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マジックセンス  作者: 金屋周
第三章:勇者
32/222

31:合流

「どんな音が聞こえたの?」



「うーん……なんか低い音だったような……。」



ラフマは頭に生えた耳に手を寄せ、音を拾おうとするも何も耳に入ってこなかった。



「……なんも聞こえないや。あたしの気のせいだった……あ、また聞こえた。」



「いや、今のは僕たちも聞こえたから。」



誰かが走る足音が四人の耳に届いた。



「こっちの方からだったよね?あ、この道――。」



フィカスが音のした方を向くと、まだ通っていない道がちょうど目に入った。この通路から聞こえたとすると、誰かが近くまで来ている可能性が高い。


暗闇の中、微かな金の輝きが見えた。



「見つけた!」



真っ黒な影が迫って来た。



「サンナ!」



やっと合流できた。けれど、ジギタリスの姿が見えない。



「奥で今、ドラゴンと戦っています!すぐに来てください!」



それだけ言って、サンナは飛んで先行していった。


フィカスたちは黙ってお互いの顔を見て頷きあい、金色の翼を頼りに突き進む。


道幅が広い場所に出ると、そのまま直進していく。すると、より大きな空間へと辿り着き、巨大な竜と戦う者たちの姿が目に映った。



「おう無事だったか!フィカス!アベリア!」



「あらジギくん。大変そうね~。」



「なんだ?こののんびりした女は?」



ネモフィラは呆れ声を出すが、すぐに切り替え指示を飛ばす。



「スクォーラが敵を引きつけている。リコリスは援護!ラフマは攻撃だ!」



「あいよ!」



ラフマが大きく跳び上がり、腕を振りおろした衝撃波で竜の鱗に爪跡を付けた。



「……来たか。」



スクォーラはラフマの攻撃の巻き添えを喰らわないように下がり、入れ替わるようにリコリスが前線に立った。


ナイフで竜の胴体に斬りつける。傷はまるで付かない。けれど、ダメージを与える必要はない。意識がこちらに向けばいい。



「ほらほら、僕を攻撃しなよ……っと。」



そう言ったそばから、リコリスめがけて尻尾が振られた。が、その攻撃がリコリスに当たることはなかった。身体をすり抜け、尻尾は空振りに終わる。



「え、今の、何が!?」



「奴は幽霊だ。攻撃は効かん。それより、ラフマの援護をしてやれ。あいつ一人では荷が重い。」



リコリスは挑発するように攻撃を行い、反撃を霊体になって躱す。その隙にラフマがワーウルフの爪で攻撃する。



「凄いわね~。それじゃあ、私たちも頑張りましょう。」



アベリアとサンナも前線へと上がり、ラフマとともに攻撃を開始する。



「何か大きな得物はないか?」



スクォーラがフィカスに話しかけた。



「いえ、僕は小剣しか……ジギタリスの大剣は?」



「おう!さっき折れたぜ!」



根元からポッキリと折れ、ほぼ柄だけになった大剣を見せた。



「大剣でもあれば、奴の身体を叩き切ることができる。だが、ないのなら……。」



「いや、フィカスの創造魔法なら、俺のと同じ大剣を創れるはずだ!だろ?」



「創造?」



フィカスは頷いた。



「はい。イメージした物を創造できるんです。やってみます。」



ジギタリスの大剣。深く観察したことはないが、日頃から見てきた物だ。細部まで再現とまではいかずとも、似た代物を創造することは可能なはずだ。



「時間かかるのか?」



「はい。大きな物だと……。」



ネモフィラは戦地を見た。



「そうか……となると、集中できるようにする必要があるな。」



「おう!そのまま炎でフィカスの前を照らしといてくれ!おーい!準備が整うまで、攻撃よろしく!」



聞こえるように大声でそう言い、ジギタリスたちはフィカスを見守る。



「……簡単に言ってくれますね。まったく。」



竜の攻撃は激化していた。ラフマとアベリアの攻撃が通っている証拠だ。痛みによって身体の動きが強くなってきている。



「――だぁ!かってぇ!」



ラフマの目から獣のソレが消えた。連続攻撃によって負担の大きくなってきた右腕を押さえ、少しばかり距離をとる。



「ちょっと休憩!アベリア、頼んだ!」



「は~い。任せて~。」

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