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マジックセンス  作者: 金屋周
第十三章:未来を懸けて
204/222

200:相談

「ガハハ!凄かったぜフィカス!」



「ありがと……イタタ。」



ジギタリスがバンバンと背中を叩き、フィカスは痛がりながら笑う。


──うん。いい感じ。


無事勝つことが出来たし、パーティ全体の雰囲気も明るくなった。



「これで向こうは残り三人……誰が出ますか?」



こちらは残り──フィカス、セプテム、ジギタリス、サンナ──計四人。


だが国際連合の残っているメンバーは英雄と呼ばれる者たち。そう易々と勝てる相手ではない。これまで以上に慎重に、相手の戦略を読んで戦っていく必要がある。



「おう!俺が出るぜ!」



「ジギタリス……何か作戦が?」



「ないぜ!!」



豪快に笑うジギタリスに対し、サンナはため息を吐く。


単純というか何というか……これが彼の長所であるとはいえ、無鉄砲なのはいただけない。



「けどよ、フィカスの作った流れを途切れさせたくないって気持ちは本物だぜ?それに俺の初戦を見ただろ?筋肉は全てを超越するんだぜ!」



「筋肉の話はともかくとして……。」



パーティで一番の怪力のジギタリスなら(アベリアは魔法による怪力のため少し違う)、英雄の誰が相手でも不利にはならないかもしれない。


唯一相性が悪いとするなら、それは”魔人”アズフだろう。


が、アレに相性の良い戦士はいないだろう。


サンナはそう考えている。



「うん。じゃあ明日の試合は、ジギタリスに任せるよ。皆もそれでいいよね?」



フィカスの言葉に皆、頷いた。



「おう!この俺様に任せておけ!」



ジギタリスはもう一度ガハハ!と笑った。












「うむ。明日の試合は私が出よう。」



一方、国際連合側──。


三英雄のうち、”聖人”アギオスがそう宣言した。



「でもアギオスさん、まだ怪我が治ってないんじゃ……。」



リコリスの心配する声に、アギオスは頷いた。



「うむ。確かに怪我は治っていない。だがどのみち、この試合の期間中に完治することはあるまい。それならば、多少無理にでも動いて、この身体に慣れておいた方がよいと思っている。」



「それで構わねぇよ。」



ドゥーフが同意し、アギオスはまた頷いた。



「うむ。決まりだな。明日は私が出る。では悪いが、もう休ませてもらおうか。」



部屋を出る彼女を見送った後、リコリスはラフマとネモフィラの肩を叩いた。


二人は黙って頷く。



「──僕たちのやれることはやった。」



それから三人で城を出て、夜の城下町を散策する。


ラフマは頭の後ろで手を組み、星空を見上げてぼやく。



「そりゃあ、あいつらのことを考えたらこれでいいんだろうけどさ……あたしだって勝ちたかったよ。」



「そこに関しては、俺も複雑ではあるな。」



友人のためにも負けてよかったのは事実。


だがそれと同時に、冒険者としての悔しさもあった。



「別にいいでしょ?僕たち三人とも初戦で負けたんだから。平等ってことで。」



「そこじゃないっつの。」



ラフマはジト目でリコリスを睨む。


それを受けてリコリスは笑った。



「分かってるよ。でも誰か一人だけ勝ってたら、もっと気まずくなってたと思うよ。」



後輩にあたるパーティに勝てなかったというのは、元”勇者”の仲間として喜ばしくないのもまた事実だ。


だが、それも良いとリコリスは思っていた。



「彼らは……フィカスくんたちは、僕たちよりも遥かに濃い時間を過ごしてきたんだ。僕たちが勝てなかったっていうのも、そこまで不思議じゃないだろう?」



「ああ。リコリスの言う通りだ。」



勇者と組んでいた以上、必要最低限の実力は伴っていた。けれどパーティを結成した時から現在に至るまで、そう成長していたわけではない。



「俺たちはスクォーラに頼っていた節があったからな。」



「というか、あいつが強すぎたんだって。」



魔法センスなしで頭一つ抜けた実力を持っていた。


そんな彼と同じパーティにいたら、自らを成長させるような逆境に立たされることなんてない。



「だね。……ちょっと気が早いけど、これからのこと……二人はどうする?」



リコリスは立ち止まり、低い声で二人にそう尋ねた。



「そんなもの、決まっているだろう?」



「ああ。多分あたしたち三人、同じこと考えてるぜ?」



それを聞いて、リコリスはニヤリとする。



「──それじゃ、やれることからやっていこうか。」











そして翌日──。



「ジギタリス、昼に話した対抗策は覚えているか?」



闘技場の入口にて、マカナがジギタリスに確認する。



「おう!忘れたぜ!」



それを聞いてため息を吐く。


分かっていたとはいえ……まったく……。



「まぁ……その方がお前らしい。なら話したこと全部忘れて、我武者羅にやってこい。」



「おう!任せとけ!」



ジギタリスは堂々と通路を進む。


対策案は覚えているけどよ……俺の場合、ごちゃごちゃ考えたって仕方ねぇ。


舞台に辿り着くと、既に対戦相手はそこにいた。



「ふむ……君か。中々骨が折れそうだな。」



「へっ……そうかもな。」



”聖人”が俺の相手か。


三英雄の中では、一番相手しやすいじゃねぇか……!



「ガハハ!それじゃあ……俺様の力、見せてやるぜぇ!!」

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