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マジックセンス  作者: 金屋周
第三章:勇者
24/222

23:森

採掘へ向かった時と同じルート――砂漠とは逆方向から町を出、草原を突き進んで行くと森に出る。


この森を抜けた先にあるのが、今回の目的地である火山だ。



「昨日見たパーティーが、火山に向かう奴らだったんだな。」



頭の後ろで腕を組み、ジギタリスは納得した様子でそう言った。



「ですね。まぁ、知ったところで、という話ですが。」



木々がうっそうと生い茂り、視界は薄暗く決して良いとはいえない。


地面に落ちた枝や木の実を踏みつけながら、森の出口と火山を目指していく。



「……なんか出そうだよな。」



「まさか……。」



モンスターならともかく、それとは違う人外の何かが現れるのは止めてほしい。



「森にいる種族なら……エルフなんかのイメージがありますね。」



「ワーウルフもいるんじゃないか?」



「ワーウルフは山岳だったと思いますけど。」



「そうだっけか?」とジギタリスは呟いた。


あ、そういう話だったんだ……。


フィカスは密かに胸をなでおろした。



「他に種族って、何がいたっけ?」



「えっと……ドワーフと……いえ、それくらいですかね?」



「神話系の種族って、他にいないの?」



アベリアの質問にサンナは頷いた。



「私の知る限りでは、天使と悪魔しかいないと思います。広い目で見れば、ドワーフやエルフも神話系になりますが。」



森に住みつく獣が時折、顔を見せる。



「そういえば、人間以外の人たちって、どういう能力センスを持っているの?」



「天使が飛べることは知ってますよね?確か……エルフは遠くまで見えるとかなんとか。」



「あまり詳しくないので。」とサンナは語尾に付け加えた。



「防具とかは大体、ドワーフ製だったと思うぜ。」



「へぇ~。」



自分が知らないだけで、意外と身近に色々な異種族が関わっているのかもしれない。今度買い物をする時には、もっとゆっくり周りを見てみよう。



「あら?あそこかしら?」



先に岩肌が見えた。火山に到着だ。



「で?どこにダンジョンの入口があるんだ?」



「探してきます。ここで待っていてください。」



サンナの背中から金色の大きな翼が生えた。その翼をはためかせ、宙に舞う。そして、山肌に沿って飛んでいった。



「……飛べるって便利だな。」



「うん。」



火山の中腹程まで飛びあがり、サンナは辺りを見渡した。


これまで発見されていなかった……。つまり、人目に止まりにくい場所に入口がある。


それはどこか?


誰の目的地にもならない地点だ。そして、ほぼ全ての者が通らないところ。



「それなら……。」



地上に近く、急な箇所。そういう条件なら、見つからなくとも不思議ではない。


注意深く目を凝らし、火山の下部周辺を飛んでいると、大きな岩が傍に置かれた洞穴を発見した。



「見つけましたよ。」



場所を頭に入れ、待機している三人の元へ戻った。



「案内するので、ついてきてください。」



空中を移動するサンナの案内を受け、一行はダンジョンの入り口らしき場所に到着した。



「こんなところにあったのか。こりゃあ見つからなくても納得だぜ。」



そもそも、登山する際に通らないようなところだ。急な斜面でまず訪れることはない。



「ここを発見した奴は、何を考えてたんだろうな。」



「さぁ?それより、行きますよ。いいですか?」



「うん。行こう!」



このパーティーにとって、初めてとなるダンジョン攻略が開始された。

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