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マジックセンス  作者: 金屋周
第二章:怪盗
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16:準備

朝食後、フィカスとサンナは昨日と同じく草原で訓練を行い、自由時間となるとフィカスは昼食をとらずに図書館へと直行した。



「えっと、確かこの辺りに……あった。」



記憶を頼りにサンナが持ってきた武器図鑑を発見した。文字が読めなくとも、挿絵があれば理解することができる。



「多分……僕に必要なのは……。」



長剣や重量のある武器はきっと、今は必要ない。


覚えるべき武器は、飛び道具だ。上手く扱えなかったとしても、再び創造すれば良いので技術はそれほど必要ではない。



「あった……ブーメラン。」



弓矢は難しそうだと思ったため、別の飛び道具を探していた。ブーメランなら、手元に戻ってこなくても攻撃自体は成立する。フィカスの創造魔法と相性が良い。


部族で使われていた代物や、高価な物を記憶する必要はない。ただシンプルに、単純な物を選んで頭の中にしっかりと入れる。



「他にも何かあるかな……?」



実践で使えそうな武器を探して、分厚い本のページをめくっていく。


鞭……鎌……槍……どれも癖が強く、素人が扱える武器ではない。


ブーメランだけで、とりあえずはいいかな……。


ふと時計を見ると、短い針が右を差そうとしていた。



「ご飯、食べなきゃ……。」



そう呟いた瞬間、腹の虫が鳴った。


本を片づけて、急いで図書館を出てギルドに戻る。


途中、朝に見た喫茶店が目に入ったが、入るのは止めておいた。もしかしたらとても高いかもしれないし、そもそもメニューが読めないのだ。一人で入店するのは、無謀でしかない。


ギルドに入るとランチを頼み、食後はいつもの泊まっている部屋へ。


今から昼寝――と言うには少し遅いかもしれないが――寝て休んでおけば、夜に活動するための体力を養っておけるだろう。



「あれ?ジギタリスは?」



フィカスが部屋に入ると、サンナとアベリアがいたが、ジギタリスの姿は見えない。



「バザーに行くって言ってました、」



「そうなんだ。」



元気だなぁ……と心中で呟く。その体力がうらやましい。


腰に差した剣を棚に置き、眠いわけではないが目を瞑って横になる。変わった生活リズムだが、それが新鮮で冒険者であることを実感できる。


やがて三人の寝息が部屋を包み、太陽が沈んで窓の外が暗くなった頃。


サンナが一足先に目を覚まし、外しておいた武器を身に付けた。



「起きてください。食事を軽く摂って、アース美術館に向かいます。」



「……は~い。」



寝ぼけ眼をこすり、アベリアはゆっくりと起き上がった。フィカスを揺り起こし三人で食事スペースに移動する。



「おう!待ってたぜ!」



ジギタリスがテーブルに着いていた。卓上には料理が並べられている。



「寝たんですか?」



「安心しろ。大丈夫だ!」



空腹を満たすと、町へ出て美術館へと移動。


夜の町はまた違った雰囲気がある。大勢の人が行き来しているのに、昼間に比べるとどこか静かだ。



「俺、美術館に行ったことがないんだが、道はあってるのか?」



「私も行ったことがないので、知りませんよ。アベリア?」



三人とも、何も考えずに先行するアベリアについて行っていた。場所が分からずに遅刻、なんて事態は避けたい。



「大丈夫。こっちで合ってるわ~。」



細い背中の後を追って歩いていくと、大きな石造りの建物が目の前に現れた。



「ここがアース美術館。夜に来たことはないけれど綺麗ね~。」



灯りは一切なく、月明かりだけが荘厳な美術館の姿を照らしていた。

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