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カラダクレ

作者: 高見南 純平

 懐かしい香りがした。一度しか嗅いだことないが、はっきりと覚えている。

 あの時と同じように、辺りは暗闇だった。

 違うところといえば、周りの樹木たちはただの樹木にしか見えないし、大きさも子供の頃の記憶に比べると、大したことはなかった。


 目覚めるとそこは、草木がざわめく真夜中の森だった。空を追うように、樹木が生い茂り、辺り一面草木で覆いつくされていた。


 齢6歳の正二は、何故この場所にいるのか理解できなかった。まるで夢の中にいるかのような感覚だった。目は少しだけ開いており、今にも寝そうな形相を浮かべていた。


 故に、自分が置かれている立場を、正確には理解しておらず、何ら不思議に思わなかった。


 鋭利な音ともに、秋の風が正二の体を通り過ぎていった。肌寒く、背筋が凍るようだった。


 悪寒の影響により、正二の瞼が全開に近いほど開いてきた。その瞳で辺り一面を見渡すと、自分の何倍もある樹木たちがこちらを見下ろしていた。


 幼き正二には、大木の木目が化け物の顔のように見え、嘲笑っているように思えた。

 急に恐怖を覚えた正二は、小さく後ずさりをした。雑草のきしめく声が聞こえた。


 すると、空高く聳え立つ樹木の葉の隙間から、か細い月明かりが正二を含め、森全体を照らした。

 小さな明かりではあるが、先ほどよりも森の全体像が分かりやすくなった。

 住宅のある地帯というよりは、山奥に存在する森といった印象だった。


 家の近所であれば、一度は訪れたことがあるはずだ。しかし正二は、ここに訪れた記憶が一切なかった。


 次第に脳がさえてくると、いっそうこの場所が異様に感じてきた。

 自宅に帰る道があるかはわからない。しかし、すぐに帰ろうと決心をした。

 その時だった。


 この場を揃うとする正二を止めるかのように、そいつは姿を現した。

 突然出現したそれに、正二は驚き、思わず帰ろうとしていた体が硬直した。さらなる恐怖が、正二に襲い掛かった。


 そいつとの距離は、数メートルぐらいだろうか。近いようで遠い、不思議な距離感だった。


 一本の月明かりに照らされたそれは、サッカーボールのような形をしているように見えた。


 だが、本来ならそこいるそれの形を判断するのは至難の業だった。何故なら、月明かりがあるとはいえ、辺りは暗く、形を判別するのは難しかった。さらに、そいつもまた真っ黒な色をしていたからだ。


 しかし、真夜中の森の中に見えない線で枠組みしたかのように、何故かはっきりと丸い形と判断することができた。

 正二が不思議そうにそいつを見つめていると、なんと黒い円型の中に、さらに二つの円が見えてきた。


 その二つの円は、下から上へと開いていき、中から目と思われるものが現れた。白目と黒目に分かれた、まごうことなき目だった。


 正二は、そいつを何らかの生物と判断した。しかし、家にある動物図鑑で見たどれにも当てはまらなかった。


 見たこともないその生物に、恐怖を通り越して、興味がわいてきた。瞳が存在するそいつは、この森の中で一番親近感を覚えるものだった。


 黒い生物を見ていると、正二は徐々に落ち着いていき、先ほどの恐怖が治まってきた。

 後ずさりをするのではなく、正二がそいつに近づこうとしたとき、前から声が聞こえてきた。


 その声は、弱弱しく何を言っているのかは理解できなかった。しかし、数回声が発されると、とぎれとぎれ言葉が正二の耳に届いた。そして、その声の主が目の間にいる黒い何かということに気が付いた。


「カラダ……」


 それでも、全ての言葉を聞き取ることができなかった。


「カラダ……カラダ」


「カラダがどうしたの?」


 自分でも気が付かぬうちに、正二は聞き返していた。弱っている様子のそいつに、興味をひかれていた。


「カラダ……クレ」


 小学一年生の正二にも、その言葉の意味は分かった。


「カラダがほしいの?」


 問いかけると、そいつから返事が返ってくることはなかった。代わりに、首を縦に振ったように正二には見えた。ボールのような形をしたそいつに、首という部位が存在するかどうかはさだかではないが。


 正二は上空を見上げ、少し考えた。いつの間にか正二はリラックスした状態になっており、夜風がここと良いと感じていた。


「いいよ」


 正二の声色は暖かった。数メートル先のそいつを、屈託のない真っすぐな瞳で見つめた。


 6歳の正二は「カラダクレ」という言葉の意味は理解しても、その言葉の重みは理解できていなかった。

 そいつの頼みに答えたのは、そいつが弱っていたから、という単純明快なものだった。


「ホント・・・二?」


 形からはわからないが、声で戸惑っていることがわかると、途端に小動物のように見えて、可愛く思えていた。


 正二はそいつを、形は違えど、犬や猫のような愛玩動物のようにとらえていた。


「うん」


 不安そうな黒い何かをみると、元気を出してあげようと、一歩、二歩と近づいた。


「アリ・・・ガトウ」


 お礼を言ったそいつを見て、悪い奴ではないと思った。何故なら、この前消しゴムを貸してあげたのに、お礼一つ言わなかった健太より、礼儀正しかったからだ。


「どういたしまして」


 正二とそれの距離が目と鼻の先まで近づくと、より愛くるしく感じた。それと同時に、思いのほか弱っていることに気が付いた。


「カエ・・・ス」


 真ん丸の瞳で正二を見つめるそれは、やっぱり礼儀正しいと思った。健太は結局消しゴムを返してはくれなかったからだ。


「やくそく、だよ」


 小さなそいつに目線を合わせるため、正二はその場でしゃがみ、利き手である右手を差し出した。そして、手を握り小指だけをそいつに向けた。


「ゆびきりげんまん」


 再び、正二は屈託のない満面の笑みを浮かべた。

 空から、月明かりが正二たちを照らした。


 すると、黒いそいつの目の下から口と思われるものが、新たに現れた。

 そしてそいつは、正二に向かって大きく口を開いた。



 シャワーの温水が、重力に沿って体を洗い流していく。


 早朝6時。正二は仕事前のシャワーを浴びてる最中だった。仕事前に浴びないと、目もさめないしやる気も出ないので、朝シャワーは正二の日課だった。


 正二は基本ひとり暮らし用のもので、バスルームは簡素なものだった。トイレとは別で、中は浴槽、シャンプーを置く台、あとは壁に貼られた鏡があった。


 その鏡は正二の体がはっきりと映らないほど曇っていた。そのため、シャワーのお湯を鏡にかけ、一時的に正常な状態に戻した。


 鏡には、色白いきゃしゃな男の体が映し出された。

 濡れた黒髪、クマが目立つ目元、尖り気味の鼻、彼の顔にこれといった異変は存在しない。


 身長は170ほどだろうか。上半身、下半身共に良好。

 正二は左手で掴んでいるシャワーを止めようと、右手でハンドルを掴んで回した。

 ハンドルは鏡の手前にあり、当然鏡には右手が写り込んだ。


 その手には、あるものがなかった。


 一番小さく太い、親指。

 頻繁に使用する人差し指。

 真ん中にある中指。

 最も用途がないとされる薬指。

 そして……。


 正二は、右の手のひらを鏡にかざした。

 そこには、本来ならば人間に存在する部位、小指がなかった。

 彼の右手には、四本の指しかついていない。ずっと昔から、この右手で人生を歩んできた。


 幼少期、朝目覚めると、断片的な真夜中の森の記憶が頭に残っていた。

 あの不思議な生物は、夢だったと正二は思った。


 しかし、部屋にあった鏡を見ると、右手から小指が消えていた。

 正二は慌てて母親に見せると、母親も同様に驚き、それは父親にも伝染し、一時的なパニックを起こした。


 すぐさま病院へ行くと、驚くべきことに原因不明と診断された。

 医者もこんな事例ははじめてだと、言い残してた。

 確かに、周りからすれば、摩訶不思議なことだった。


 齢6歳の少年の体から、一晩の間に小指が一つ消えているのだ。

 さらに、正二の小指アあった場所は、全く傷ついておらず、綺麗な肌色の平面な皮膚に7なっていた。


 そしてて、一番の不可思議な現象は、消えた小指がないことだ。体から切除されたのであれば、近くにあるはずだ。しかし、部屋のどこを探しても出てきはしなかった。


 このことから、もとからそういう身体的特徴を持った子供、ではないかと医者は考えていた。


 しかし、以前の正二の写真には、しっかりと小指がついていた。

 小指を失った理由は結局わからずじまいで、幕を閉じた。

 両親はそんな状況下で不安を隠しきれていなかったが、当事者は案外深い問題とは考えていなかった。


 起きた当初こそ、なくなっていたことに驚きはした。だが、正二からすれば夢だと思っていたことが現実だった、ということにしか過ぎなかった。


 それに、毛ほどの痛みもなく、日常生活において問題ないと思った。

 風呂場の鏡が、再び曇り始めた。


 人と通り体を洗い流すと、風呂場を後にした。

 風呂場を出ると、洗面台があり再び鏡があった。洗面所の鏡は、先ほどと違い曇ってはおらず、正二の上半身だけを映していた。


 こうしてみると、人より身体的差があるようには見えなかった。

 正二は今年で28歳だが、こうしてみると、同性代の男性と、身体的差があるようには思えない。


 正二は置いてあったバスタオルを手に取り、髪、体を乾かしていく。 

 ある程度渇くと、ドライヤーをセットし、最大出力で頭部にあてる。

 独特の轟音が、洗面所を飛び出し、部屋全体に響いた。


 先ほどのシャワーもそうだが、こういった何か物を握る際は、左手を使えば何ら問題ない。


 子供時代は美紀が聞き手だったが、小指を失ってからは左手を使うようにした。

 この利き手の変更により、日常生活は左利きの人、として過ごしている。支障があるとすれば、右手社会である日本の設備に、左利きの人が感じる不満と同じ程度ものだった。


 正二の体は、正二にとっては不便があるものではなかった。

 しかし、周りの人間は本人と同じとはかぎらない。


 実際、両親にはあの事件から過保護に育てられてきた。小学校の先生にも、必要以上に気を使われていた。


 小学校の同級生にも何人かそういうものはいた。しかし、子供の無邪気さゆえに、そういった身体的な変化を気にするものは少なかった。


 今まで普通に正二と友人関係であった子供は、最初は驚いていたが、すぐさま元の友人関係に戻った。


 他人の目が気になってきたのは、中学生に成長したころだった。

 正二を含めた周り全体が、いわゆる思春期の時代だった。

 彼が進学した中学校は、正二がいた小学校だけではなく、近くの数校からも大勢の新入生がいた。


 そのため、一クラス三十人程度となると、知らない顔も数多くいた。

 そんな少しぎくしゃくした中で、小指がないというのは、大きなハンデをしょっているようなものだった。


 それを察した正二は、ある作戦に出た。

 それは、自分を弱者と思わせないことだった。小指がなくても生きていけると、周りに知らしめようとした。


 具体的には、面倒ごとである学級委員を務めたり、授業で積極的に発言する、といった具合だ。


 これにより、少なくとも教師からの評価は上がっていった。

 しかし、それでも小指がないことが不気味だ、と思う同級生は大勢いた。

 日々の行いでダメなら、今度は実力を伸ばそうと思った。


 小学生時代から、頭はいい方だったが、それをさらに伸ばしにいった。ペンを握るのを左手ですれば、勉学に関しては他の生徒と同じ条件だった。そして努力の末、初めてのテストで学年3位をとり、同級生にその名を知らしめた。


 正二の作戦はそれだけでは終わらなかった。

 勉学と同時進行で、部活動にも入った。

 入ったのはもちろん、サッカーだ。


 キーパー以外なら手の指をほとんど使わない、という安直な理由で入部した。

 同機こそ不純なものの、彼の力はサッカー部全体でも、上位に入るものとなっていった。


 こういった努力の結果、2年になった頃では、彼を小指がないからと言って軽蔑する者はほぼ消えていた。


 高校に進学してもそのスタンスは変えず、順風満帆な清純時代を過ごした。

 髪、そして体について水分をあらかた吹き終えると、仕事着に着かえていく。

 彼の職業は、中学校の教師だ。そのため、毎日ネクタイを締めて、スーツで通勤している。


 一流大学を卒業した正二は、教員免許を取得していた。大学にいる頃から、教師になるのは夢だった。

 しかし、いざ就活をしてみると、どの学校も門前払いだった。

 勉強を教えるのがどれだけうまくとも、教師というものは、生徒と友好的な関係が築けばければいけない。


 小指がない教師というのは、生徒からすれば他の教師よりも、一歩距離を置く存在になる。そう言った意見が、どの学校の面接を言ってもでてきた。

 それを聞いた正二は、それは多と前の意見だと割り切っていた。本当はPTAなどの保護者の目線を気にしているだけだ、と予想していた。


 何度、面接に落ちようが。彼はあきらめなかった。

 正二が教師を目指した理由は単純明快なものだった。それは、正二自身が教師に向いていると自負していたからだ。


 彼は、弱者と強者の気持ちを理解することができた。

 見えない階級であるスクールカーストで悩む若者を助けるのは、それをよく理解していることが必要だと思った。

 最下層からのし上がった自分には、弱者を救い出すことができるという自信があった。


 その熱を感じ、正二を採用してくれた中学校が一つだけ見つかることとなる。

 それからは、正二が予想していた通り、クラスの問題を何度も解決し、今では名教師というところまで上り詰めた。


 紆余曲折はあったものの、小指のない人生に正二は満足していた。

 生活、夢、そして恋愛においてもだ。

 スーツに着替え、洗面所を出ると、味噌の香りが、正二の前に漂ってきた。


 リビングに行くと、テーブルの上に二人分の朝食が置かれていた。

 みそ汁と炊き立ての白米。そしてレタスが添えてある目玉焼き。目玉焼きの硬さは、正二の好みと半熟である。


 そして、椅子にはカジュアルな私服を着た、一人の女性が座っていた。

 雪のような肌の白さをしており、肩まで伸びた黒髪が、いっそう彼女の清純さを際立たせていた。


 彼女は、正二の恋人である沙良だ。二人は交際して二年がたとうしている。現在は、正二に住むマンションで半同棲中だ。


 「いつもありがとう」


 「冷めないうちに食べてください」


 沙良の正面に座り、正二は左手で箸をとった。


 「いただきます」


 美味しそうに朝食を食べる正二を見て、沙良はほほ笑んだ。


 「美味しい」


 それにつられて、正二も笑顔になった。愛情のこもった料理は、格別だった。


 「よかった。ご飯のお替りならありますよ」


 「朝からそんなに食べられないよ」


 ささやかな談笑をしながら、二人は箸を進めていった。

 沙良は正二と同い年だが、正二には敬語をよく使う。それは、彼女の生い立ちからくるものだった。


 彼女の両親は一般家庭に比べると裕福であり、何不自由ない生活をしてきた。教育もしっかりされており、正二には出会った当初から敬語だった。


 二人の出会いは、共通の友人の紹介だった。

 沙良はあまり男運に優れていなかった。

 可憐な容姿をしており、家が裕福な沙良にいいよる男は、大勢いた。


 しかし、どの男も沙良の中身を見ようとはしなかった。お金目当てや、容姿にだけ引かれるものが多かったのだ。


 そんな恋愛経験から、沙良は中身を重視して選ぶことに決めた。

 その時に、女友達の大学時代の友人を紹介された。

 初めて出会ったとき、沙良は驚いた。何故なら、彼には右手の小指がなかったから。


 しかし、中身を重視することを決意したさらに取って、その欠けた手はさほど気にならなかった。

 それどころか、彼の人生を聞くと、小指のなさが気にならないほど、人間として引かれていった。


 これほどまでに努力をした人間がいただろうか、と沙良は感じた。

 そして、沙良はその男に心底惚れて、今に至るというわけだ。


 「そうだ、今週末だよね」


 「そうですね。早いですね」


 「両親に挨拶するのって、こんなに緊張するんだね」


 「私も緊張していますよ」


 二人はともに二十八歳。結婚を意識する年齢になってきた。

 それを感じた正二は、一週間ほど前に沙良にプロポーズをした。

 教師の安月給を必死にためて、上質なダイヤモンドの指輪を沙良に前に差し出した。


 あれほど緊張することはない、と正二は思った。

 もちろん、沙良の返事は正二の望むものだった。

 そして、今週末に沙良の両親に挨拶に伺いに行くのだった。


 「そんなに怖い人たちじゃないから、大丈夫ですよ」


 「でもね……」


 正二が悩みながら上を見上げると、壁に掛けられた時計が視界に入ってきた。


 「あ、もういかなきゃだ」


 慌てて食事を済ます正二。


 「そんなに慌てて食べたら、体壊しますよ」


 「ごちそうさま」


 左右非対称な手のひらを合わせて、正二は言った。そして、急いで食器を流し、身支度を済ませる。


 そんな慌てた様子をみて、沙良はほほえましく思った。沙良の目には、体の一部が欠けていたとしても他の人とは変わらない、けれど特別な存在に映った。


 「じゃあ、行ってきます」


 限界まで見送りに来てくれた沙良に、笑顔を向けた。


 「いってっらしゃい」


 微笑み返してくれた沙良の唇に、正二は自分の唇を重ねた。食べたばかりで、卵の味しかしなかった。


 照れた沙良を見ながら、正二は仕事先へと向かっていった。


 挨拶は大事だ。正二は、挨拶をしない奴を昔から嫌いだだった。

ろくに挨拶もせず、消しゴムを返さなかった健太のことは今でも覚えていた。



 夜空に浮かぶ三日月を、正二は見つめていた。


 時刻は7時。中学校からの帰りで、駅のホームで電車を待っていた。

 帰宅ラッシュであるこの時間は、大勢のサラリーマンや学生が電車を待っていた。

 いつもなら、このあとの電車の混雑を想像すると、すでに息苦しくなっていた。


 しかし、今週は気分がいい。正二にとっての、人生のターニングポイントをこえたからだ。

 沙良の両親に挨拶に行ってから、はやくも数日が立とうしていた。

 両親と会話をするまで、緊張が解けることはなかった。


 沙良の両親に会うのは初めてで、実家に訪れるのも一回目だった。そのため、まず屋敷のような家に驚いた。


 沙良に話は聞いていたが、実際の家の規模は、正二の予想を軽く凌駕した。

 さらに胸の動悸が早くなったが、両親と会ってみると、会話ははずみ、意外にもリラックスすることができた。


 しっかりと、結婚の意志を伝えることができ、満足いくものだった。

 ただ、一つ不安があるとしたら、その場で結婚の許しを得ることはできなかったことだ。


 口には出してはいなかったが、正二の小指がないことを懸念している様子だった。

 けれど、考えても仕方ないと思い、挨拶がうまくいったことだけを喜ぶようにしていた。


 それにしても、三日月が眩しく輝いていた。まるで、正二を祝福しているかのようだった。

 正二は三日月に憧れを抱いていた。何故なら、未完成な形にもかかわらず、風物詩として人々に愛されているからだ。


 満月を完成形とすれば、三日月は未完成。正二は、自分の右手と同じだと思っていた。

 しかし、三日月をみてマイナスなイメージを抱くものは少ないであろう。そんな未完成だとしても、人々に愛される存在に正二はあこがれを抱いていた。


 伝鞘の到着する時間になり、ホームにアナウンスが流れ始めた。

 電車が到着し、一斉にドアが開いた。ここからは、椅子取り合戦だ。

 疲れのたまったサラリーマンたちが、我よ先にと、限られた席に座っていく。


 正二は半ばあきらめながら乗車すると、偶然にもたどり着いた目の前の席が空いていた。

 運がよかった、と思いながらそこに腰を掛けた。正二は電車に乗っている他の人に比べたら若い方だが、疲れがたまっているのは一緒だった。


 これでもか、というほど人が乗車すると、ドアがすべてしまった。

 周りの窮屈そうな様子を見ていると、座れてよかったと心から思った。

 二、三十分電車に乗るので、自信の黒いバッグから、読みかけの小説を取り出そうとした。


 取り出そうとしたとき、近くに立っている年配の男性を見つけた。杖をついており、立っているのがつらそうに見えた。


 スーツではないので仕事帰りではなさそうか。おおかた、別の用事で電車に乗ろうとして、帰宅ラッシュに遭遇してしまったといったところだろうか。


 人ごみに流されてしまったのか、優先席付近ではなく正二たちがいる、一般の場所に来てしまったようだ。


 それに気づいた正二は、一瞬ためらいながらも、その男性に声をかけた。


 「座りますか?」


 声をかけられたご老人は、驚きながら正二に顔を向けた。


 「いえ、大丈夫ですよ」


 強がりだということはすぐにわかった。若い正二でさえあまり立ちたくはないのに、杖を持ったご老人が座りたくないはずがなかった。


 「結構長いですし。どうぞ、座ってください」


 この電車は急行だった。少なからず、次の駅までは五分から十分は乗車することとなる。


 「すいません、ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」


 ご老人は申し訳なさそうにして、正二と席を変わった。けれど、最後には正二に軽く笑みをこぼしてくれた。


 些細なことだが、気持ちが晴れやかになった。

 正二には、身体的な弱さがある人の気持ちがよく分かっていた。

 自分で何とかしたいと思っても、どうにもできないことはある。強がってはいるが、助けてもらったときは純粋に嬉しいものだ。


 正二は、職業的なこともあって、困っている人がいたら助けようと心掛けていた。

 心がけていないと、いつかそういった優しさが自分の中から消えて行ってしまうようで怖かった。


 昔は心に誓ってなくとも、自然に手を差し伸べることができた。

 しかし、小指がないことが気にならないほど生活が順調になっていくと、弱きものの気持ちが分からなくなるのではないかと、不安に思った。


 その心がなくなってしまっては、学校生活で苦しんでいる生徒たちに、救いの手を差し出すことはできないと考えていた。

 偽善。と言われても仕方がないと思った。けれど、本当の正義を得るためには、偽善でもなんでもやるしかなかった。


 次の駅に到着すると、先ほど席を譲ったご老人が下りるようだった。

 最後にもう一度、お礼を言われ、無事に電車から降りていった。

 再び正二は席に座り、今度こそ小説を読もうと思った。


 しかし、再び彼の読書は阻害されてしまう。


 原因は、今の駅から乗車してきた、カップあると思われる若者たちのせいだ。

 彼らは周りの目を気にせずに、耳障りなほどの音量で話していた。


 耳障りだ、と正二は首を傾げた。けれど、こういったことは珍しいことではない。

 他の乗客たちは、こいつらの声を遮断しようと、スマートフォンでアプリを開いたり音楽を聞いたり、正二のように読書をするものが大半だった。


 正二は迷惑に思いながらも、茶色のカバーに包まれた文庫本を開き、読み始めようとしていた。


 けれど、何故か彼らの声が鮮明に聞こえてきた。彼らロは少し距離があり、意識しなければ話の内容が耳にはいあってくることはない。


 つまり、正二は意識してしまっているのだ。カップルの会話に興味を持ってしまっていた。


 何故なら、その内容は自分と密接な関係があるものだったからだ。


「それでそれで、そいつは何て言ってくるのよ」


 女の声が聞こえた。話の途中らしい。


「森の中にいるそいつはさ、カラダクレ、カラダクレ。って言ってくるんだってさ」


 彼氏と思われる男の声が、正二の胸に突き刺さった。

 本を読むふりをしながら、正二の意識はすべて彼らの会話に注ぎ込まれていた。


「えー、こわい。カラダって、体全部?」


「いや、手だったり足だったり、色々あるんだってさ」


 それを聞くと咄嗟に正二は本を閉じ、それで右手を隠した。


「手とかなくなったら、いきていけないよ」


 女は冗談交じりに笑った。所持にはそれが癇に障った。


「まあでも、いつか返してくれるらしいよ」


「そうなの? そのいつかっていつなの?」


「さぁ?」


「さぁ、って」


「だってただの噂だし、実際にあったわけじゃないしさ」


「そうだよね」


 そこで、二人の会話は別の話に変わっていった。

 二人の仲ではさほど、今の話が心には残っていないだろう。しかし、正二には頭から離れなかった。


 正二が幼少期にあったそいつは最後に「カエス」といった。けれど、それから返されたことはないし、再会すらしたことがない。


 なので、本当にただの夢で、小指が亡くなったのはまた別の理由があると、どこかで思っていた自分がいた。


 しかし噂がでたということは、正二以外にも、そいつに遭遇したことがある人物がいるということではないだろうか。


 正二は困惑した。誰にも話したことがなかったそいつを、他の人の口から聞く日が来るとは思わなかった。


「ふぅ」


 混乱を抑えるために、その場で深呼吸をした。

 落ち着てくると、その噂が本当だろうが嘘だろうが、正二には関係ないことに気付いた。


 そいつがいてもいなくても、結局小指はなくなり、今までの人生を歩んできたのは事実。


 あの黒い何かのことを知ったとしても、過去が変わるわけではなかった。

 ただ、正二が気になっているのは、「カエス」という言葉の意味だった。

 噂でもいつか返してくれると言っていた。


 周りに気付かれないように、本で隠しながら右手を凝視した。

 本当に、この右手が5本指になる日がくるのだろうか。

 一生このままの体と思って生きていた正二にとって、その可能性は複雑なものだった。


 今は夢もかなえて、満足に暮らしている


 もし小指が戻ったら、今までの生活はガラッと変わってしまうだろう。

 それがどう転ぶのかは、正二には全く想像することができなかった。

 それに、いつか、というのはいつなのだろうか。先ほどの彼女ではないが、気になって仕方がなかった。


 正二は噂を聞いてからずっと複雑な感情にむしばまれていた。

 いつの間にか、先ほどのカップルは下車していて乗客の人数も減っていた。

 アナウンスを聞けば、次の駅は正二の最寄りの駅だった。


 かなりの時間考え込んでいたことに気付き、正二は我に返った。

 正二は本をバッグにしまい、立ち上がった。


 電車が最寄りの駅に到着すると、正二を含め大勢の人が下りていった。

 いつもなら、何の迷いもなく帰るところだが、思うように足が動かなかった。

 正二の体は人の波に流されて、階段を上り改札を出ていった。

 ここから普段は、駅から出ているバスに乗り換える。自宅までは、さらに10分程度かかる。


 けれど、今日は夜風に当たって帰りたい気分だった。

 歩いて帰る場合は、30分弱かかってしまう。しあkし、それでもいいから、正二は冷たい風に浸りたかった。


 幸い、季節は秋。気持ちのいい冷たい風が漂っている。

 その風に吸い寄せられるように、正二はバス停を後にし、自宅へと向かっていった。


 歩いてみると、まるで知らない街に来てしまったかのようだった。

 暗闇ということも加え、いつもはバスで通り過ぎるだけの場所だ。

 正二には、通り過ぎるすべての物が真新しいものに見えた。


 「……はぁ」


 歩きながら深いため息を漏らした。いつもなら、誰も見ていないとはいえ、弱い部分を見せようとはしない正二。


 それだけ、先ほどの噂は胸に響いているようだ。

 結局、どれだけ考えても答えは出なかった。実際に黒い生物がいると決まったわけではないし、返されるわけでもない。


 正二は、いつも通り生きていくしかない。そういった考えにたどり着いた。

 迷いが薄れると、バスに乗ればよかったと、若干後悔してきた正二。

 通り道にいくつかバス停はあるが、ここまできたら歩いて帰ろうときめた。


 駅から十分程度歩みを進めたころ、スーツのズボンのポケットから、メロディが流れてきた。


 それは、オーソドックスな携帯電話の着信音だった。


 正二は携帯電話を取り出すと、電話の主が沙良なことに気が付いた。

 この時間は家にいるはずの沙良。もうすぐ商事が帰る時間ということは知っているはずだ。


 不思議に思いながら正二は電話に出た。


 「もしもし、沙良? どうかした?」


 正二は歩きながら、沙良に問いかけた。

 しかし、数秒待っても全く電話から音が聞こえなかった。

 電波が悪いのかと思い、もう数回声をかけた。


 すると、ようやく電話の奥から音が聞こえた。

 しかし、その音は沙良が発したものではあっても、言葉ではなかった。


 「沙良……?」


 正二の予想が間違っていなければ、それは沙良がすすり泣く音に聞こえた。


 「ごめんなさい。正二さん」


 電話越しでも、彼女が涙を流しているのが、正二には手に取るように分かった。何度か沙良のなく姿は、付き合いの中で見てきた。


 「急に謝ってどうしたの?」


 「……あのね、さっきお父さんから電話がきたの」


 沙良はそのあとに言葉を続けようとした。

 だが、正二が状況を把握するには、十分な情報だった。


 「そしたら、正二さんとの結婚は認めないって」


 不安が的中してしまった。


 「どうして、どうして認めてくれないって?」


 「やっぱり、あなたの体のことが……」


 理由がそれしかないことは、正二が一番よくわかっていた。けれど認めたくはなかった。


 「手のことか」


 「……。お父さんは他の人の目を気にしてるようでした。お母さんは、子供を授かった時に、その子が元気な体で生まれてこれるのかを、心配していました」


 沙良の言葉が、刃物のように正二の胸を次々と突き刺していった。


 「……そっか。でも仕方ないよ。けれど、まだ諦めることはないよ。どれくらいかかるかはわからないけど、ご両親を納得させてみせるよ」


 正二の友人の中に、両親に挨拶にいき、門前払いを食らったものがいた。

 しかし、1年間かけて見事説得し、今は幸せに暮らしていた。

 両親の反対だけで、沙良との関係を終わらせるにはいかなかった。


 「そういってくれるのは嬉しいです。でも、でも……」


 「でも?僕じゃ不安なの?」


 「違うんです。正二さんは何も悪くないの」


 「じゃあ、なんだっていうんだ」


 少し強い口調になってしまった。

 冷静さを失った正二は、気付かぬうちに足を止めていた。


「私もいい歳だから、早く結婚してほしいそうです。実は、今回のお相手と結婚できなかったら、両親が決めた人とお見合いするって約束をしてたんです」


「……そんな」


 初耳だった。確かに、言われてみれば、沙良は結婚願望が強いように見えた。しかしそれは、年齢的なものからくる焦りだと思っていた。


「もう、その日程も決まってるらしいんです」


「そんなの、そんなのあんまりじゃないか」


「ごめんなさい。本当にごめんなさい」


 沙良の泣きじゃくる声が、正二の心にしみていった。


「でも、これだけは信じてください。私は正二さんのことを、心から愛しています」


 その言葉に、嘘偽りがないことは、付き合った日々の中で分かっていた。それゆえに、最も残酷な言葉として、正二にのしかかった。


「わかった。もうすぐ家に着くから、詳しく話そう。納得するまで、話そう」


「……はい」


「最後の会話になるかもしれないしね」


 正二は沙良の返事を聞くことなく、電話を切った。

 このまま、道路に向かって投げてしまいたかった。

 数名の人が正二を通り過ぎていった。その人たちに変人扱いされてもいいから、暴れ狂いたい気分だった。


 胸が爆発するかのように、激しく動いていた。正二はそれを止めようと、右手の4本の指で心臓を握りしめた。


 しかし、その鼓動が止まることはなかった。

 止るどころか、今度は体全体が震えだしてきた。この震えは、夜風の仕業ではない。


 さっきの電車といい、今日は近湾してばかりだった。

 正二の脳はパンク寸前だ。

 そんなパンク寸前の頭に、先ほどの噂が流れ込んできた。


「でも、いつか返してくれるらしいよ」


 そうだ。指さえ、指さえあれば。

 正二は、右手をこれでもかと言わんばかりににらみつけた。


「指さえ……指さえあれば」


 正二が嘆き始めると、何故か意識が薄れ始めてきた。

 目が急に重くなり、鼓動も収まってきた。

 そして、そのまま正二は瞼を閉じた。


 それに、天を覆うように緑色の葉が伸びていたが、見上げれば三日月が鮮明に見えた。


 同じ場所なのか、それとも別の場所なのか、正二にわかるはずもなかった。

 しかし、地面にいるそいつをみれば、全てを理解できた。


 樹木と同じく、大人になった正二から見ると、そいつは小さかった。

 サッカーボールぐらいの大きさに見えたそれは、今ではピンポン玉みたいだった。

 そいつは、体の半分を占める二つの目玉で、正二をじっと見つめていた。


 噂で聞いたいつか、がこんなにも早く来るとは思わなかった。

 沙良の話を聞き、心臓が破裂しそうだったが、不思議と今は冷静だった。


「……カラダ」


 気のせいか、そいつの声が記憶よりも弱って聞こえた。


「カラダ……カエス」


 その言葉によって、再び体が熱くなった。言葉通りの意味であれば、正二が今一番望むことだった。


「返してくれるのか?」


「……カエス」


 素直なそいつを見て、何故か罪悪感のようなものを抱いた。

 元々、そいつの持っている小指は正二のものだ。それを返してもらうのは道理というものだ。


 しかし、何故このタイミングで返してくれるのだろうか。

 そもそも、何故そいつはカラダを欲しているのか。


「……カエス」


 そいつの声はみるみる小さくなっていった。相当弱っているようだ。

 黒いそれの中から、決して忘れることのない大切なものが出てきた。

 六年しか共に生きてはこなかったが、その形、大きさを忘れることはない。


「それは」


 数メートル先でも、それが自分のものだと正二は確信した。


「……カエス」


 どうやら、少年時代にかわした約束通り、本当に返してくれるようだった。

 今の正二にとって、失ったその小指は、喉から手が出るほど欲するものだった。

 遠慮なく返してもらおう、そう頭では考えているのに、何故かそいつに近づこうとはしなかった。


 二十年以上も前に出会った時も、そいつは弱っていた。弱っていた時に、カラダを欲していたということだ。


 つまり、今の正二と同じ立場だったということだ。


「もしかして、その指がないと生きれないんじゃないの?」


 そいつは、その問いには答えなかった。単純に複雑な言葉が話させないのか、それとも黙っているだけなのか。


「……そうなんだね」


 昔のそいつは、さほど小指を重要視していなかった子供の正二から、小指を貰った。


 しかし、今の正二は、指を必要としている者から、指を返してもらおうとしていた。


 究極の決断をする時が来てしまった。

 指か、そいつの命か。


 正二は強く頭を掻きむしった。

 子供の頃は、すぐに出した答えを出したというのに、大人になった今では様々な感情が邪魔をする。


 そんななかで、正二は小指のない人生を振り返っていた。弱者と思われないために、必死で努力をしてきた。そして、学生時代、奢侈化に出てからともに、自らの地位を確立してきた。


 そして、身を固めようとしたときに、努力ではどうにもできないことが立ちはだかった。


 沙良は心から愛してると言ってくれた。

 正二も、小指のない自分を認めてくれている沙良を、心から……。


 正二は、その黒い何かに向かって、一歩、また一歩で足を前に出していった。

 顔つきは鋭く、真っすぐ自らの小指をみていた。

 そして、そいつの目の前まで近づいた。


「……カエス」

 近くで見ると、やはり自分の指だと、正二は改めて安心した。

 しかし、それと同時に、目の前の弱り切った命を見つけてしまった。


「……」


 正二は、右手に向かって「動け、動け」と言い聞かした。自分の幸せのためだと。

 ゆっくりと、右手がそいつに向かって伸びていく。


 あと10センチ、1センチ、と着実に距離を縮めていく。

 あともう少しで、四本の指しかない手のひらが、完成形に成長する。

 ついに正二の手が、そいつの持った小指に接触しようとした。


 「正二さん」


 紙一枚程度の距離。ほんの僅かなずれで、肌と肌がふれるというところまで来ていた。

 そんな状況で、正二の体は動きを止めた。


 「正二さん」


 「どうしたの?」


 「私、正二さんの事好きですよ」


 「え?」


 「嘘だと思います?」


 「いや、そんなことは……」


 「本当に好きですよ」


 「僕は、未完成な男だよ?」


 「そうですか? 私はそうは思いません」


 「え……」


 「私は、諦めずに努力を重ね、困っている人の気持ちを理解することができるあなたが、大好きです」


 正二の体とカラダの間を、冷たくけれど懐かしい隙間風が、通り過ぎていった。

 その風に押し戻されたかのように、正二は右手を引いた。


 「……カラダ」


 「あげるよ、君に」


 「カラダ……カラダ……」


 か弱い声で、何度もそいつは正二に言葉を投げかけた。


 「長生きしてね」


 正二は、そう言葉を残し、一歩、また一歩と後ろに下がった。

 自分の出した答えが正しいのかはわからない。


 けれど、まだ自分の中に無償の優しさが残っていることを、誇らしく思った。

 正二は、小さなそいつに向かって、右手で軽く手を振った。


 気づかぬうちに、正二はほほ笑んでいた。

 その笑顔は、あの頃と変わらない、嘘偽りのないものだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話の展開・構成が非常に良くできていると感じました。 一見、ストーリーに関係ないような一文や擬人法が作中に流れる怪しい雰囲気を高めていて、読んでいて飽きません。 無闇矢鱈にハッピーエンド…
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