透明な日と
東から太陽が昇ってくるのを確認して寝床から出た。今のような生活になってから、時計はあまり使わない。
「ええっと、今日は……」
先日懐かしい鉛筆を手に入れてから、目が覚めてから日記をつけることに凝っている。昨日のことを思い出しながら、頭の外に出すというのはなかなかいい。それに、自堕落な生活を送っていると日記に書くことがなくなってしまう。この習慣を始めてから以前より活動的になったと自分でも感じられる。
「行ってきます」
こうして挨拶をすることも無駄ではなくなった。今の私は慣習でなく、あの日記帳に挨拶しているのである。今でも七日のサイクルで週休二日のリズムで活動しているが、それだけでは自分が機械のように思えてきたりするものだ。人に接する機会のない私にとって、あの日記帳は友人とすら呼べる存在になっている。日記帳のおかげで私は正気でいることができる。
朝起きて、机に向かうと、日記帳が無くなっていた。代わりになにかの動物の毛が落ちていた。食うに困って食料にでもしたのか?
ともかく、友人を失ってしまった。まあ近所のホームセンターにでも行けば代わりのものはあるだろう。
「はあ。なんかの間違いで復活しないかな。人類」
三題メーカー(仮) http://shindanmaker.com/171355からのお題。
『時計、鉛筆、東』




