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恋する死神
夜中の三時に健全な男子高校生である俺が一人で学校の屋上にいたのは、例年通り予定がないクリスマスに飽いて、趣味である天体観測をしていたからだ。
決してサンタやUFOや、ましてや真黒なボンデージに身を包んで背中から羽を生やした女の子に遭遇することを目的としていたわけではない。
曰く、彼女は死神のような存在で、寿命を迎えた俺を殺すべくやってきたのだという。
「だというのに、こんな君に恋した私が悪いんですが……掟ですので」
にっこりと微笑んだようだったが、俺にはまるで舌舐めずりをする獰猛な獣にしか見えなかった。
「私のために、人間をやめていただきますわ」
その手の鎌が月光に煌めき、風を斬る音ともに意識が絶たれた。
お題ひねり出してみた http://shindanmaker.com/392860からのお題。
『こんな君に恋した私が悪いんですが』




