初PT って感じ(1)
入場料を支払いダンジョンに入る。このダンジョンは1人500YANらしい。
さらにダンジョン突入時の人数で階層が増えるらしく、今回は7階層目でボス部屋になるらしい。
人数が増えるだけ魔晶が出る率が高いらしく6人で入るのが、ここでは普及してるみたいだ。
慣れてきたら(クリア出来たらだがソロで)、最速でクリアし回数で稼ぐやつもいるだとか。
とりあえず、アスカさんに所持金を全て渡す。20万近くの所持金にやや驚かれたが、工房衆に渡す報酬が後払いなので仕方がない。他のメンバーは大体で3万も持っていないらしい、報酬の宝石をアイテムとして持っておき必要に応じてNPCに売り、必要なものを買っているみたいだ。
隊列は前列に”タンカー”のゲキと”遊撃手”である俺が、中列は回復支援のマコトとアイさんの双子コンビ、そして後列に”ランナー”のアスカさんと”アタッカー”のシュウである。アタッカーが最後尾なのは後方からの奇襲対策らしい。本来は前列にシュウが、後列にマコトが、中列にシーフヤクがいたのだが、遠視スキルで前後の索敵・遠視を使って前後の警戒をしていたらしい。
スキルの関係上、現在の俺は遠視を外しているので今回はこういう隊列になった。前の索敵・罠感知を俺が、後方の索敵はアスカさんがやっている形になる。(ランナーは敵との遭遇を回避するために索敵は必須だ)
俺が今、セットしているスキルは、 ”槍LV3”・”剣LV3”・”盾LV2”・”蹴りLV3”・”索敵LV3”・”小手先器用LV3”・”身体能力上昇LV2”・”鑑定LV3”・”罠感知LV2”・”魔力魔法LV3”の10種である。残念ながら遠視を取る空きが無いし、PTを組んでの広範囲で前後の警戒なんか出来る自信はない。
ダンジョン内は、4人でも並べるが、戦うのなら3人が限度なので、いざ戦闘になるとまずはゲキが威圧で攻撃を集め、その間に後方からの危険が無い場合シュウが前列に移動で攻撃をする。俺はそれを邪魔しない様に敵側面から攻撃を狙う。
『ちょっと待ってくれ、前に罠がある…と思う』
皆を一旦留めて調べてみる……敵より早く罠のお出迎えか、落とし穴みたいだな。このダンジョンはソロより罠のスイッチが踏みやすい所に設定してあるな。
罠を調べて皆に落とし穴の存在を知らせる。いざ何かあった時に罠が残っているとまずいので無効化することになった。
カモーン、マイボール……30ポンド鉄球をアイテムボックスから取り出してスイッチに向かい転がしてみる……小手先器用のおかげか見事ストライク、鉄球は落とし穴に落ちて行った。通路の半分が穴だったみたいで左側がスイッチがあった所を中心に5m位無くなり右だけの通り道になった。20フィート棒でも対処可能かもしれない。
穴に近づくが、穴の向こうからモンスターが近づいてくるようだ、半分になった道で攻撃をしようと言うのか、いやらしい演出だな。 敵は”スパロウカッツ”と”ピノキン”というモンスターみたいだ。
スパロウカッツはカラス位の大きな雀で飛行し両足で持っている糸切りバサミで攻撃するみたいだ。
ピノキンは木製の操り人形みたいな形で両手で殴ってくるらしい、注意する所は両手ばかり気にしていると突然、鼻が伸びて攻撃してくるところ槍のように尖っているので要注意だ。
落とし穴を挟むように、向かい合う。半分になった道をピノキンが向かってくるが、
「おら!かかってこいや」
ゲキが盾で向かってくるのを防ぐ。俺は穴を気にせずに飛んでくるスパロウカッツを穴のこちら側で迎え撃つ。まずはスリングで迎撃だ、トゲガラス弾で性能テストでもあるが、これがなかなかいい感じだ。パチンコはガキの頃によく遊んだのでよく当たる。後方からの矢や魔法も飛んできてスパロウカッツはこちらにたどり着く前に落ちて行った。
残るピノキンはというと、狭くなった道でゲキの”威圧”にとらわれ、ゲキばかり攻撃している……三国志の張飛状態だな。ゲキが引き付けている間に、剣から槍に武器を持ち替えたシュウがナナメから攻撃している。たまにシュウにヘイトが向かうが、穴の端にいるので橋みたいになっている穴のこちらにいるシュウには攻撃できていない、たまに鼻を伸ばしてくるがそれしか攻撃が届かないので注意しているシュウは危なげなく回避している。
俺もスリングで攻撃に加わり討伐に成功した。
後で聞くと罠を解除しないと、戦闘中に罠が作動してPTが分断、もしくは転落死ということになるらしかった。そういうことで罠の無効化が必要なのね。
さっき使った、球はいいのか?と聞かれたが問題はない、基本アイテムだから戻ってくるだろうと歩いていたが、急に右手が重くなり落として足を潰しかけた。鉄球は手元に戻るタイプのアイテムらしい、今度から注意しないと足に落とすと恐らくダメージが来るだろう。自分のアイテムでダメージを喰らうのはバカバカしいからな。
先ほど分かったことだがシュウは通常は剣を使い、ここのダンジョンは広がりにくいことも多々あるのでそ
んな時は槍でゲキの後ろから攻撃するスタイルみたいだ。
先に進むと、女の子が二人立っていた。やや透けているということはモンスターなのだろう。上半身は向う側に体をひねった状態なので目の光が見えない。ゲキは気が付いていないようだ。
『何か、い(るぞ)』
メンバーに知らせようと言葉を発すると同時に、透けた女の子がこっちを向いたと同時に何かを投げてきた。そのおかげで最後まで声を発せることはできなかったが異常事態は分かってもらえたようだ。
(トルネード投法かよ)
飛んで来るものを盾で受けようとするが、急に向きが変わり下に落ちてきて、股間に直撃した。クリティカルが入ったようでHPが3割位削られてしまった。毒も喰らったみたいだ。
『…さらにフォークなんか投げるんじゃないよ……』
股間を抑えこうつぶやくのが精いっぱいだったが、すぐに痛みが楽になった、毒も消えている。アイさんが治療してくれたみたいだ。
”ワイトスノー”これが俺のせがれを狙った不届き者の名前らしい、ワイトと言うだけあって透けていて物理攻撃に耐性があるらしい。先ほど投げてきたのは、なんとリンゴだった毒りんごかよ。
敵が分かって、ゲキとシュウはワイトスノーに走って向かっている。俺を見て一瞬股間を抑えていたマコトは魔法で攻撃するみたいだ。
敵の目の前まで進んだゲキは土魔法のウォールで土の壁を作り、防御の姿勢で威圧を使いヘイトを集めている。シュウは剣に炎をまとわりつかせ攻撃しようとしている。
物理耐性があるのでは、スリングでは効果が少ない、ブリットを撃ちつつ俺も接近してボム付き蹴りを喰らわして攻撃する。ワイトスノーは接近されたら爪を使って攻撃してくるようだ毒もあるが、回復役がいるので気にせずに攻撃して討伐はできた。
女性に手をあげるのは趣味ではないが、せがれの仇、それに足だから大丈夫と訳のわからない主張で攻撃をした。まぁリングの貞○みたいな奴だ、手加減は要らないだろう……怖いんだよ。