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朦霧の道、朧な思考
憤怒は自傷行為を伴う。それは自分に対しての卑屈な心がつける身体的な傷でもあるし、他人を傷つける度に摩耗していく精神的な疲弊でもある。憤怒が自分のためになることはない。だから人は世界との軋轢を避けるために自分を変えていく。幼い頃は箸を持つのも鉛筆を持つのも左だったのに、今となっては立派な右利きになったのもそうだ。ただ、日々のうちにふとアイデンティティを見失ってしまうことがある。それは眠りにつく前や起きた直後など、決まって頭がぼんやりしているときで、生活の中の些細な異物が、頭の歯車に噛んで動かなくなっているのだ。
そういうとき、私はいつもこの夜明けの散歩道を歩く。これから、ともだちに会いに行くのだ。
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「夜明けの散歩道/左利き/憤怒/自傷行為/ともだち」




