1話
私は、緑川麗華。陰陽寮寮長縁川玲二郎の娘でその霊力を受け継いでいるものですわ。そして、前世の記憶が残っている記憶持ちですの。しかも、最悪なことに、私が今生きているこの世界こそ、私が前世で読んでいた恋愛ゲームを基にして作った小説の世界で、私はその悪役となる少女、になってしまったと言うわけですわね。
そして私は今は3歳。そして、物語が進み始めるのは6歳。そう、縁川麗華が婚約者に出会うところから始まってしまうのです。私が婚約者の赤城聡志に惚れ、のちに出会うヒロインに嫌がらせをし最後には学園を追い出されてしまう。そのような運命を辿らなくてはならないなんて私は嫌です。
「わたくしは、そうならないために、わたくしのぶきとなるちしきをみにつけなくてはなりません」
まだ私は3歳ですから、婚約者と出会う6歳になる3年間を様々な勉強をし、知識をつけ、それを武器にしなくてはなりません。その為にはお父様に頼み込んで自らに家庭教師をつけていただく必要がありますね。それに、この世界に存在する魔術という存在を学び、自らの力を学ばなくてはなりません。
確か、この緑川家には書物庫が存在しましたね。そこに行って本を読み漁るところから始めるといたしましょう。伊達に前世の記憶を持っているわけはありません。この経験を生かして自らの力に変えて見せましょう。
緑川家は、陰陽道を使う家系です。今は陰陽道は東洋魔術とされています。陰陽道自体廃れたわけではありませんが、今では西洋魔術がこの日本にも入って来て基本的な魔術は西洋のが盛んになっていますが、日本独自の神道の祝詞や陰陽道に関しては今でも残っています。ただその術を使う者の数は減少の一途を辿っているようです。減少を少しでも抑える為緑川家は陰陽寮の寮長となりて様々な陰陽術を教えているというわけです。
魔術は、西洋と東洋と術の使い方は分かれますが属性などは人それぞれに存在します。大きく分けると火、水、土、木、光、闇に分かれます。1人1つの属性を持つのが殆どですが2つや3つの属性を持つ者も居るようです。全属性を持つ者は過去に居たようですが現在はいないようです。
「まずは、わたくしじしんのぞくせいをしらなくてはいけません」
私が転生をした緑川麗華は、魔術の属性は火でした。まるで炎のような情熱で自らの婚約者を一途に愛し、その婚約者を奪おうとするヒロインを許せなかったのですから、属性は人の性格を反映しているものかもしれません。まぁ、これは憶測ですが。
まずは魔術とこの世界の歴史を知るための本を我が家の書庫から持ち出すことにいたしましょう。
私はこの時、影からの視線に気づくことはありませんでした。