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マジックセンス  作者: 金屋周
第三章:勇者
34/222

33:祝勝会

勇者たちの冒険譚を色々と聞きながら、火山を下り森を進み、草原を突き進んでようやく町に戻って来ることができた。



「それじゃ、コールさんに今回のことを報告して、それからご飯だ。」



「の前に、風呂に入りたいのですが。」



「ああ。それもそうか。じゃあ女性陣は先にお風呂に行ってて。僕たちで報告しとくから。」



ギルドに到着すると、女性三人は浴場へ直行。残った男性陣で受付嬢のところへ。



「ダンジョンの報告です。」



「おかえりなさいませ。リコリスさん。フィカスさんたちのパーティーもご一緒でしたのね。お疲れ様です。」



フィカスが最初にお世話になった受付のお姉さんに、今回ダンジョンで起きたことを報告していく。


主である竜を討伐したこと、その子供と思われるトカゲはまだ沢山いるであろうこと、先に入った冒険者たちは見つかっていないこと……。


そして、両パーティーが協力関係になったことを伝えた。



「分かりました。それでは、今回のクエストはこれで終了です。今後も調査が必要なのかもしれませんので、またクエストが発生した場合には、ぜひお受けください。」



「どうも。都合が合えば、ですがね。」



クエストが完了すると、男性たちも浴場へ。お湯で汗と汚れを流し、すっきりしてからロビーで女性たちの到着を待つ。



「それで、どこの店に行くんだ?」



「よくぞ聞いてくれた、ジギタリスくん。僕が行きつけのヴェイトス・オムニスという喫茶店に行くよ。可愛いウェイトレスちゃんがいるんだ。」



あれ?そのお店って確か……クエストが終わったら、皆で行こうと思っていたところだ。


不思議な偶然もあるものだ。



「お待たせしました~。」



一人でに頷いていると、アベリアたちがやって来た。



「よーし。役者もそろったところで、早速行こうか。」



大通りを歩いたところにある、少しギルドから離れたところにある喫茶レストラン。それがヴェイトス・オムニスだ。


高級志向(と思われる)落ち着いた雰囲気の喫茶店。入店すると、来ているお客さんは皆、落ち着いた服装をしている。一般冒険者が軽い気持ちで来る場所ではなさそうだ。


そんなフィカスの思考を余所に、リコリスは物怖じせずに堂々としている。



「おーい!セプテムちゃん!」



「あ!リコリスさん!いつもありがとうございます!」



メイド服を着た少女が近寄ってきた。


紺色の髪をおさげにした、小柄な少女。日焼けした健康的な肌がまぶしい。



「本日は何名様でしょうか?」



「八人だよ。いい席を頼むよ。」



「かしこまりました!それでは、こちらのお席にどうぞ!」



店の一番奥の席に案内され、四人掛けのテーブルを合わせて皆で座る。



「よく来るんですか?」



「こいつだけだ。俺らはまず来ない。」



「まぁ……そうだよな!」



ガハハ!と笑うジギタリス。


彼の言う通り、この落ち着いた雰囲気の中に冒険者が入るのは想像し難い。


料理を注文し、テーブルに行き渡るのを待ってコップを手にする。



「それじゃあ、スクォーラくん。音頭をよろしく。」



「ん?俺か。そうだな……ダンジョン攻略と、協力関係になったこと、この二つのことを祝して乾杯。」



「かんぱ~い!」



盛り上がらない音頭だったが、掛け声で無理やり織り上げる。


騒いで大丈夫なのかな……?


同時に、フィカスはそう不安に思うのだった。



「なぁ、フィカスたちは次に何をやるんだ?」



口いっぱいに肉を頬張り、それを噛みながらラフマが訊ねてきた。


「下品だ。」とネモフィラが注意した。



「うーん……まだ考えてなかったから……どうしようかな?」



命懸けの冒険も終わり、次にどんなクエストを受けるか、何のビジョンも浮かばない。



「……決まってないならさ。あたしたちも少しの間フリーだし、なんか一緒にやらない?」



「うん。それならぜひ。」



勇者たちとの共同作業。ダンジョンにいる間は余裕がなかったが、落ち着いた状況なら良い経験になりそうだ。



「面白そうだね。僕も混ぜてよ。そうだ、スクォーラくんも一緒にどうだい?勇者様の実力を見せてあげてよ。」



「……いや。俺は少しやりたいことがある。だから、今回は遠慮しよう。」



仕方ないね、とリコリスは肩をすくめた。



「明日になったら、ギルドでクエストを探そうか。それで、スクォーラくんを抜いた七人で、クエストに合ったパーティーを組もうじゃないか。明日の予定はこれで完璧。今日は思いっきり騒ごうか!」



皆、思う存分祝勝会を満喫した。


ただ、騒ぎ過ぎてお店の人にそれとなく注意されてしまった。


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