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愛すべき友
「これ、やるよ」
そう言って、銃弾のような形の何かを差し出された。
「知らないのか? 空色の種の話」
その話は知っている。永遠の迷路に閉じ込められた真面目な花屋の青年が諦めかけたとき、ポケットから零れ落ちた種がみるみる育っていって青年をそこから脱出させた話だ。
「お前、最近何か悩んでるだろ。相談するわけないの、分かってるから」
逃げるように去っていく。
つくづくお人好しな奴。馬鹿は死んでも治らないのか、どうか。
【創作向け】100のお題から選んだーhttp://shindanmaker.com/a/196345より三題。
【43/空色の種】 【92/永遠の迷路】 【65/馬鹿は●●でも治らない】