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マジックセンス  作者: 金屋周
第三章:勇者
22/222

21:採掘

怪盗シャドウの騒動から一週間――


サンナの身体の調子も元通りとなり、フィカスたちは採掘クエストをこなして生計を立てていた。


ツルハシを振るって鉱石を採掘し、大きめな袋に入れる。地味な作業だが体力はどんどん奪われていく。



「いったん、休憩にすっか!」



元気がなくなってきたフィカスを案じて、ジギタリスは休憩をパーティーに呼びかけた。



「大丈夫?ほら、お水飲んで。」



「うん。ありがとう、アベリア。」



ともに死線を乗り越え、こうして毎日一緒に労働することによって、出会った頃に比べ打ち解けられた気がする。



「そろそろ貯金にも余裕ができてきますし、フィカスの本でも買いますか?」



「もう貯まってきたっけか?じゃあ美味いもんでも食いにいこうぜ!」



「……私の話、聞いてましたか?」



サンナはジト目となり、ジギタリスを睨みつけた。



「あら~。だったら、オススメのお店があるわよ~。『ヴェイトス・オムニス』っていうの。行ってみない?」



フィカスとアベリアが朝に散歩した時に見かけた喫茶店だ。


ちょうどいい機会だし、行ってみてもいいかもしれない。とフィカスは思った。



「おう。その店なら商人仲間から聞いたことがあるぜ。可愛いウェイトレスがいるってな!」



そう言ってガハハ!とジギタリスは笑った。



「じゃあ、このクエストが終わったら皆で行ってみようか。」



「フィカスまで……まったく……しょうがないから、行ってみますか。」



三人から勧められ、サンナは反対を諦めた。そして、崖下の景色を眺める。


森の中を進む影が複数。遠目で判別はできないが冒険者だ。



「何かあったっけ?」



「さぁ?冒険系のクエストは見てないので。」



パーティーがここまで来ているのだから、何かしら起きているのだろう。



「あの森の先って……火山か。凶暴なモンスターでも出たんじゃねぇか?」



「火山って……遠いね。」



フィカスは遥か先にそびえ立つ大きな火山を見やる。


火山といっても今は大人しく、近年で活動したことはないそうだ。



「そうね~。あそこまで歩くのは大変よね~。」



「そうですね……さて、そろそろ作業を再開しますか。」



サンナはツルハシを持って採掘場に移動した。それを見て皆も休憩を止め、それぞれ採掘に精を出す。


日が暮れ始めた頃、パーティーの手が止まった。



「……ちょっと張り切りすぎたな。」



パンパンに膨れ上がった二つの大きな袋を見て、ジギタリスは呻いた。


これを持ち帰るのは、骨が折れるぞ……。



「じゃあ帰りましょう~。」



どうやって持ち帰るか、それを悩んでいるとアベリアがあっさり二つの袋を持ち上げた。



「どうしたの?」



アベリアの怪力を忘れていた。キョトンとしたアベリアの様子に三人は笑った。



「うん。帰ろっか。」



夕日に照らされる山道を歩き、太陽が地平線に沈む頃に町に到着した。



「さって、どうする?」



「どうするも何も、ギルドに行って鉱石を受け取ってもらわないと。その後に汚れを流して食事。それと、明日のクエストも探しておかないと。」



やることがいっぱいある。今日、喫茶店に行くのは諦めた方が良さそうだ。


大きな袋を二つ持った少女に町の視線が集まり、何だか居心地の悪さを感じながらギルドに到着。鉱石を受け取ってもらい、換金して浴場へと直行。


お湯で汗と汚れを流して、ほっと一息。


筋肉、少しはついてきたかな……?


少しばかり筋肉質になった自分の腕を見て、フィカスはクエストの成果を実感した。



「力、ついてきたんじゃないか?」



「いや、まだまだかな……。」



ジギタリスのマッチョな肉体を見て、フィカスはそう口にした。

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