もしかすると、私のことでは?」



「えっ?」



急に後ろから声がして、フィカスは心臓が飛び上がった。


フィカスの後ろにいつの間にか立っていたその女性は、ゆっくりとアベリアに近づいた。



「あなたがアベリアさんですね?ちょっとお話があるんですよ。来てくれますか?」



「ええ。もちろんよ~。」



「俺たちも一緒に行っていいか?」



たれ目の女性は頷いた。



「もちろんですよ。屈強な君も金髪の君も来ちゃって大丈夫ですよー。」



女性に連れられるように歩き、表通りを外れて住宅地の方まで来た。



「あーそうだ。アベリアさん、その方たちってお友達だったりします?」



「はい。私の大切な友達です。」



しっかりと、力強くアベリアは頷いてみせた。


それを聞いて女性は立ち止まり、頭を抱えた。



「あーそれは困ったなー。いや、こっちの話なんだけどね。どうしようかなー?」



何だろう、この人?


フィカスは女性の言動に猜疑心を覚えた。


言葉に感情がこもっていないというか、どこか上の空というか……。



「実はですね。とある匿名からですね、アベリアさんが良い子かどうか見てこい、とお願いされたんですよ。その匿名というのは……あーこれ、言っちゃダメか。えーと、良い子じゃなかったら……これも言っちゃダメだ。」



変な人だけど、演技には見えない。凄い天然ってこと?



「まー詳しくは言えないんですけど、悪い子だったら始末しろってお仕事なんだよねー。ん?これ言っちゃダメだよね?言っちゃったしいいか。」



近寄ってきて、アベリアの頬に女性は手を添えた。



「けど、お友達がいて、とても悪い子には見えないからー帰ろうと思うんだけど、始末してほしい、みたいな感じでお仕事頼まれちゃったから、一応は戦うことにしたんだよねー。」



女性は真っ直ぐにアベリアの瞳を見つめる。



「けど、良い子を始末するのは忍びないからー。時間制限をつけようと思います。お天道様が寝て、夜になったら引き上げるので、それまで頑張ってくださーい。」



アベリアの頬から手を離した。そして、フィカスたちに背を向けて奥に歩いていく。



「おい、あんた。一体何を……。」



ジギタリスがそこまで言った時、上から何かが降ってきた。


ノコギリのような、幅の広い木製の武器を持った少年が民家から飛び降りてきて、フィカスめがけてその武器を振るった。


フィカスは前に跳ぶようにして、その攻撃を躱した。結果として、たれ目の女性の前に出るようになる。


攻撃を仕掛けてきた茶髪の少年はフィカスは追わず、振り向くとそのままアベリアを追い詰めるように攻撃を開始した。



「おい!どういうつもりだ……っと!」



屋根から小柄な少女がジギタリスの前に飛び降りてきた。



「はーい。それじゃあ戦闘開始でーす。」

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