さあ 商売開始だ って感じ(2)
2015・7/11 再改定
それから2日間工房衆商品の作成に全力を尽くした。途中、ラナと、ちょっとしたごたごたがあったがそれはいずれか話すとしよう。
それ以外は何事もなく順調だったのだが、異変がおきた、作業がではなく他のPCに何か動きがあったみたいだ。
俺たちにという依頼ではないが、工房にフィールドを主体に動いていたPCから、多くの斧の作成依頼が来ているといるというのだ。
話を聞くとフィールドでも、レイドクエストがあるらしく、それが参加人数無制限で道を向かった先の、”森フィールド”で、このまま木を切って道を作ったらどうなるんだろうと話し合っていると出てきたらしい。
”森フィールドに道を開拓しよう”というクエストらしい。
さすがに斧が必要になるなと思う。冒険者ツールに付いてきた斧では時間がいくらあっても足りないだろう。さらに武器で木を切るにしても、耐久は減るらしくできる限り、耐久の高い性能のいい斧が欲しいらしい。
工房衆は依頼を受けなかったが、多くの生産職希望者が受けたみたいだ。
話を聞くには多少値が張ってもいいとのことだったので、お蔵入りしていた【バトルアックス】も作成するようにした。
ただしAT+5の”ひも”で作成した安い方で、価格は6万YAN とした。
さすがに壊れないとはいえ、基本武器に7万YANは出すとは思えないが、予備で基本の皮をばれにくいよう薬学のカラーエディットで、ひもと同じ色に変えていつでも加工できるように準備しておく。
客のニーズに合わせて現地で作業できるようにである。
そして発売前日であるが、商品の数が揃ったので、マスカレイと工房衆、共同で、発売する店を見栄えを良くすることにした。
店の奥に、簡単な作業ができる作業台を作り、表にはカウンター、屋根の上には看板を、ちなみに店名は【基本装備屋】と、ひねりのないそのままである。
昼過ぎには作業も終わり、シャッターを下ろした店内でお互いの商品のお披露目会をする。同じ店内で、その商品は分かりませんでは店員失格だからだ。
マスカレイは基本素材で作った商品を、普通の素材ではまだ作成しておらず、明日開店と同時に、裁縫場に控えたメンバーが急いで作る作戦らしい。
商品の秘匿に力をそそいでいるみたいだ。
商品の種類もそこそこあるみたいだ”鉄の胸当て”や、脛に鉄のプロテクターを仕込んだ”皮のブーツ(鉄)”、皮をニカワで固くしたもので作った”皮のスケイルメイル”、Gジャンに堅い木で作ったプロテクターが付けてある”プロテクター付Gジャン”、各鎧に装着可能な”帆布のマント”これは背中の装着扱いらしく鎧の上?に装着してDF+1の効果がある。
そして驚いたのが女性専用ではあるが”ビキニアーマー”まである。Tシャツの上に着ても不恰好じゃないのか聞いてみたところ。装備したらTシャツは消えて見えなくなるらしい。
大事な所が隠れていればシステム上OKみたいだ。見た目だけではなくAT+6 SP+1が付いた高性能な上、寄せて上げる効果もあるみたいだ。
女性の美への欲とは驚かされるばかりである。
工房衆の紅三点も欲しそうだ、装備してもらったらいい目の保養になりそうだが期待してもいいのかな?
さらに以前、後日談で述べたが”ガラスの靴”も売り出すそうだ。
お互いの商品に質問したり、称え合ったりしながらその日は終了した。
販売当日、ギルドに売り出し開始の挨拶に行くと全エリア・フィールドにインフォメーションで告知をしてくれるという。「後は皆様の売り方次第ですよ」という言葉をエミュさんから頂いた。
さぁ、開店だ~とシャッターを開けると同時に、インフォメーションが鳴った。
【只今ギルド正面にて、レイド”工房衆”と”マスカレイ”によるショップ ”基本装備屋” が開店しました。よろしければ一度ご覧になってください、まあ店名通りどれも”基本”の装備ですけどね(プッ)】
とエミュさんの声が流れた……あの人は応援してくれてるのか邪魔をしてるのか……後者に違いない。
1人ほど抗議に向かわせ、販売開始だ。
…インフォメーションのおかげか、ぼちぼちの勢いで人が集まりだした、プレイヤーの比率もあるだろうが大半が男だ。
マスカレイの綺麗どころと、なぜかルリさん・ユリさん・ラナまでもがビキニアーマーで売り子をしているのだから当然か。しかし、いつの間に用意したんだ?
「この性能で、これでは高すぎるだろう」
と言うPCもいたが、
「お客さんは今までどれぐらい修理代を使われましたぁ?ここにある商品は普通の装備品に比べると、性能はやや劣りますけど永久に修理など不要ですよぉ?
メインで不足でも予備での装備で、用意していたらメインの装備品が壊れた時等、絶対役に立つと思いますよぉ」
とルリさんに言われ納得がいったようだ。
「使い勝手が気になるなら、レンタルでこの店の前でPVPで使っても構わないゼ。どうせ痛まないし、俺たちは困らないからよ」
とゲイルの声も……結果、店の前でPVP大会みたくなってきたが、それがいい見世物になって客足は徐々に増えてきた。
「この矢は15mまでしか射程はありませんが、それを超えると自動でアイテムボックスに戻ってきて、変な言い方ですが消耗しない消耗品ですよ」
とアレックも、弓を持ってる女性PCに声をかけている。……あいつはいらない事言わないとイイ男だからな。
「斧は少々なら高くても買うつもりだったが、他の武器からしたら割高すぎないか?ぼったくってるのか?」
というプレイヤーが現れたら、
「あんなー、高いんはすまんけど材料がめっちゃいるんやー。
これでも儲けがあんまないんやこれで堪忍やー。これでもや安ぅするために、いじっとるんやウチラかて半端なモンは売りとぅないんや。
バトルアックスとトマホークは後1万高こぅなるけどATがもう1上げることもできるんやが高いと買いとぅないやろ?」
とラナが言うと「高い方を買う」とその男PC。目線はラナの谷間に行っているのは無理もない、男とはそういう生き物だ。
急ぎで数人が後ろに回り”ひも”と”皮”の交換をする作業に入る。
「盾も本当ならできのええのがあるんじゃがのー。高くなりすぎで今回はDF+3で勘弁せいのー。後日、工房まで来るなら後4万ほど追加してもらえれればAT+6まで上げてやるぞい」
とゲンさんが……ドランさんはというと、売れ出しているみたいだから増産すると数人を連れ工房に向かっていった。
俺はというと、
『販売もするけど購入の方なら皮のグローブと皮のシューズなら6000YAN・冒険者ツールの中にある”基本”アイテムは1000YANそれ以外なら1個5000YANで下取りもやってるよ~~。
買取りだけなら その半額だよ~~』
と買取場をやっている。実に地味な仕事だ。
これは前日話し合った結果、買取価格を決めたのだ、最近では自販街でもなかなか売りに出なくなった為に考えた、材料集めの新しい手段だ。
そして特別宣伝はしていないが”メリケンサック”が安いために皮のグローブもそこそこ入手できている。
正直な処、皮のグローブと皮のシューズはマスカレイと取り合いの状態だ。
俺たちはメリケンサックという商品を作ってるのに対し、皮製品を入手しづらいのでマスカレイは1000YAN高く、防具を売る際に下取りをしているが、これは話し合いで双方納得済である。
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結果、初日にしては上々の売れ行きだった。客から話を聞くと、やはりスキルが低いと痛みやすく壊れやすい。
しかもスタートダッシュキャンペーン中でスキルLVが上がらないみたいだ。
今、上位でも最高LV5までみたいだ。それも無理やり11個目のスキルを取って、強制的にキャンペーンを終わらせたPC達だという。
工房衆も最高のスキルLVは3だ。工房に籠りっぱなしで作業してたが3以上にはなっていない。
フィールドの連中も戦いづづけているのだろう、バトルアックスとトマホークは結果的には1万YAN高い、高性能な方ばかりが売れたので夕方からは値札を変え高品質なものに変えた。
マスカレイの方も十分な注文を受けたらしい。それとサイズがある程度自由がきく”プロテクター付Gジャン”は性能がDF+4で価格4万YANと商品としては半端だったが、準備した60個全て売れたらしい。
これはマスカレイの頼みで工房衆全員のGジャンを貸しで、渡していてマスカレイも全員のGジャンをも使用して作った唯一の即売できる商品だったが、向うは向うで読みが当たったみたいだ。
後日、必要なら改造はすると下取りで集めたGジャンを渡してくれた(ちなみにGジャンはサイズがS・M・L・LLと4種しかない仕様らしい)
夜になり、昼の売れ行きを見て早めに強制睡眠をしていたメンバーと交代をし宿屋で睡眠をとることにした。
ラナさんとのいざこざですが、話が落ち着きましたら閑話として書きます。
このいざこざで女性陣の中で唯一、さん付け無しで呼んでおります。
感想 意見 評価いただけると 作者が踊りだします
えっ?見えないですって?
まぁ 作者がモニターの前で踊るだけですから^^;




