春と戸惑いと姉
春休み最後の夜は気に入っている漫画を読破するつもりだったが、急に姉ちゃんの部屋に呼ばれた。
「なに、話って」
「もうお前も十七だし、そろそろ話しておいてもいいと判断したんだ」
姉ちゃんは足を組んでいて、俺はその前の床にあぐらをかいている。ホットパンツだから、残念ながら見えない。
「実は、私とお前は本当の姉弟ではないのだ。私は父の、お前は母の連れ子なのだ」
「あっそう」
「あっそうて……。と、戸惑いとかないの?」
「なんとなく知ってたから。姉ちゃんと俺、あんま似てない」
「そ、そうか。だが、もう一つ黙っていたことがあってな。我々は人間ではないのだ。私は吸血族、お前は狼族という種族で本来敵対関係にある種族で」
「知ってるよ」
「ええっ!?」
「昨日の夜コンビニにアイス買いに行ったら、毛むくじゃらの人と戦ってる姉ちゃん見たし。『百年前の落とし前、今ここでつけてやるよ』とか盛り上がってたから声かけなかったんだけど、止めといた方がいいよ」
「ああ……なんか恥ずかしいな」
「姉ちゃんの話、もう終わりだったら俺の話してもいい?」
「あ、うん。いいよ」
「俺、昔から姉ちゃんのこと好きだったんだけど」
「ああ、私も知って……えっ!?」
三題噺かんがえたー http://shindanmaker.com/493831からのお題。
『戸惑い』『姉』『春』




